人気がある?
ウィリー王子やキャンディに私の本性がばれてしまった件は、そこまで精神的には来なかった。
だがあの話は私の精神をむしばむ。
「ま、また私の新しく作っておいた抜け穴が」
「……作っていたのですかクリスティーヌ嬢」
ウィリーが突っ込みを入れてくるのだけれど、その辺りの問題は些細な事だった。
私が一番衝撃を受けたのは、また私の抜け穴が塞がれてしまった事実だ。
これではこっそり家を抜け出せない。
「……また私、新しく作らないと。あ、でもラウルと一緒なら外出の許可は取れるのかな?」
と悩んでいる間に、ラウルがその庭師から別れて別の場所に歩いていく。
なので追いかけることを優先して私達は、ラウルの移動していく方向に向かっていく。
そこで見たのは、屋敷のメイド二人にお菓子を貰っているラウルの光景だった。
嬉しそうにメイド達はラウルにお菓子の袋を渡して、ラウルも愛想がいい。
その光景を見ていて私は、ずきりと胸が痛む。
ラウルがモテているのは知っていたけれど、実際にそれを見てしまうと……そう私が思っていると、キャンディが、
「あら、クリスティーヌの恋人のラウルさんは人気があるのですね。見た目もいいですしあのような穏やかな物腰の人物では、当然ですね。……いえ、でもラウルさんは貴方に夢中だとは思いますよ?」
とってつけたようにそうキャンディがフォローを入れる。
そこでメイドたちが去っていくと……今度は別の執事が二人ほどラウルの元にやって来たのだった。




