話をする
驚愕の事実を告げられた私。
え、何、同性愛後者?
偽装婚約? 何の話?
私が混乱しているとそこでウィリーがラウルに、
「これはどういう事かな?」
「……」
問いかけるウィリーの声が冷たい気がしたが私としては、
「ラ、ラウルは悪くないの。私がお願いをしてそういった形にしてもらったの」
「クリスティーヌ嬢、どういうことですか?」
「……ここは人が多いから何処か別の場所で話しましょう」
そう、機嫌の悪そうなウィリーに私は提案したのだった。
結局は先ほどの公園で人けのあまりない場所のベンチに座り私は、私の一族の能力とそれに関する出来事を大まかに話した。すると、
「……当たっているな、確かに。キャンディとの出会いも全部」
「そうななの。それなら、私の言っていることも信じてもらえるかしら」
「……確かにそういった能力が昔からあるという話を聞いていたがまさか現実に起こるなんて……」
呻くようにつぶやくウィリー。
けれどほぼ当たっていたのだから、私の危機感も伝わっているだろうと思った。
そこで、それまで話を聞いていたウィリーの恋人であり、私の知っている乙女ゲームのキャンディが、
「でもよろしいのですか? クリスティーヌ様は本当はウィリーが……」
「構わないわ。私はウィリーが幸せならそれでいいし……“恋”をするほどの感情を持っていないから」
「そう、なのですか?」
「ええ、だから貴方はウィリーと幸せになればいいの。その方が私も嬉しいわ」
そう答えるとキャンディは安心したように微笑み、ウィリーと顔を見合わせて再び微笑む。
仲睦まじい様子に、これが一番良い結果なのだろうと私は思ったのだった。




