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うふとえっぐと、コロポックルのころん

 ここは、妖精さんが住む島。

 お空にぷかぷか浮いていて、島にはお星様の形をしたお花がゆらゆら揺れて、ハートの形をした木の実がなっていたり、綿菓子のような雲が浮いていたり。


挿絵(By みてみん)


 そんな島に住む妖精さんたちは、色や形が違っていても、みんなウサギのように長いお耳が生えている。

 お手伝い妖精として、誰かのお手伝いに向かう。


 ありがとうの気持ちを受け取る事が、何よりも嬉しい妖精さんたち。

 気が向いた時、誰かのお手伝いをしに、島の真ん中にある湖に飛び込んで、困っている人を助けに行く。そんな生物がここに暮らしている。


✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼

こちら、コロンさま主催の『アフォの祭典』参加作品です。

うさぎの妖精さんシリーズ『えっぐと うふと、宇宙人なともだち。 〜お手伝い妖精の不思議な出会い〜』に登場したキャラクターが出てきます。


「よーし、お手伝いに行くぞー!」


 おうちの中で、ひとり気合を入れる、たまご型ボディにうさぎの耳が生えている妖精さん『えっぐ』

 扉がトントン叩かれて、えっぐの返事を待たずに開きました。


「えっぐー、うふ、お手伝い行ってくるねー」


 えっぐのおうちを訪ねて来た、ピンク色をしたヒョロンとしたうさぎの耳を持つ妖精さん『うふ』

 訪ねてきた、と言ってもお知らせだけして、そのまま目的を果たしにいくため、おうちにお邪魔することはなく、手を振って扉を閉めようとします。


「あ、えっぐも行くところー」


 えっぐからの声に、うふはぴたりと止めました。

 少しだけ口角を上げて、えっぐへ訊いてみる。


「一緒に行くー?」

「行こう!」


 ひとりだと難しいことでも、ふたりならできるかもしれない。お手伝いの幅を広げて、たくさん喜んでもらおう。

 妖精さんたちはニコニコ笑顔を浮かべて、島の真ん中の湖まで、軽快な足取りで向かいます。


 島の真ん中にある、桃色の湖は、妖精さんたちが島を出るときに使うもの。

 ここに入れば、出たとき、困っている人のところへ辿り着けるのです。


「「せーのっ」」


 手を繋いで、湖にぽちゃんと入ったうふとえっぐ。

 困っている人を助けよう。




 湖から抜けたさき、そこは森の中。

 切り株の上に、小さな女の子がいました。

 

「わわ、倒れてる!」


 あわててうふが近寄って、女の子の様子を見てみると、うつ伏せに倒れているけれど、肩で息をしていて、疲れて突っ伏しているようです。


「ん? はっ、だ、だれ!!?」


 声がしたので、女の子はあわてて起き上がり、後ろに飛びのきました。

 声がした方をキッと睨みつけて、とても用心深い顔つきをして、うふとえっぐに目を向けます。


 が、うさぎの耳が生えたヒョロンとしたコと、うさぎの耳が生えているたまごのボディのコ。

 ぱっと見ぬいぐるみのようにも見えるし、その表情はぽやんとしていて、敵意は全くありません。


「えっぐだよ」

「うふだよ」


 誰、と聞かれたので、素直に名乗る妖精さんに、毒気を抜かれた小さな女の子。


「あ、あたしコロポックルのころん」

「わー、おんなじ妖精仲間ー!」


 ころんも、きちんと名前を伝えます。

 うふがにっこり笑ってバンザイをしました。コロポックルも妖精の仲間。会えて嬉しいようです。

 えっぐもニコニコ笑顔で小さな手を伸ばしました。


「よろしくね、ころん」

「よろしく……」


 ニコニコと握手を求めてきた目の前の妖精に、ころんはちょっとびっくりしつつも、うふとえっぐの笑顔が、安心感をもたらします。そっとその手に触れると、きゅっと優しく握られました。

 握手をした手をはなすと、えっぐは言葉を続けます。


「ころんは、何してたの? すごく疲れてたみたいだけど」

「ハンターに追われていたの。あ、ハンターってのはコロポックルを捕まえて、高値で金持ちに売りつけるようなやつよ」


 ころんが大変な目に遭っている! とびっくりして飛び上がるえっぐ。うふも悲しそうな顔をして、ころんをそっと撫でました。


「ん? なんか、聞こえるー」


 うふの耳がぴこぴこ動きます。えっぐも耳をぴこぴこ動かして、音を探しだしました。

 ころんの耳に届くのは、森の中の草木がほのかに揺れる程度の音しかありません。


「えーとね、「へっへっへー、コロポックルちゃん、どーこかな、ふひひひっ」て気持ち悪い声が聞こえる」


 うふが聞こえたのは誰かの声。独り言を言いながら歩いている音が聞こえるそうです。

 声も歩いている音も、ころんには聞こえませんが、うさぎのように見える妖精さん、耳がとってもいいのだろうと思いました。ころんはその言葉を信じます。


「多分、そいつハンター! 大変、逃げなきゃ」


 あわてて切り株から飛び降りるころんを、うふがふわりと掴まえました。


「自分の背より高いところから飛び降りるの、危ないよー」

「あ、ありがとう……」


 えっぐはたまご型ボディをぐいーんとそらして、上を見上げて言葉をこぼします。


「木の上に逃げれば、はんたーってやつから見つからないよね」


 みんなで上を見上げるが、この辺りの木は、枝の位置がとても高くて、小さなころん、うふ、えっぐでは登れるようには思えません


「上の枝まで登れるならきっと見つからないけど、あんなとこ行けないよ……」


 15センチくらいのころんには、どう頑張っても登れない高さです。

 悲しそうな顔を浮かべるころんとは違って、うふとえっぐはにっこりと笑顔を浮かべて頷きます。


 そして、えっぐはぐーっと力を入れて、羽をぽんっと出しました。


挿絵(By みてみん)


 ころんからは見えないけれど、うふも羽を出しました。


「うふも落とさないように気をつけるけど、ころんもちゃんと掴まっていてね」

「へっ?」


 すっとんきょうな声を上げた瞬間、ころんの目に映る景色は普段とは全く違うものになり、瞬く間にはるか上の太い木の枝の上に到着し、枝の上にゆっくりと降りました。

 うふが足を伸ばして座っても、足は木の枝から出ることがない、太い枝なので、見つかることもなさそうです。

 えっぐは、ゆっくりパタパタと羽を動かして昇って来ています。


「ここからなら、離れているし、はんたーにも見つからないよ」

「ありがとー! ころんじゃこんな高いところ来れないよ、すごいね!」

「うふとえっぐ、飛べるんだー」


 ようやく追いついたえっぐも、木の枝に降り立ち、ちょこんと座りました。

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― 新着の感想 ―
あわわ!?、あのうさぎの妖精さんシリーズ『えっぐと うふ』がまた登場してくれるとは、とても嬉しいです〜♪(*人´ω`*)<前と同じく、やさしいやり取りで物語が進むのが愛らしいです〜♡ コロポックルに…
ハンター… 「へっへっへー、コロポックルちゃん、どーこかな、ふひひひっ」 誰だっ!これは怖すぎるよ! のんびりした口調のうふとえっぐが可愛くて癒される♡ 15センチのころん。 楽しみ♡
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