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誠実だから

 ラウルが私の婚約破棄をどのようにして達成したのかが気になる。

 いくら問いただしても全く答える気配がない。

 それがさらに私の不安をあおる。


 そこで注文したランチが運ばれてくる。

 ここは鶏肉料理がおいしいらしい。

 ちなみにランチは三種類あったがそのうちの二つは、鳥料理だった。


 私は、サラダ風の鳥を焼いたものの下に野菜が載せられたもの。

 周りに食用の花……形は薔薇に似ているものが飾られていて、こちらは女性に人気であるらしい。

 見た目と野菜多めでカロリーが、といった所が人気なのだそうだ。


 対してラウルは鳥のステーキだった。

 白いソースがかけられており、味はチーズ風味であるらしい。

 それもこのお店では人気の商品であったのでそのうち味は見てみたい気がする。


 といった内容に思考を奪われかけた私は、まだ婚約破棄に関する話を聞いていないと思い出した。

 けれど現在は食事中。

 とりあえず目の前の料理に集中することにしたのだが……。


「ラウル、そういう風に食事をとるのね」

「? 何か?」

「うん、結構上品に食べるんだなと思って」

「……ではもう少し工夫をしましょう。あまり目立ちたくありませんので」

「そう? 私は上品に食べているラウルは好きよ?」

「……では、このままで」


 そう言って、変な形にフォークを握ろうとしていたラウルを止めた私。

 私の前では良い格好を見せたいらしい。

 そういった必死さは、“可愛い”と思ってしまう。


 でも男性に可愛いと称するのはあまり好まれないようなので言わないが。

 そう思いながら私はこの婚約破棄をどうしたのかを答えないラウルにも何か理由があるのでは、と思い当たる。

 こう見えてラウルは私に対して誠実だから。


「その内でいいかな」


 そう私は小さく呟いたのだった。


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