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ただ一つだけ

 やって来た執事達は、ラウルと何か楽しそうに話している。

 何処かラウルが困っているように見える。

 だから私は、正確には好奇心にまみれているウィリー王子とキャンディと一緒に近づいて様子をうかがう。


 ラウルの困ったような声が聞こえてきた。


「ですがそろそろ、お二方も、彼女から直接お菓子を頂いたらどうですか? 私経由ではなく」


 私はそれを聞いて、?、となった。

 それではまるで彼女達からお菓子を届ける役目をされているように聞こえる。と、


「彼女達、まだ俺達が好きな事はあの二人の秘密らしいんですよ、仕方がないじゃないですか」

「親同士が仲が悪いので、こういった形じゃないと。気づかれないようにするにはこれがいい方法なんですよ」


 執事の二人がそう話している。

 親が仲が悪いのに子供同士は……と聞くと、何処かで読んだことがありそうな話だと思いつつも、そういった親の事情があればその目をかいくぐろうとするのも子供なのだろうとも思った。

 それにラウルが、


「そろそろ親を説得してみてはいかがですか」

「機会がある時にな」

「そうそう、まだその時期じゃない」


 そう二人が答えるのにラウルは黙っている。

 そこで執事の二人が、


「それに、ラウルはラウル宛てのお菓子を女性からは一つももらわないからな。断っているし」

「だから安心できるんだ」


 と言い出してそこでラウルは、


「私が頂きたい女性は、ただ一人ですから」


 ちらりと私の隠れている方をラウルが見た。

 もしかして気づかれているのでは、そんな疑惑が私の中で浮かぶ。

 けれど結局はラウルは私の方へとその時歩いてくる事はなかったのだった。

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