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記憶にない

 眩暈がした。

 最後に覚えている記憶はそれだけだった。

 瞼が閉じていた時に意識が覚醒しかけたためか、一瞬にして昼から夜に変化してしまったのではと驚愕したのだが……ただ単に私が目をつむっていたというオチがついた。


 ただ、瞼を開いてみても周りは薄暗く、窓からは白い月の光が部屋に注いでいたが。


「昼から夜になった? そんなはずはないわ。でも、そういえばここは……どこ?」


 私は小さく呟き周りを見渡す。

 窓からの月の光程度しか光源がないために、周りは薄暗い闇が満ちてよく見ることが出来ない。

 けれどそれでもこの部屋が、物がほぼない空き家のような場所だという事は分かった。


 そして、そんな場所に転がされていたのは私だけではない。

 すぐそばに誰かがいる。

 冷たい床の感触ではなく人の温かい気配。


 見下ろすと少し離れた場所にキャンディが私と同じように転がされていた。

 よくよく考えると女性をこんな床に転がしておくなんて、酷い扱いだわ、と私は思いながらとりあえずはキャンディの元に。

 耳を近づけると息をしているので、生きてはいるようだった。


 それから軽く眠っている? キャンディの方を私は揺さぶる。


「キャンディ、起きて。起きて」

「……ううん、あとちょっとだけ」

「……布団の中ならそれもいいけれど、ここは冷たい床の上なの。起きないと風邪をひくわよ」

「うう……分かった……あれ?」


 そこで目をこすりながら体を起こしたキャンディが周りを見回して、一言。


「ここ、何処?」

「私が知りたいわ。何かキャンディは覚えていない?」

「……思い出せない。でも確か、クリスティーヌが何かに気付いたように声を出して、その後の記憶はないかな」

「私?」


 そう言われるも私は思い出せない。

 私は目覚める前に、何に気付いたのだろうか?

 そこで、誰かがやってくる足音が聞こえたのだった。

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