嫉妬深い
その内遊びに行きますといった話をして私は元婚約者の王子ウィリーと、乙女ゲームのヒロイン、キャンディを見送った。
二人とも幸せそうで、この結末が見れたのは私自身良かったと思う。
今後何か話すときも普通の“友人”としての関係が続けられればと思う。
さて、それらの問題が片付き、二人を見送った所で私は大きく深呼吸をして息を吐いた。
次に、相変わらず優し気な微笑を浮かべるラウルに向かって、
「それで、“言い訳”を聞きましょうか」
「何がでしょう?」
「……どうして婚約破棄の理由があんな話になっているの?」
「……私はクリスティーヌの願いを確実に遂行するためにこの方法が最適だと考えたからです」
そう、相変わらずの表情でラウルは私に告げた。
開き直ったのだろうと私が思ったけれど、だからといって、
「どうして私が同性愛好者なのよ! せめて他に恋人がいるって言いなさいよ!」
「いえ、王子相手の婚約破棄ともなるとそれくらいの衝撃と理由がないと、難しいと考えまして」
「……身分さが気になるのであれば、適当な男をでっちあげて行っておけばいいじゃない。貴方の本当の……を匂わすようにするのでもいいでしょう」
「まだあまりその辺りは知られたくありませんし、作り話でも他の男にクリスティーヌをとられたくありませんでしたから」
にこりと以前よりも笑顔になってラウルは私に言う。
嫉妬深いなと思っているとそこで更にラウルが、
「それに、同性愛好者と言っておけば、他の男性が告白しにくいでしょうから」
やはり彼は嫉妬深い、そう私は再び思ったのだった。




