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クッキー

 けれどそれからは恋愛話ではなく、ラウルは普通の仕事に移ったようだった。

 その間しばらくは真剣に手際よく仕事をこなしていくラウルを私は目撃していたのだけれどキャンディが、


「何だかつまらないような、ウィリーはどう思う?」

「実はそう思っていた所だ、クリスティーヌ嬢はどう思う?」

「……格好いいラウルが見れて満足だけれど、そろそろ飽きてきた気もする」


 といった話になり私達は、ラウルの追跡を諦める。

 代わりに先ほどの話で、


「簡単なお菓子でも作ってみようかしら。ラウル、受け取ってくれるかしら」


 私がそう呟くとキャンディが楽しそうに笑って、


「それは喜ぶでしょう。そうね……私も一緒に作ってきてもいいかしら。ウィリーに喜んでほしいもの」


 といった話になり私達は厨房に向かう。

 ちなみにウィリーは客室にお留守番だ。

 まだそこまで忙しくない時間だったので、邪魔にならない範囲で材料を貰い、お菓子を作る。


 簡単なお菓子、クッキーだが、スパイスを入れたものもとても美味しい。

 そういった理由から作っていくことに。

 作り上げたクッキーの生地を寝かせて、焼いて。


 出来立てを味身代わりに食べてみると、


「うん、美味しい。よし、これを持っていこう」

「私も!」


 といったようにクッキーを作って、もっていく。

 部屋にはウィリーとラウルがいて何かを話しているようだった。

 深刻そうな話に見えたのだけれど、私達が来ると二人は話を止めてしまったので聞くことはできなかった。


 そして私はラウルに、


「クッキーを作ってみたけれどどうかしら」

「私のためにですか?」

「……ええ」


 なんとなく気恥ずかしい気持ちになりつつも私がそう頷くとラウルは、


「とても嬉しいです。頂いてもよろしいですか?」

「え、ええ」


 素直にうれしいと言われてしまったのと、美味しいと言ってもらえるかの不安で緊張しているとそこで、一口クッキーを食べたラウルが、


「とても美味しいです」


 そう、私に言ってくれたのだった。

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