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本当の名前

 私が呼び出したのは執事だった。

 名前はラウル。

 金髪碧眼の美青年であり、才知に富んだ私の執事だ。


 ただ彼がここにいるのにも全部理由があった、というのを思い出した私は、


「ラウル、お願いがあるのだけれど」

「何でしょうか、クリスティーヌ様」

「今回貰った婚約破棄書、本物にすり替えてきてくれない?」

「……」


 ラウルが沈黙した。

 それはそうだろう、ついこの前までは乗り気だったのだから。

 だがよくよく考えれば、前世の記憶を思い出す前の私は王子自身ではなく地位に憧れていたように思う。


 政略結婚なのだから当然と言えば当然だし、私も意外に野心家だったのだろう。

 そんな風であるから、あの王子がヒロインにひかれてしまったのかもしれない。

 だが全て? を思い出した私は、これが最善の展開であるのを知っている。


 そこで、執事のラウルが口を開いて、


「どうしたのですか突然。風邪のせいでしょうか」

「風邪のせいもあるけれど、それでいいの。貴方ならうまくできるでしょう? ラウル・フレアリート」

「……フレアリートは隣の国の王家の名前です。私の名前は、ラウル・トレアです」

「そちらも本当の名前よね。でも最近接触があったはずよね」

「……」

「それが理由で偽の婚約破棄書を仕込んだ、そうでしょう?」


 問いかけるとラウルが沈黙した。

 この展開は、ゲーム内で私は知っていた。

 ただこのラウルの目的に関しては、ゲーム内ではそれほど語られていなかったのでよく分からない。

 

 けれど彼がそれを行えて、偽物を潜ませたのは事実だ。

 しかも彼の本当の名前を私は知っている、だからそう告げるとそこでラウルは、


「どこまでご存じなのですか?」

「どこまで、ね。今話した範囲で結構気づいていると思わない?」

「……なるほど」

「というわけでお願いできる?」


 私はそう、彼に告げたのだった。


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