木曜日の朝
面倒にならなかったもっといいオチもつけられたのだがしかし面倒になったものはしかたないね。
追い切りってめんどくさいんだよね追い切って何がかわるんだろう追いきれなかったら本場馬入場の時に騎手がやっちゃえばいいのにって思うんだよ僕はと言っているどう考えても沢田研二を意識したような妙な格好シルクハット被って白いスーツ姿で馬にまたがり馬上で帽子を飛ばす馬鹿そいつこそ我らが師匠なのであるという事実は最低一日五回は僕の脳裏に石油が流入した海に住む魚のようにぷかぷかと浮かびあがり弟子入り先を間違えた自分をしつこく責め立てる。
明後日の乗鞍はふたつでその中に自厩舎の馬はいないがそれによって僕が18週連続で自厩舎の馬に乗っていないという割と不名誉かつ屈辱的な事態になっていたがその責任はもちろん愚かな我らが師匠であることはイラクの自爆テロを見るよりも明らかであるから今更何もいう気はないし8週目あたりで諦観に似た感情が脳裏に夏場あつい部屋に備え付けられた水槽に飼われた熱帯魚のように浮かび上がっていたため自厩舎の馬に乗って勝たせてもらおうなどというオブラートよりも薄い期待は心の中のハリケーンカトリーナと一緒に何処かへ消えてしまっていて10週間経った今になってそれを思い出そうとすることは新しい国を作ることと同程度の道のりを示しているため僕は自分の交渉によってすべての乗鞍を確保している。