目撃しました
こうして私達は、ラウルを追いかけて行く事にした。
メイド数人にラウルの居場所を聞いてから、こっそりとそちらに向かう。
私達がラウルを見つけた場所は、庭の一角だった。
「ラウル、庭師の人と話しているみたい。でも、執事が庭師と何を話しているんだろう」
私が呟くとキャンディが、
「恋人であるクリスティーヌが好きな花を植えるようにお願いしているとか?」
「私が好きな花……」
そう思うと何だかドキドキしてしまってラウルが気になってしまう。
だからもう少し近くまで移動して様子を見ることにした。
そっと耳をそばだてる私。
何を話しているんだろう?
そこで聞こえてきた会話は、
「なるほど、そちらの穴をふさいでおかないといけませんね」
「ええ、クリスティーヌはよく、屋敷を独りで抜け出してきているようですから。最近貴族の誘拐事件があるというのに……そこの抜け穴から賊が入ってきても困りますから」
「そうですね。でもこれで俺がふさいだものだけでも三つ目ですよ? 見かけはあんなに大人しいのに意外に活動的なんですねぇ」
「そういった所も魅力的なのですが、もう少し大人しくして頂かないと怪我をしてしまいます」
「だな。あの綺麗な顔に傷がつくのは嫌だから、俺も頑張って塞いでおきます」
「では、よろしくお願いします」
ラウルはそう、庭師と話して移動していく。
そして今の話を聞いていた私は凍り付いた。
また一つ抜け穴が、封印されてしまったのだから。
と、そこでそれまで黙ってみていたウィリーが、
「クリスティーヌ嬢はずいぶんと活動的だったのですね」
そう言われてしまったのだった。




