01.才能亡き者と恐怖の大王
連載始めます。
全くの初心者なので誤字脱字等の不備がありましても温かい目で見ていただければなと思います。
よろしくお願い致します‼︎
2013年7月10日。
夏の匂いが、教室の窓から入り込んでいた。
だが、教室の片隅に座る小さな少年には、その匂いも遠い世界の話に思えた。
「おい、ゼロスがまた一人でなんかしてるぞww」
「カリスもゼロなのに、なんで生きてるんだよw」
背後から声が飛び、クラスメイトたちの笑い声が重なる。やんちゃなクラスメイトたちは、まるでお気に入りのおもちゃでも見つけたかのように、主人公を囲んでは笑い、突き飛ばす。
「お前、カリスもないくせに偉そうにしてんじゃねえよ!」
「ほんと一人でいるしかないんだな、キモッw」
9歳の小さな体は、その言葉と軽い暴力で震えた。主人公は小さくうずくまり、息を殺す。涙が一瞬、瞳の縁に光るが、すぐにこらえる。
彼には、助けてくれる友達や手を貸してくれる友達すらいなかった。だから、いつも一人で、黙ってやり過ごすしかなかった。
「見ろよ、ゴミの顔にゴミがついてるぞ!w」
今度はランドセルに足をかけられ、前に押し倒される。教室の床は冷たく、硬い。くぐもった痛みが背中に走る。もがくこともできず、ただ耐えるだけ。
この小さな、非力な少年こそがこの物語の主人公である。
時代は1999年7月5日に遡る――。
あの日を境に世界は劇的に変った。
空には突如として現れた巨大な影。闇を切り裂くような光とともに、恐怖の大王が地上に舞い降りたのだ。人々はその姿を目にした瞬間、理性より先に恐怖が全身を駆け巡った。
大王は自らを『”マグヌス”』と名乗り低く響く声でこう言った。
「我が名は”マグヌス”。母星のラグロクによって、別銀河系からこの惑星に来た――3000年ぶりの再来だ。貴様らの恐怖は、まだ序章に過ぎぬ…。この星のすべてを、我がものとする――抵抗は無意味だ。ゆっくり味わおう。貴様らの恐怖、絶望、全てをな‼︎」
マグヌスの言葉が響き渡った後、人類は総力を結集した。
核兵器、最新鋭の戦闘機、ミサイル、そしてあらゆる最先端兵器――全世界の戦力を注ぎ込み、地球は総力戦の様相を呈した。
だが、空に現れたマグヌスは、その攻撃をただ眺めるだけだった。
砲撃や爆炎が周囲を引き裂き、街や都市が崩れ落ちる中でも、大王の表情は変わらない。いや、むしろ退屈そうな表情に見えた。
「無力な者たちよ。”ᚸᚣᛃ”も使えないとはな…。興醒めだ。」「我は我が惑星マグに帰り、数十年かけてこの惑星の崩壊をじっくり観察するとしよう。」
その言葉が響き渡ると、空を覆うような眩い閃光が走り、次の瞬間にはマグヌスの姿は一瞬にして消えていた。まるで光そのものに吸い込まれるかのように、空に何も残らない。地球上に残されたのは、荒れに荒れた凄惨な大地だけであった。
あの日から、地球は新たな恐怖に支配されることとなった。
一ヶ月に一度――必ず閃光が空を覆い、前触れもなく侵略者たちが姿を現す。人々はこの閃光のことをラグ、この侵略者のことを”レイズ”と呼び恐怖した。彼らはただの僕ではない。再生能力によりどんな傷も瞬時に修復し、決して倒れない。身体能力は人類の数千倍を誇り、どんな武器も攻撃速度も容易にかわす。皮膚はダイヤモンドと同等の硬度を持ち、弾丸も砲撃もほとんど通用しない。空中を浮遊し、瞬時に場所を移動するその姿は、まるで地上のすべてを見下ろす悪夢そのものだった。彼らは世界各地の都市を蹂躙し、インフラを破壊し、人々の生活を一瞬にして混乱の渦に巻き込んだ。空を裂く光の中、兵器もビルも、一度触れられれば無力化されるかのように破壊される。約一週間――レイズたちはその地域一帯を完全に破壊し尽くす。そして、破壊の限界まで暴れた後、レイズたちは一瞬立ち止まり、満足そうにその街を見下ろす。彼らがまるで達成感を味わったかのような表情を浮かべると同時に眩い閃光が空を覆うと、次の瞬間にはすべての姿が消え去った。まるで風景の一部が吸い込まれたかのように、残されたのは焦土と、次に現れる恐怖の予感だけだった。
街は次第に防御拠点と化し、避難民があふれ、絶え間ない恐怖が日常となった。
人類は総力を挙げて抵抗するものの、レイズは閃光と共に現れ、同じ速さで消える。まるで世界を試すかのように、地球に現れては、辺り一体を破壊し尽くし満足すると再び姿を消す。
そのたびに、”ᚸᚣᛃ”がわずかに揺れ動くのを感じる者もあった。しかし、その力の意味を理解できる者はいなかった。
恐怖と絶望、そして生存本能だけが、静かに人類の体内で眠る力を目覚めさせようとしていた――。
ep.1では前半は主人公の小学生時代、後半は恐怖の大王について触れる内容になりました。
物語は1999年7月のノストラダムスの大予言が当たっていた世界線の内容になっております。
次回以降から主人公やカリスについてがっつり触れていきたいと考えております。
今後も乞うご期待‼︎