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戸侯記  作者: まさごろう


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25/46

4-7 行徳寺

ご評価ありがとうございます。

励みになります。


書くにつれ文体や改行、表現までも変化してきています。

なにぶん初めて書いているので、自らは「向上してる!」とポジティブに捉えてはおりますが、いずれ纏まった段階で全体的に校正するつもりです。


思いっきり作者都合で、読みにくいかもしれませんがご容赦願います。


翌日、空はいまだ薄暗く、暁七つの頃であった。

澄み切った空気の中、東の空には次第に茜雲(あかねぐも)が広がりつつある。



足軽一同は規律正しく、凛として境内に居並んでいた。

本堂前の階段脇には、三つの輿が静かに据えられている。



やがて、静寂を破ることなく本堂の扉が開き、兵庫助、性慶(しょうけい)、そして側付きの泉慶が姿を現した。

続いて行徳寺の住職と、その側付きと思わしき僧が一人、後に従う。


次いで秀吉の奥方・ねねの方、秀吉の母・なか、小一郎の奥方・お智の方が本堂を出ると、それぞれ側付きに手を取られ、階段を降りてゆく。

三人は順に輿へと乗り込んだ。


それを見届けると、性慶と泉慶も草鞋を履き、輿の側に控える。


最後に兵庫助が階段を降り、足軽が手綱を引いて待たせていた馬に跨ると、一同を静かに見渡した。


「――皆、帰るぞ!」


「おう!!!」


兵庫助の一声に、皆が応える。


「出立!!」


その号令とともに、兵庫助を先頭として、昨日伝令として訪れた騎馬武者三人が続く。

兵庫助は本堂前に佇む行徳寺の住職へと軽く会釈し、寺門へ向けて歩みを進め始めた。


その後を輿とその側付き、性慶と泉慶、次いで足軽らが続き、往路と同様に殿には松丸と長松、そして半佐(はんざ)が最後に控えた。



松丸ら一行は、家族の待つ近江長浜城を目指し、静かに旅立った。



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甲津原から長浜までは、おおよそ七里ほどの道のりであった。

一行は終始穏やかに進んだ。


道すがら、行き交う旅人や荷を負った商人の姿はあったが兵庫助らは隊列を崩すことなく歩を進め、輿の揺れを気遣いつつも、自然と足は早まっていった。



日が高くなるにつれ朝の冷えは和らぎ、水面に苗の揺れる田畑の向こうに、山並みが淡く霞んで見える。

兵庫助は折に触れて振り返り、輿と殿の様子を確かめたが、皆の足取りに乱れはなかった。



まだ陽のある夕刻、遠くに天守の影が姿を現すと、隊の空気がわずかに緩む。



城下に入るころには、輿の中からも安堵の気配が伝わってきた。

門前で改めを済ませ、一行は滞りなく城内へと迎え入れられる。


こうして松丸ら一行は、道中何事もなく、無事に近江長浜城へと帰着したのであった。






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