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ブランコ

作者: 颯姫

 母に手を引かれて保育園から帰る時、いつも公園のブランコでその女の子は遊んでいた。母の都合で公園で遊んで帰る事はできなかったので、ちょっと羨ましく思っていた。

 小学生になって母の後ろについて学童から帰る時も、その女の子はブランコで遊んでいた。ブランコが揺れるギーギーという音が少し寂しそうに聞こえた。

 4年生になって学童で仲良くしていた近所の1つ上のお姉さんと帰るようになった。

「駄目だよ」

 ブランコの揺れる音に反応して、ブランコに目を向けた私に、お姉さんはそう言った。

「見ちゃ駄目。あれは人ではないものだから」

 その時初めて、その女の子の姿が全く変わってない事に気付いた。

 アレハヒトデハナイモノ…。

 夏休みが始まってすぐに、私は母と一緒に新しいお父さんの家に引っ越した。でも…ブランコの女の子はやっぱり近くの公園にいる。

 ギーギーとブランコが揺れる音。私は女の子が遊んでいるブランコの隣に座った。なんとなく家に帰るのが嫌だった。家には今、母と生まれたばかりの弟がいる。 

「帰りたくない」

 そう呟いた時、ゴォォォっと強い風が吹いた。


 ギー。ブランコが揺れる。

「2人なら寂しくないね」

 女の子は笑う。寂しくない?お母さんが泣いている。帰らなきゃ…。寂しい…。


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