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帰れる場所があるなら帰りたい件  作者: なにかの中の人
【第1章】 麗しのデルゼルス編
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救出ケースファイル2 EXTRA  全てを失った神(者)ハリヤ 止まっていた運命が再び動き出す日 

遅くなりました。今回は全て、三人との邂逅の辺りのハリヤ視点であり短めです。試験的な物なのでご容赦を。

しかし、キャラ視点馴れていないとは言え難しい……

ボリボリボリ


自分の肉たるこの体もままならぬまま今日も私は生きている。お魚がおいしいの。


ここのところ何か予感めいたものをずっと感じてはいるのだけど、何にしてもこの肉(体)の欲望にて行動せざるを得ないのが生物として生れ落ちてしまった罪なんだろうな…と納得しつつも私は今日も生きるの。

しかし本当にお魚がおいしい。この歯ごたえがまた…


この体が「主」と懐いている男性にくっ付いて早十数年。この世界の常識にもだいぶ慣れたのね。でもね?昔から欲望とは無縁でいたので、いろんなことを創造して司って来たときに比べると格段に辛いの…

もしかしたら外星系の侵略者との戦争時より辛いのではないかしら?主に食欲的にね。あ、お骨が歯ごたえ抜群ですね。


この物質世界って本来の役目は、魂を鍛え高めていくトレーニングを目的として生きるために励む修行場の意味合いを込めて作ってあるのだ!日本がある地球とおんなじなの。目も眩むくらい永き時を費やして生み出せた傑作でもあるんだ。

神力を失って本来の身体が消えちゃって肉として自分の創造した世界に堕ちて(転生して)悲しかったけど、いろんな【楽しい】があるから悪くはないですね。我ながら!テヘッ。


…………

 

誰も返してくれないってのもやはり辛いですね…

そう心で思うものの表には出せないもどかしさ…この(ハリヤちゃん)魔物というより、愛玩動物のような愛らしさよね。人族より遥かに人的な何かを秘めている感じもするし。元々の私の本体をオマージュしているようなフォルムをしているのは偶然なのかな?同じ鳥だし?

流石私。

…ただね、思うように自分の思いを表に出せないのも、私の背負った罪の一つなのでしょうね。日本の地が恋しいです…


そんな主と今日は狩りというお散歩なのです。彼が言うには


「神託神から久々にお告げがあったんだとさ。

【歴史を変える来訪者現る。国を挙げて歴史の転換点に備えよ。それは日出る海レオンより現れる。】

だってさ。だからここ、レオン海岸で異変はないか見張る為に……喰ってないで泳ぐぞ!ハリヤ、どっちが飯の魚を採ってこれるか勝負だ!やぁ!!」


あら。主。お仕事はよいのかしら?そして勝負言われてしまったの。こんなことなら食べなきゃよかったわ。

一応、注意だけはしておかないと。まだまだ、この体の声帯に馴れていないから言いたいことを簡潔にっと。


「主、遊ビハ程々。スパ怒ル……」


振り返るともういない。

勇者とあろうものが任務放棄してるってのがまた泣けますね。まあ、でも主は幾度も国難を退けてきた一人だからたまにはいいのかな?なんて思うのは甘いかしら?

そして瑠璃と翡翠も信託神として未だ現役で頑張ってるのね。

あの娘らが迷い混んできたときに助けるためとは言え、私が課してしまった宿命で縛ってしまっている負い目からか、御詫びの言葉しか出てこないな…


「大変な仕事させてごめんね。」


あらあら?たまに心情を素直に吐露しようとするとこんなに流暢になっちゃうの。逆に自分がビックリしちゃう。いつもこうなら有り難いのだけど、皆が驚いちゃうかも?フフっ。


さ、そろそろお魚を採りに行かないとまた怒られちゃうな。ご飯抜きだぁ!って主怒鳴りそう。ふふっ、まあそんな顔も可愛いからいっかな。


いっちょ行きますか。






……大漁過ぎました。

濡れた身体に照りつける陽射しが気持ちよいのです。こんな地球みたいな星中々無いよね?

そして飛び込んだ先がお魚の群れの中って嬉しい誤算と言うか、両足の爪に一匹づつと口に入ってきたので3匹。何故か、お股に一匹挟まってるの…なんてエッチ!

仕方ないのでその四匹を


ゴックン


あ!飲んじゃった。ま、いいか。

仕方ないので3匹を……

ん?


あれっ?砂浜に人がいるの!冒険者かな?……でも…伝わってくるこの感覚って。


気になる感情…ギスギスしてるのって…もしかしてもしかするのかな?まだ主戻ってこないと思うし…よし


あ、有り得ないとは思うのだけど、い、一応様子を見てみましょう

とりあえずぅ、低高度スレスレからの~急上昇!風が気持ちいい。

そしてぇ


もてなしのお魚放出!


あっ、良く見たら三人とも顔が強張ってた…おもてなしの仕方まちがいたかも。

剣を構えちゃってる……襲われたとか思ってそうな雰囲気。仕方ないのでちゃんと説明するために木に止まりましょう。よいしょっと。


あら?

やはりあの感情は……まだ幼いのかしら?醜い感情はいけないって教えて差し上げなきゃね。

【嫉妬】

はダメって。

でも私の拙い言葉が伝わるかしら?まあやってみましょう、せーの



「シッッ!シッッっ!」



あ…嫉妬がちゃんと言えないの…ひっ!なんか固まってたお三方がこっちをみ…見て…る?


あら?

あらあらあらあら?

こっ、これは……

皆一緒!格好が皆一緒!!あ、ダメ。何か笑いのツボが崩壊し、しそ……


「ゲラゲラゲラゲラゲラゲラwwwwイラマセーwwwwアリシターwwwwゲラゲラwwww」


ああっ!全然関係無い言葉が…でも、ダメ。おか、可笑しくって…止まらないの。


「ゲラゲラゲラゲラゲラゲラwwww」


ああっ!ごめんなさい止まらないのです。可笑しくって止まれないのです!

でもこれじゃ失礼なの。頑張ってちゃんと伝えたい。ほら、爆笑しちゃった私に斬りかかってきたわ。頑張るの


「シッッシッッイクナイ!シットゥッッダメ!シットミニクイ!イラマセー!!」


言えたぁ!まだまだ言葉足らずかな?でも伝わったんじゃないかな?もう、チュウしそうな位置に男女二人のお顔があるのにその剣を降り下ろさず停まってくれたのだものね。









この後まさか、何もかも失った私が全てを取り戻せることになるなんて思いもよりませんでした。

いつかデルゼルスの皆さまにこの真実と、私が生まれ育った故郷のお話を教えていけたらいいな。


次でデルゼルス編は終了になります。

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