表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【御礼10,000PV到達】戸侯記  作者: 和音


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/75

6-1 丹波亀山

新章スタートです。


丹波亀山城――


南丹、すなわち丹波国南部の亀山に築かれたこの城は、三重の天守を戴き城下町を丸ごと囲い込む総構えの堅城であった。

くしくも、ここは明智日向守光秀が丹波を統べる拠点としていた城である。

山崎の戦いにおいて羽柴軍が明智軍を破り、清須会議を経て羽柴秀吉が実権を握ると、京都にも近い要地である丹波国は秀吉に与えられた。

その丹波亀山城主となったのが羽柴秀勝である。


天正十二年(1584年)、小牧・長久手の戦いに近江草津に陣を布き参戦した秀勝は、陣中で体調を崩し美濃にある大垣城で養生していた。

翌、天正十三年(1585年)の初夏の頃には体調を戻し、正三位・権中納言に任ぜられた秀勝は、丹波亀山城へ帰参するも、再び体調を崩し病の床にあった。




-------------------------------------




天正十三年(1585年)葉月(8月)――


天を焦がすかのような盛夏の中天の日差しが、山裾に広がる小さな城下を容赦なく照らしつけている。

土塁は乾ききって白くひび割れ、踏み固められた道を歩くたびに細かな砂埃が舞い上がった。

風はなく、ただ熱だけが重く垂れこめている。



「……暑すぎるな」


「ここは盆地ですゆえ…熱がこもります。風も吹かず雲もありませんし……」


「そういえばしばらく雨降ってないな。雨乞いでもすりゃいいのに……」


「でもこの暑い中、雨乞いの祝詞を長々と聞くのも……」


「……嫌だな……」



寺への遣いの帰り道、暑さに辟易しため息まじりに――少々不謹慎な会話を交わしているのは、

松丸と半佐(はんざ)である。


それぞれ、十三と十八になっていた。

家に着くと、松丸は土間に上がり板縁に腰を下ろした。

すぐに半佐が、水を張った桶を抱えてくる。


沓脱ぎ石の上で草履を脱ぎ、そのまま桶へと足を突っ込む。


「――気持ちいいな……。半佐、そなたも桶を持ってきてやってみよ」

笑みを浮かべ、ため息交じりに言う。


「そのような不作法は出来ませぬ」

微笑みながら、足を拭く布を差し出す半佐。


松丸は苦笑いを返す。


「――さて、始めるか」



足を拭き、家の奥へと上がる松丸。

部屋に入るとそこには文机が並んでいた。


「半佐、次郎丸と志野を呼んでくれ」


そう言うと、墨を水で擦りはじめた。

松丸が墨を摺る音が、静かな部屋に小さく響く。



半佐が次郎丸と志野を連れて入ると、三人はそれぞれ文机に向かった。


兄様(にいさま)、おかえりなさい」

志野が微笑んで言った。


「よろしくお願いいたします!」

次郎丸が声を張り上げる。


半佐は静かに座り、松丸を見て少し頭を下げた。

三人も同じように、墨を水で摺りはじめた。



松丸は、ゆっくりと筆を運び墨の香りを深く吸い込んだ。

紙の上に文字が滑らかに浮かぶたび、心が少し落ち着いていくのを感じる。


外の猛暑とは裏腹に、部屋の中には穏やかな静けさが広がっていた。



「……志野、次郎丸、筆の運びをもう少し丁寧に」

松丸の声は穏やかだが、注意の厳しさが含まれている。


志野は眉をひそめつつも、慎重に筆を滑らせる。

次郎丸は勢いに任せた線を何度も訂正しながら、必死に松丸の指示に従った。



三人は、松丸の書いた文字を見本に書いていた。


半佐は少し離れた位置で、二人の様子を静かに見守りながら同じように書いていた。

その文体は見事であった。



外では、城下町の喧騒が遠くに漂ってくる。

松丸はふと窓の外に目をやり、陽炎に揺れる山並みを眺めた。


その時、半佐が土間の方を見て小さく手を挙げた。

「松丸様、殿がお戻りでございます」


松丸が土間の方を見ると、父である永勝がこちらを背に板縁に腰を下ろし、女中から足拭きの布を受け取っていた。


「お帰りなさいませ」

松丸は永勝の側まで進み、跪いて挨拶した。

後ろには筆を置いた次郎丸と志野が続き、少し離れて半佐が頭を下げ控えていた。


「うん……今日も暑いな」


そう言うと永勝は手拭いで汗を拭きながら板の間へ上がってきた。


「お早いお帰りですね」


松丸が言うと、永勝は表情を締めて、


「うむ……松丸、そなたに話があり戻った。

次郎丸と志野もこちらへ。

半佐、華らも呼んでくれ」


そう言うと、永勝は腰の刀を外しながら隣にある広間へと歩いて行った。





確認が甘く、ひどい間違い多数でした。スミマセン(汗


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ