第1章 2話 「状況理解」
ーー見知らぬ天井だ。
実家の天井ではない。ということは病院か?
そうか病院だ。どうやら俺は死ななかったらしい
しかし、病院の天井ってこんな色だろうか?
もっと白くて清潔感のある天井だと思っていたが
俺の見ている天井は茶色で所々にシミらしき物がある。 まぁ。でも実際はこんなもんか。
すると、横から女性の声が聞こえてきた。
「やっと。起きたみたいね。本当にどうなるかと思ったわ。本当死ぬ寸前だったのよ。
これも邪神フォードののろいかしら。でももう、
大丈夫よ。私がしっかりと治療したから。」
看護師の人だろうか?しかし、少し口が悪いな。
あと邪神フォードって何言ってんだ。
中二病か?だか、助けてくれたんだ。
感謝しないとな。そう思い千斗は女性を見て目を疑った。
その女性は、腰まで届く赤い髪を一つにまとめ、
その赤い瞳はこちらを見据えている。
落ち着いている面差しは大人の美しさと幼子の可愛らしさがある。
身長は百六十センチぐらいだろうか?赤色を基調にした服は派手な装飾品が付いておらず。とてもシンプルなデザインだ。
だかその服装は決してナース服ではない。
これだけは、はっきりと言える。
どうゆうことだ。ここは病院じゃないのか?
とりあえず。この人にここが何処なのか聞こう。
「あの〜一つ聞きたいことがあるんだけど?」
「なに?なんでも聞いて。」
「ここは何処?もちろん。日本だよね?」
「ここは私の家よ。にほん?ではないわ。」
「え!?日本じゃない?じゃここは外国なの?」
「ここはイシューテン王国よ」
「いしゅーてん?どこだそこ?きいたこともないけど。」
「何言ってるの?イシューテン王国を知らないなんてありえないわ。この世で最も大きい国なんだから。」
はぁ?どうなってんだ俺がおかしいのか?いや
そんなはずない。そうだ!他の人に聞けば日本を知っているはずだ。
そう思い俺は慌てて外に出た。
「あっ ちょっと!まだ完全に傷が塞いでないんだから。安静にしないと!」
確かに傷がまだ痛む。しかし、今はそんなことどうだって良い。今は自分を肯定してくれる。
言葉がほしいのだ。そう思い千斗は家の扉を勢い良く開けた。
外は、太陽の光が降り注いでおり、人々の活気溢れる声がそこら中から聞こえる。
それはいたって普通の光景だ。人々の中に
犬や猫のような耳や尻尾を生やしている人がいなければ。
そこで、千斗は理解する自分は今、
自分は異世界にいるのだと。