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3.異世界屋台の串焼き肉ランチ

 

 場所は辺境都市バルガの城門。時間は午前10時くらいだ。リッカの目の前には、数人の男性グループがいる。

 リッカはフードを目深に被って、だいぶいかつい風貌の彼らと少し距離を取りつつ、ゲートチェックの順番を待っていた。


「バルガはわりと安定して稼げるっていうからな」

「帝国に行く前に稼げればいいよな」

「わりと採取依頼が多いんだろ。面倒じゃねえか?」

「馬鹿かお前。討伐ついでに集めといて換金しとけばいいじゃねえか」

 マントや外套の下は鎧のようなものを着込んでいる。

(多分冒険者だ……初めて見た)

 程なく彼らがチェックを通過し、次はリッカの番と相成ったのだが、身分証が無いということで有料の仮証を発行せねばならず、 発行手続きはわりと面倒だということがわかった。


(身分証に関してはちょっと考えないとなぁ)


 このやりとりを毎月繰り返すということは、顔見知りが出来るということになる。

 特に誰とも関わらない気楽な暮らしを希望してるリッカにとっては、出来れば必要以上の知り合いを作るのは気が進まなかった。人当たりのいい門番の仮証係とのやり取りは、何故か疲労感を感じてしまっていたのだ。

(悪い人じゃなかったんだけど……)

 その場では門番のテンションに合わせるようににこやかに対処できていたと思うし、不快感を感じるどころか人柄に好印象を覚えていた。

それなのにふと疲労感を感じる自分自身に、リッカはため息をついた。


 神殿の周りは人で溢れていた。神殿が賑わっているというよりは、その周りの出店が賑わっているのだ。人の流れに乗って神殿の入り口までたどり着き、ご自由にどうぞという看板を横目で読んで中に入る。祈りの作法も周囲を盗み見て座って手をあわせる。合わせても組んでも特に咎められることは無いようだ。


(セカイさん、こんにちは。街まで来れましたよ)

 一口に街まで来たと言っても、地図とにらめっこしたり、数日かけて転移術を習得したり……

(まあ色々……楽しくやってますよ)

 ふわりと心地よい暖かい風が吹き抜けた気がした。実際は、リッカの上に柔らかい光がふわりと差し込んだ様に見えている。見えていないものでも、何か清々しい雰囲気を感じたはずだ。


 リッカはそれほど時間を過ごすことなく外に出た。神殿を出て辺りを眺めながら歩いていると、目の前の串焼き屋と目が合った。

「腹減ってないか? ウチのはスパイスが自慢なんだよ」

「1つください」

「まいど!」

 店主はジュウジュウと油の滴る串を差し出したので、硬貨と交換するように受け取った。

(結構大きい……)

 大きいなとは思っていたが、子供の拳程度の肉眼でゴロゴロ5つほど。周囲の出店の串焼きの倍くらいの値段だったが、このボリュームなら納得だ。

 周囲の人々に倣って道の脇で齧り付く。肉の表面には、ハーブを乾燥させたものを細かく砕いたもの、胡椒や何かプチプチとした歯応えのスパイスがまぶしてある。

(塩、胡椒が少し……バジルみたいなハーブかな? もともとソースみたいなタレか何かに漬け込んであるみたいだったけど)

 味は確かに美味しいのだが、食べていくうちに冷めてきた。

(冷めてくると硬くなって来た……)

 リッカの体はセカイさんの作ったレイヴァーン仕様のもので、顎が弱くなっているという21世紀の日本人の顎では無いはずなのだが、2塊めを食べ終えるまでに、だんだんと顎が痛くなってきた。

(ナイフか何かで切り分けたほうがよさそう)

 ふと周囲を見回すと、門で見かけた冒険者達が同じ串焼きをナイフで器用に削ぎ落とす様にして食べていた。それでも一口が大きかったが。


 リッカは、行商人を装うための背負子のなかに残りの串焼きをしまうフリをして、アイテムボックスに収納した。

(残りは晩ご飯にしよう)


 街を歩こうかとも考えたが、なんとなく疲れを感じたので家に戻ることにした。門番に仮証を返そうとしたところ、お金を払うことこそ変わらないが、次回も使えるので持ち帰る様に教えられた。


 門から離れ、人がいないのを確認して家まで転移して、やっとフードを外して深呼吸をした。

(あー……ただいま)

 誰もいないことは確認するまでも無いし、結界+探知魔法に何も変化はない。

 いつもの癖で洗面所で手を洗う。ちなみに水道は地下水を引いているのでとても冷たい。

 リッカは水道を引くにあたって色々とアイテムボックスの中の読み込み、水の魔法と探知魔法、ポンプの様に水を汲み上げる仕様を調べた。それも実は、神殿に行くための調査に気が乗らなかった、ただの現実逃避だった。

 顔までザバザバと洗ってからまた息をついた。


(ため息じゃ無いよ。深呼吸)


 鏡に映る茶髪と茶色の目の、細身の人物。

 まだ見慣れない自分を、リッカはぼうっと見つめた。



———————————————



実は初めての異世界ランチ✨


デカ盛り系食堂&夜は酒場が出している、屋台の串焼き


•材料は牛に近い魔物の肉(いつも冒険者ギルドから仕入れる。牛の赤身肉に近い)

•店主のおばあちゃんからの秘伝の漬け込み液

•同じく秘伝の配合のスパイス


熱いうちはいいのだが、冷めると硬くなるのが玉にキズ。


お肉派にとっては素敵なメニュー。

子供にとっては『あれを1人で食べ切れる様になったら大人の証』的なメニューらしい✨

このあと食べ残した物でのアレンジ夕飯まで書くつもりが、長くなりすぎたので分割しました。

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