俺達の旅館は絶対に守り抜いてみせる!
土煙舞う荒野の数百メートル前方から、万を超える真っ白な肌をした異形の軍勢が押し寄せてきていた。
やつらは数多の異世界から廃棄された異物。
この世界では『穢憑き』と呼ばれ、命を喰らう化け物として多くの人々に恐れられている。
俺と二十四人の守護者達は今、空に浮かぶ大型客船の甲板に集まっている。
これから世界の命運を賭けた壮絶な殺し合いが始まるというのに、俺と共に『穢憑き(けがれつき)』を見つめている彼女達の瞳には、絶望や恐れの色は微塵もない。
彼女達は誰一人として自分達の勝利を疑っていないようだ。
銀髪ツインテールで浅黒い肌に尖った耳の少女は、俺の右腕に抱きつき可愛く微笑んだ。
「ふふっ。ご主人様、緊張してるんですか?」
「まあな。俺達が負ければ旅館や都が蹂躙されて壊滅するんだ。あの大軍を前にして緊張しないわけないだろ」
腰まである黄金色の長い髪をふわりと揺らし、非の打ち所の無い絶世の美女も俺の左腕に抱きつく。
「ご安心下さい。ユラリ様が共に戦って下されば、わたくし達が負ける事は万が一にもございません」
「ああ。お前達のうち誰一人として俺より先に死なせるものか」
赤淵眼鏡の位置を左手で直した利発そうな少女が自身満々に胸を張る。
「この戦闘であたし達が負ける確率は限りなくゼロに近いわ。それが様々な数値を総合的に計算して導き出された答えよ」
「おう。お前の計算は信頼してる」
他の守護者達も同じ気持ちだというように俺に頷いてくれた。
例え世界を蝕む異形の化け物が相手だろうと、彼女達がいれば何も怖くない。
俺と『守護者契約』で結ばれた二十四人の女性達。
数多くの困難を共に乗り越えて来た愛する家族。
その彼女達が俺と共に戦ってくれるんだ。
俺は決意を新たに迫る異形の軍勢を睨みつけスキルを発動する。
左手には陽の力を灯し、右手には陰の力を纏わせた。
この相反する二つの力は手の平を一つに合わせる事で融合できる。
「陽の世界の申し子達よ、原初の輝きにより各々が持つ才にて力ある事を証しせよ。陰の世界の申し子達よ、終焉の闇により各々が持つ才にて力ある事を証しせよ。我にその命を託し、眼前の敵を尽く薙ぐ刃に化身せよっ! 【支配者の軍勢】!!」
俺と契約した二十四人の守護者達の全身から膨大な力が解放された。
その力の波動により地面が震動し風や海も乱れ狂う。
直後、彼女達は一斉に敵のただ中へと突撃を開始した。
今ここに俺と彼女達の最終決戦の火蓋が切って落とされた。
「俺達の旅館は絶対に守り抜いてみせるっ!」




