はじめに――異世界シミュレータというツールの在り方
この作品は思考実験的な小説です.そのため,本作品は人によっては不安感・不快感・嫌悪感を与える可能性がございます.
また,思考実験的に物語を展開するため,一部に冗長な表現が含まれます.その場合は別途,要約版を執筆する予定です.
以上の理由から,それでもお付き合いいただける方はぜひお楽しみください.
設定については,基本的な原理原則については現実社会に沿っております.
そのため,ハイファンタジーのような表現はともかくとして,学術的理論の解釈の誤りや誤用がございましたら,ご指摘いただけますと幸いです.
この世にはすでに,多くの異世界が存在している.
剣と魔法の世界,多人種の世界,王侯貴族の世界,SFの世界……
ぱっと思い出すだけでも,“私たち”は多くの異世界と接している.
また,“私たち”の振る舞いによって,
物語はプリズムを通した光のように多様な色彩を見せる.
冒険もの,ダンジョン系,王道・覇道もの,ハーレム系,日常系……
ふっと行動を変えるだけでも,“私たち”は多くの物語を紡ぎ出すことができる.
では,“私たち”が介在する前の異世界はどうだったのか?
もしくは,“私たち”が介在した後の異世界はどうなるのか?
はたまた,“私たち”の世界の在り方を少し書き換えるだけ――
たとえば,元素記号に【魔素】という要素を加えて,<あらゆる奇跡を構成する最小単位>と定義する.
さて,このような書き換えはどのような世界を創造するのだろうか.
思考実験を試みるだけでワクワクしてこないだろうか.
新しく誕生した異世界は,すなわち新しい実験環境であり,“私たち”のためだけの箱庭である.
“私たち”がある異世界に参加し,刺激を加えることで,どのような物語が生まれ,世界が広がっていくのだろうか.
変化しゆく異世界の中で,様々な人種はどのような意思決定を下すのだろうか.
そして,その異世界はどのような終末を迎えるのだろうか.
異世界に対する“私たち”の興味は絶えない.
前置きが長くなってしまったが……さあ,始めよう.
あらゆる異世界の主人公として.
異世界の創造主たる“私たち”という構成要素の一人として.
“私たち”は,異世界の創造を行い,世界の成り立ちを探求する“研究者”である.