新たな発見
こうしてカフェで食事をしてから次に私達が向かったのは、
「ウインドー・ショッピングです。ここ周辺で洋服を見るわ。そしてラウルの好みを調べるの!」
「好み、ですか?」
「ええ、どんな服を着てほしいのかをラウルに今日は教えてもらおうと思って」
「私はクリスティーヌがいれば良いので、服は特に興味が無いのですが……」
ラウルがそう困ったように言っている。
だが私は知っている。
「でも侍女のエリに以前、その服はよく似合っていますよと言っていなかったかしら」
「なるほど、確かにそう言った記憶はあります。クリスティーヌはよく覚えていますね」
「た、たまたま遭遇したらそう、貴方が彼女を褒めていたのを見てしまっただけで、特に深い意味はないわ」
そう言い返しながらも私の胸は妙にざわつく。
あの時もそうだった。
ラウルが彼女を褒めて、彼女は嬉しそうで、それで……。
そこでラウルが楽しそうに笑った。
「あの服は彼女が、デートの時の服ですよ。すでに恋人のいる方です。しかも来週中に結婚が決まっているような、ね」
「そ、そうなの」
「ええ、あの日もデートであったらしく、男性の目から見てどうかと聞かれて、そう答えただけです。安心してください」
「あ、安心って、別にそういうわけではなくて……」
しどろもどろになってしまう私。
だってこれでは私は……そう私が思っているとそこでラウルが、
「では、私好みの服は分かりませんが、貴方の好みがどのようなものか楽しませていただきましょう、クリスティーヌ」
「私がラウルの好みを知りたかったのに」
「ですが新たな発見はあるかもしれませんよ?」
そう、不機嫌になった私をあやすようにラウルは囁いたのだった。




