動き出す深淵
1. サイドチェンジ:歪んだ「希望」
王都アステリア、騎士団本部の一室。
「まだ勇者ヴィンスは見つからんのか! なぜ情報もまったく集まらん! 冒険者のごみどもは何をしておる!」
騎士団長の怒声が響き、居並ぶ騎士たちは顔を伏せた。
「申し訳ございません……」
「勇者というのはただの戦力ではない。民衆が魔王の影に怯えぬための『希望』という名の偶像なのだ。彼が不在のままでは、国全体の士気が崩壊する」
彼らにとってヴィンスは、世界を繋ぎ止めるための不可欠なピースだった。
2. ヴィンスサイド:憎悪の産声
一方、王都から遠く離れた断崖の底。
泥と血にまみれ、全身の骨が砕けたヴィンスは、死の縁で憎悪だけを膨らませていた。
(アラト……リナ……殺す……絶対に殺してやる……!)
「……強くなりたいか? 奴らが憎いか?」
暗闇から現れたのは、黒い法衣を纏った正体不明の人物だった。
ヴィンスは震える顎で、必死に頷いた。
「……では、付いてこい。お前に真の力を与えよう」
不気味な緑色の回復魔法がヴィンスを包み込み、肉体を無理やり繋ぎ合わせていく。
かつての勇者は、どす黒い情念を瞳に宿し、闇の中へと消えていった。
3. 翌朝:新たな一歩
「アラト、おはよっ!」
窓から差し込む朝日に照らされ、リナがニコリと微笑む。
「……ああ。久しぶりに深い眠りにつけた気分だ」
今日は装備を整え、情報収集をする日だ。
ドブさらいの経験と、リナの知力。俺たちは再びギルドへ向かい、この世界の「攻略」を再開する。
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現在のステータス
【アラト】
・レベル:2
・職業:無名の器(元・ドブさらい)
・耐久力:60 / 知力:35
・解析中:勇者の加護(光属性の防御膜)——解析度 15%
・装備:丈夫な麻のシャツとズボン(新品)
・所持金:カード10万 / 現金2.4万ガルド
【リナ】
・レベル:2
・職業:薬草摘み(習熟度MAX)
・知力:95
・スキル:魔力視、言語理解(初級)
・装備:空色のワンピース(新品)、銀猫の加工毛皮マント
・状態:アラトへの絶対的信頼、昨夜の未遂への少しの未練




