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悪魔の粉

 



 ※リンドウ視点。




 ユラリ殿が先に倉庫へ入り、わざと目立つように行動してくれている。

 某も倉庫の裏手に回り裏口を探しているのでござる。

 あ、あったでござる。


 裏口にも見張りが二人いるが、ユラリ殿が騒ぎを大きくしてくれているので、その見張りの二人もユラリ殿の方へ向かっていった。


 今が忍び込む時でござる。


 そして某は裏口から音を立てないように倉庫の中へ侵入した。

 中に入って周囲を見ると木箱が沢山積まれている。

 大陸からの輸入品が入っているのであろう。


 倉庫の別の場所ではユラリ殿の戦う音が聞こえてきている。


 なんとか侵入成功でござるな。

 あとはこの木箱の中からアフヨウを見つけ出し、イワクラを捕らえればよいだけでござる。


 某はさっそく近くにあった木箱のフタを明けた。

 すると中には大陸産の赤葡萄酒の瓶が何本も入っていた。

 これは違うでござるな。


 他の木箱も幾つか明けてみたがその全てが赤葡萄酒だった。

 おかしいでござる。

 アフヨウがどこにも無いでござる。


 もしこのままアフヨウが見つからなければ、某達はイワクラ殿を襲った犯罪者になってしまうのでござるよ。

 なんとしてでもアフヨウを探し出さねば!




 ※ユラリ視点。




 あ、こいつら例の指輪してるな。

 術を何回か無効にする術具だ。

 術を使う前に気付いてよかったよ。


 吸血族の六人が曲刀で攻撃してきた。

 俺は斬撃を【縮地】を使い全て躱し、六人の吸血族の首を斬り落とす。

 イワクラは懐から短銃を取り出し俺に向けて発砲した。


 その銃口の方向と引き金を引く指の動きを見ていた俺は、発射のタイミングと弾道を読み【縮地】で躱し、イワクラの背後に回って銃を持つ右腕を掴んで捻り上げ銃を落とした。

 そしてイワクラの首に手刀を当てる。


「動くな。動くとお前の首もそいつらのように床に転がるぞ」


「ひっ!?」


 右腕しか使えないと人を制圧するのも大変だな。


「わ、私は何もしていない!」


「何もしてないって? アフヨウなんて禁制の品物をこの国に持ち込みやがって。お前はこの国を潰したいのかよ」


「私は知らぬっ!」


「その証拠を今仲間の同心が探している。ほら、あいつだ」


 俺は木箱の影から出て来たリンドウを見つけた。


「リンドウ。アフヨウの現物は見つかったか?」


「そ、それが、どこにも見つからないでござるよ」


「なんだって?」


 イワクラがにやりと笑う。


「ここは赤葡萄酒を取り扱う貿易商の倉庫だ」


「リンドウ。よく探したのか?」


「かなりの数の木箱を開けて探したのでござるが、中には赤葡萄酒しか入っていなかったでござる」


「お前達。この者達を殺してただで済まぬぞ!」


 参ったな。

 このままじゃあ俺達が犯罪者になって処刑されるよ。

 ここにアフヨウは無いのか?


 じゃあ何処だ?

 イワクラの屋敷の中か?

 それは無いか。


 東町の港から北町のイワクラの屋敷までは距離があるから、屋敷に到着するまでに多くの人の目に触れる。

 屋敷には使用人も多く働いているので隠し場所としては相応しくない。


 アフヨウの売人が東町に現れるのは、港の近くにアフヨウの保管場所があるからだと考えたんだけどな。

 リンドウが木箱の中から瓶を一本手に取り俺に見せてくれた。


「ユラリ殿。この通り木箱の中は赤葡萄酒の瓶でござる」


 その時俺はその瓶に違和感をおぼえた。

 見た目はただのワインの瓶だけど、何かが引っかかる……。

 あれ、あの瓶の栓って……ガラスじゃないか?


 その瓶の栓には確かにガラス栓が使われていた。

 これはコルク栓による腐敗の心配もなく、手でも簡単に開けられるガラス製の栓で、俺が暮らしていた日本でも『ヴィノ・ロック』と呼ばれていたものだ。


「おいイワクラ。どうして赤葡萄酒の栓をガラスにしているんだ?」


「そ、それは……木屑を固めた栓だと栓抜きが必要になって、飲むのに手間がかかるのだ。す、すぐに飲めるようにするためだろう!」


「そうか、やはりな。ガラス栓は中の『もの』が取り出しやすいもんな?」


「そ、そうだ! それの何がいけない!」


「リンドウ。そのガラス栓を引き抜いて、中身を手の平に出してみろよ」


「え? 栓を抜いて? 葡萄酒を? 分ったでござる」


 リンドウがガラス栓を引き抜き手の平を受け皿にして瓶の口を下に向けると、中から白い粉末がさらさらと流れ落ちてきた。


「ユ、ユラリ殿っ!? こ、これはもしやアフヨウでは!」


「ああ、そうだろうな」


 この瓶の色は濃い緑色だ。

 赤ワインは光を吸収しやすいので瓶詰め後の光による劣化を防ぐために濃い緑色のボトルにする事がある。

 この濃い緑色の瓶ならアフヨウを詰めても見た目では分らないだろう。


「リンドウ。その白い粉を検査術具で調べてみろよ」


「承知した。本物のアフヨウならこの白いさじが赤くなるでござる」


 リンドウは俺に促されて小さな白いさじで粉をすくった。

 すると徐々に白いさじが赤く変色していく。


「こ、これはアフヨウで間違いないでござる……」


「おいイワクラ。すでに死人だって何人も出てるんだ。アフヨウ密売の罪は重いぞ。死罪は免れないな」


「ぐっ……ど、どうしてここにアフヨウがあると分ったのだ!?」


「この根付だよ」




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