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考えすぎだと思うの

 どうやらラウルにはラウルなりの考えがあるらしい。

 私としては、


「もっと近くでラウルを見て、色々な気持ちを知りたいけれど……人の気持ちや考えはなかなか分からないわね」

「そうですね、私もそう思います。私もクリスティーヌの考えていることがたまに分からなくなりますから」

「そうなの? 私、ラウルに全部見透かされて、手の平で転がされているような気がするのだけれど」

「そんな事はありませんよ」

「でも、屋敷の抜け道は塞がれていたもの」

「あれはクリスティーヌの安全のためです。あの広いお屋敷で使用人が沢山いるといっても、いつ、何時、賊が侵入してクリスティーヌを攫うのか分からないのですよ?」


 珍しく真剣な表情で私は諭されてしまった。

 心配しすぎだと笑い飛ばしたい気持ちにかられたけれど、ここ一月ほど、貴族の令嬢、令息が攫われて身代金を要求される事件が多発していた。

 犯人はまだ捕まっておらず、稀有な強い魔法の使い手だと言われている。


 そういった話を思い出すと、ラウルの心配はもっともかもしれない。

 それに油断をつかれて攫われてしまっては困るだろう。

 と納得してしまいそうになった私だがそこでラウルが、


「美しいクリスティーヌを一目見た賊が恋に落ちてしまう可能性だってあるのです。それも私が心配していることの一つなのです」

「……ラウル、それは考えすぎだと思うの」

「いえ、身代金を払って返してもらえるのならばそれでいいのです。貴女に怪我さえなければ。問題はその賊が貴女を手放したくないと思った時、どう行動するのか。それが私は心配なのです」


 そうラウルは言うのだけれど私としてはやはり、考えすぎだとしか思えなくて。

 でも、ラウルに心配されるのはそれで、“嬉しい”と私は思ってしまったのだった。

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