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鎧との戦い




「【光弾】!」


 セルフィナの術が全身針ねずみのようになったグレドに直撃。

 しかしびくともしない。


「俺の毛は特殊でな。術は効きにくいんだ」


 セルフィナの背後に浮かぶ輪の一つが輝く。


「ならばっ! 重唱閃っ」「セルフィナ! 後ろっ!」


 俺の咄嗟の一言で彼女は後ろを振り向くが一瞬遅い。

 そこには爪を鎌のように長く鋭く伸ばしたニゲレナが転移していた。


「死ね〜!」「させない」


 甲高い金属音が響く。

 ニゲレナの爪を受けたのはストレッドだ。

 彼女の右腕は大きなはさみに変化していた。


「なにこいつ〜!?」


 只者じゃないとは思っていたけどストレッドは動きが速い。

 ニゲレナの目線や筋肉の動きをよく見ていたんだろう。

 そうでもなきゃ転移する奴に追いつく事なんてできない。

 洞察力もあるようだな。


「うっそ〜!?」

「覚悟せよ」


 ストレッドは左腕をくしに変え、まるで髪をかすように横薙ぎにした。


「く、櫛!? 【兎飛び】!」


 ニゲレナは櫛の直撃を寸前で転移して回避。

 その転移先にはすでにストレッドが向かっていた。

 彼女は大きな鋏でニゲレナの長い耳を狙う。


「わわわっ! う、【兎飛び】!」


 ニゲレナは慌てて陣幕の外へ転移したようだ。

 ストレッドも本陣を飛び出していく。

 あの調子ならニゲレナの事はストレッドに任せてもいいだろう。


 それにしても鋏と櫛って……。

 一応武器にはなっているけど、まさか本当に髪結いしようとするなんて。


「よそ見はやめといたほうがいいぜ!」


 グレドが全身を【針山】に変え俺に突っ込んで来た。

 俺は【縮地】で後ろに飛び退いて躱す。


 セルフィナはグレドに向かって細剣での攻撃を開始。

 しかし伸び縮みする針を躱しながらの攻撃は難しいようだ。

 攻めきれず彼女の額には汗が滲んでいた。 


「セルフィナ! 【閃駆穿通せんくせんつう】は使えないのか?」


 セルフィナはグレドの針を躱しながら説明してくれた。


「あのスキルは威力を抑える事ができず直線方向にしか進めません。敵の立ち位置によってはペティさんとファンタさんを巻き込む恐れがある為、この場所では使用できないのです」


 あのスキルにそういう制約があったのか。


「仕方が無い。俺は儀式を止めに行く。その猿男は任せるぞ!」


「はい、ユラリ様!」



「ウクレディート、バル、トディータス。エン、カク、デティス……」


 二人を寝かせている石の台がさらに光りを増す。

 ファンタが喚く。


「ちょ、ちょっと総支配人! な、なんか台が光っていますわ! は、早くたすけなさい!」


 本陣の中の騒ぎを聞きつけたのか、陣幕の外から数十人の兵士達が剣を抜き放ち俺達に襲いかかってきた。


 俺は周囲の地面に【闇沼】を発動。

 俺に向かって来た兵士達は暗い闇の沼に足を取られ沈む。

 セルフィナに向かって行った兵士達は、彼女に一人ずつ倒されていった。


 俺は動かなくなった兵士達の間を駆け抜けて儀式を止めに向かう。

 ディナクは俺に見向きもしない。

 奴の背中は隙だらけだ。


「たぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 俺は【重唱縮地】で瞬時に接近し【空刃】を纏わせた手刀で、奴の隙だらけの背中を斬りつけた。


 しかし鎧に【空刃】触れた瞬間。

 見えない刃が粉々に砕けた感覚がした。

 う、嘘だろ!?

 さっき【遅延】が効かなかったのはやはりこの鎧のせいか。


 直後、腹部に重い鈍器で殴られたような強い衝撃。


「ぐふっ!」


 俺はわけも分らず弾かれて地面を転がりすぐに起き上がる。

 何だ今の攻撃は。

 ディナクの攻撃か?

 いや、奴は少しも動いていなかった。

 ならどうやったんだ?



「イーセラ、エレラ、アンスレイル。カーハム、アブハース……」


 儀式がさらに進行し石の台の象形文字が光り出した。

 まずい状況だ。

 あの文字が光り出したら何かが起きるのは間違いない。


 もしかしたらまた転移!?

 それとも他の何かか!?

 今までの経験からあの象形文字が光って良い事が起きた試しが無い。

 腹の痛みにふらついている場合じゃないな!

 

 俺は腹部の痛みから強引に意識を外す。

 ディナクはその場から少しも動いていない。

 詠唱は何事も無かったように続いている。


 それからすぐに俺に打撃を加えた奴の正体が分った。

 それは奴の身体に装着された鎧。

 正確には鎧に擬態していた奴だ。


「なんだこいつは……?」


 そいつはドロリと地面に垂れ落ちて大将の身体から離れる。

 そのドロドロは次第に人の姿に変化していった。


 肌にはペテとテペのように鱗が見えている。

 しかし奴らには無かった立派な二本の角が生えていた。


 鎧に擬態するってどういう能力だ?

 俺の【気配感知】に引っかからなかったのは、ディナクの鎧として張り付いていたからか。

 アウレナでステータスを確認した。


=====

 ◆ゼジベル・ナガ

 種族:ホムンクルス  性別:男性  年齢:5  職業:特殊兵

 LV:38 HP:8550 MP:860 SP:850

 物理攻撃力:2830 物理防御力:11100 敏捷力:650

 術効力:400  術抵抗力:10790  幸運:310

 アクティブスキル:鎧化3、物理防御強化3、術防御強化3、

 パッシブスキル:命令厳守、拳術3、体術3、龍鱗3、注目集中8

 称号:作られし者、六番試験管育成者、無口、鉄壁な守り

=====


 うおっ、硬っ!

 何この物理防御と術抵抗にポイント全振りしたようなやつ。

 あの【穢れ化】レベル一よりも防御力が上だ。


 やっぱりこいつもホムンクルスか。

 なんだこの【注目集中】ってパッシブスキル。


=====

 ◆注目集中

 周囲の者達の注目を自分自身に集めることができる。

=====

 

 ん? 特に危ないスキルじゃないな。

 ただ注目を集めるだけだし。

 

 と思ったのもつかの間。

 ペティとファンタを見ようとしたけどゼジベルから目が離せなかった。


 な、なんだこれ。

 二人を見たいのに目が言う事を聞いてくれない!?

 まさかこれが【注目集中】の効果か。


 そうかわかったぞ。

 このゼジベルは敵からの注目をわざと集めて攻撃を自分に集中させ、高い防御力を活かして囮の役割を担う奴なのか。

 つまり妖しい儀式を中断させないようにする為の壁役だな。


 ならばその壁ごと突き破るまでだ!

 俺はゼジベルに向かって突撃し手刀を振り上げる。

 

 

「これでどうだっ! 【重唱空刃】!」




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