表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男装勇者に一目惚れしたので落としてみたら、実は王女だった。  作者: 夜天 颯
第1章 異世界転移と勇者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/3

2.初めての依頼

リクは森を離れ、町の近くまで来ていた。


町の門をくぐったとき、最初に思ったのは――


「……人、多いな」


 森しか見てなかったから、余計にそう感じた。


 石畳の道。木と石の建物。行き交う人。露店の匂い。


 ちゃんと“異世界”だった。



『やっとスタート地点って感じだな』



「森スタートきつすぎるだろ」



 歩きながら、ふと周りの視線に気づく。


 ちらちら見られてる。


 明らかに。


「……あ」



『気づいたか』



「俺、浮いてる?」



『めちゃくちゃ浮いてる』



「だよな」



 原因は分かってる。


 制服。


 どう考えても、この世界の服じゃない。


「……さすがにまずいか」



『目立ちすぎだな』



「よし」


 立ち止まる。


 イメージする。


 この世界の人が着てそうな服。


 動きやすくて、シンプルなやつ。


「メイクリーチ」


 光が集まる。


 数秒後。


 手の中に、布の服一式が現れた。


「……できた」



『なんでもありだな』



「助かる」



 路地に入って、さっと着替える。


 鏡はないけど、たぶん大丈夫だ。


「……うん、浮いてない」



『ようやくモブになれたな』



「言い方」



 これで一安心。


 改めて、町を見回す。


「……よし」


 小さく息を吐く。


「やることは決まってる」



『なんだ?』



「飯と寝る場所はどうにでもなるけど――」


 手を開く。


 パンくらいなら出せる。


 家だって作れる。


「それだけだと、この世界で何も分からない」



『……まあな』



「地図もない、常識もない、知り合いもいない」


「これ、普通に詰むだろ」



『生活はできるけど社会性が死んでるな』



「それな」



 だから。


「情報と、繋がりが欲しい」



『で、ギルドか』



「一番それっぽいからな」



■冒険者ギルド


 木の看板をくぐる。


 中はざわざわしていた。


 鎧の人。剣の人。ローブの人。


 さっきより視線が少ない。


「……服って大事だな」



『さっきまで目立ちすぎてたからな』



 受付に向かう。


「初めての方ですか?」


「はい」


 登録を済ませる。


 数分で終わる。


「これで完了です」


「早いな」



『異世界、手続き軽いな』



「助かるけどな」



 掲示板へ。


 依頼が並んでいる。


「初心者向け……」


 探す。


 見つける。


「“遺跡の魔物の数を減らす”」



『いきなりダンジョンか』



「簡単って書いてある」



『その“簡単”、信用できるか?』



「……微妙だな」



 でも他にない。


「これでいいか」



■遺跡


 町から少し離れた場所。


 崩れた石の建物。


「……それっぽい」



『嫌な予感しかしないな』



「同感」



 中に入る。


 ひんやりした空気。


 静かすぎる空間。


「……静かだな」



『逆に怖いな』



 奥へ進む。


 ――ガサッ。


「来た」


 魔物。


 一体。


「メイクリーチ」


 短剣を出す。


 突っ込んでくる。


 避ける。


 斬る。


 終わり。


「……楽すぎる」



『バランス崩壊してるな』



「ちょっと怖い」



 さらに奥へ。


 数体。


 同じように倒す。


 静かになる。


「……終わりか?」



『帰るか?』



「いや、確認だけ」



 そのとき。


 ――キィン!


 金属音。


 ――ドンッ!


 何かがぶつかる音。


「……今の」



『今の、悲鳴みたいなの聞こえなかった?』



「聞こえた」



 走る。



■ランカ救出


 広い部屋。


 少女がいた。


 赤髪。


 ツインテール。


 魔物三体に囲まれている。


「やばいな」



『数が多いな』



「でもいける」



 踏み込む。


「そっち行くな!!」


 魔物が振り向く。


 一体、斬る。


 二体目、来る。


 避ける。


 斬る。


 三体目。


 一瞬で距離を詰める。


 ――終わり。



「……大丈夫?」



 少女に近づく。


 息が荒いが、無事だ。


「……助かった」


 赤い瞳が、まっすぐ俺を見る。


「ありがとう」


「いや、近くにいただけだから」



『それっぽいな』



「うるさい」



 少女が立ち上がる。


 少しふらつく。


「おっと」


 手を貸す。


 距離が近い。



「……」



 じっと見られる。


 数秒。



「……名前」



「え?」



「教えて」



「リク」


 答える。


 その瞬間。


 少女の目が、わずかに揺れた。



「……リク」



 小さく繰り返す。



「ランカ」



「ハイビス・ランカ」



「よろしく」


 手を差し出される。


 自然な流れ。


 握る。



 少しだけ、強く握られる。



「……見つけた」



「え?」



「……なんでもない」



 笑う。



 ごく普通の出会い。


 ――のはずだった。



 でも。


 なぜか、その言葉だけが引っかかった。



■帰り道


「一人で来たのか?」


「うん」


「危ないだろ」


「分かってる」



『分かってて来るタイプか』



「俺も人のこと言えないけどな」



 並んで歩く。


 出口へ。



 気づけば。



 ランカの手は、ずっと俺の袖を軽くつかんだままだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ