冒険の始まり
春の木漏れ日が木々から漏れる穏やかな1日、この日の事は俺は一生忘れることが出来ないだろう!
俺、エドワード・カイザンは今日の成人の儀でようやく大人の仲間入りをすることになった。
この国の法律では15歳で成人を迎え、同時に結婚をする事が出来る様になる。
だが、それは貴族や金持ちなどのごく一部だけで平民は大体が18歳前後だ。
平民でも15歳でも成人を迎える者もいるし、中には20歳までに成人を迎える人もいる。
そして今日、俺は15歳になり大人と同じ様に働くことが出来る、特に俺の住む和国は15歳で仕事に就くことを美学とし、侍と貴族以外の職に就き和国中に旅立っていく、俺の場合は離れて暮らす父親が侍であるからこれからギルドで職業を侍で登録をする事できる。登録後は侍として仕事をすることになるのだが…………..。
「えっと…….、ここか。」
地図を見ながら何とかギルドに着くことが出来た。
「こんにちわー」
ギルドの中に入ると多くの人で賑わっていた。
冒険者はもちろんのこと受付嬢もいる、さらにギルドマスターまで執務室から出て対応しているいるではないか!
「こんにちわ、本日はどのようなご用件でしょうか?
そう言うのはこのギルドで一番美人な受付嬢だった。
「あ、あのすいません父さんの紹介でここに来ました、侍になりたいんですけど……」
すると彼女は少し驚いた表情をした。
「まぁ貴方がカイザン公爵様の跡取り息子ですか!」
「はい、そうですけど……何か問題でもありましたか?」
「いえいえ、そういう訳ではありませんよ?ただ貴方のお父様から聞いた話だともっとこう……なんというか子供らしい感じの方だったので」
受付嬢の目からは俺は父親から聞いていたより老けて見えるらしい。
「うっ…….そ、そんな事より早く登録して下さい、今日は刀が拝領される聞いて来たのですから時間が惜しいんです」
「あら、そうですね。それではこちらへどうぞ」
そう言われて案内された場所は小さな個室だった。
「ここで少々お待ちくださいね」
「分かりました」
しばらく待っているとドアが開かれ先ほどの女性が戻ってきた。
「それじゃあ行きましょうか」
「はい」
そしてまた別の部屋へと移動した。
そこには一人の無骨な老人がいた。
「ほぉう、お前がカイザン公爵家の息子か」
「初めまして、エドワード・カイザンと申します」
「ふむ、わしはこのギルドで剣術講習と刀匠をしているオガミと言う。よろしく頼むぞ」
「はい、こちらこそお願いします」
俺は、オガミに軽く頭を下げ挨拶をし、彼と会話を続けた。
「まずは、尋ねるが剣術について聞きたい。先ずはどの流派を使う?」
「俺が使える流派は4つです、一つ目の流派は式典での演武に使う皇武演桜流ですね、2つ目はカイザン流抜刀術です、3つ目は極法流で最後が無天流です。」
俺は偽ることなく、現在使える流派を答えた。オガミは、そんな俺を品定めをするかのように見据えている。
「つぎは、手を見せてみぃ!」
俺は、オガミにそう言われると両手の平を上に向け見える位置に差し出した。だがオガミは、差し出した俺の手をさらに引っ張り、ゴツゴツした手で俺の手を触り一つ一つ確認していく。
「よく使いこまれた良い手だ、この手なら.....」
オガミは黙り込み考え込むと
「そこで少し待っておれ、とっておきのを見繕ってやるわい。」
オガミはそう言うと奥へと続く通路に消えると一本の刀を持って戻ってきた。
「これが今日から貴様の相棒となる刀だ。大事にするんだぞ?」
「ありがとうございます」
渡された刀を見てみるととても綺麗で思わず見惚れてしまった。
鞘の色は黒を基調としており鍔の部分にも龍のような装飾が施されている。柄巻は白に近い灰色をしており、柄頭には小さい水晶玉のようなものが付いている。
刃紋はとても美しく波打っておりまるで生きているようだ。
「凄い......、本当にいいのかこれ貰って?」
俺は刀を見た瞬間から目が離せなくなり、本当にこの刀と釣り合いが取れているのか不安になっていく。
オガミは、そんな俺を励ますかのように、
「構わんさ、妖刀龍翔じゃがこいつが勝手にお前を選んだじゃからな!よく言うだろう、超一流武具は使い手を選ぶと。」
(まさか、インテリジェンス・ウエポン)
「え!?そうなんですか!?」
オガミは厳つい顔を破顔しながら答える。
「ああそうだ、だからこいつに選ばれたお前は立派な侍になれるんじゃ」
「はい!頑張ります!」
こうして俺は侍としての一歩を踏み出したのだ。
「それで、カイザン公爵家の方針ははこれからどうするのだ?」
オガミは、エドワードの事をよほど気にいったらしく
「まずは、修行しろって言われてるんで暫くはこの国で生活しようと思います」
「そうか、まぁその方が安全ぢゃろうな。それにこの国は治安も良いし安心できるしの!」
「はい!俺、必ず強くなってみせます!」
「おお!そうか!頑張ってくれよ!それじゃあそろそろ時間だし行くとするかな」
「あ、はい!今日はありがとうございました!」
「気にするな。それと今度ワシの道場兼工房にもに遊びに来るといい。きっと良い経験になるはずぢゃ。」
「本当ですか!是非行かせてもらいます!」
俺は、小部屋を出るとギルドの受付へ戻って行った。
「お疲れさまでした、これで手続きは全て終了しました」
「ありがとうございました!それでは失礼します!」
「はい、お気をつけて」
そう言って俺はギルドを後にした。
「よし!早速帰って母さんに伝えよう!」そう思いながら帰路についた。
「ただいまー」
そう言いながら玄関の扉を開けるとそこにはメイド服を着た女の人が立っていた。
「おかえりなさいませ若様、旦那様が聖城京よりお戻りに若様を呼んどりました。」
「え?父さんが?」
「はい、至急とのことでしたので急いでご準備をして下さい」
「わ、わかった、着替えたら行くよ」
そうして俺は自室へと向かい。
数分後、着替えを済ませた俺は父のいる執務室に向かった。
「父さん、来たよ」
すると父さんは執務の途中らしく机の前に座っていた。
「あぁ、すまないないきなり呼び出したりなんかして。とりあえず座ってくれ」
そう言われたので俺は机の近くにあるソファーに座ることにした。
「父さん、何の用?」
俺は、とりあえずどんな用か尋ねてみる。
「実はな…….お前に紹介したい人がいるんだ」
「紹介したい人?」
「あぁ、まぁお目付け役みたいなもんだがな」
「へー」
すると突然目の前に魔法陣が現れた。
「な、なんだ!?早いな!」
「父さん……これって……」
「あぁ、恐らく転移魔法の類いだ」
そう言っている間に魔法陣から一人の男が出てきた。
「初めましてカイザン家当主ナグル殿に、エドワード殿、私は陰陽師のミトゥース・ニードルと申します」
そう言うとその男は深々と頭を下げてきた。
「は、初めましてカイザン家長男エドワード・カイザンです。えっと……父さんの知り合いですか?」
「ええ、まぁそんなところです。しかし驚きました、まさかカイザン家の跡取りがこんなにも若い方だったとは……」
「え?そうですか?」
「ええ、普通ならもっと年配の方が多いですから」
「まぁ、そうですよね」
「さて、挨拶はこれくらいにしておいてそろそろ飯にせんのか?」
「それもそうですね、エドワード君もお腹が空いたでしょう」
「いえ、まだそこまでは…….」
「遠慮しなくていいんですよ、ほら、食堂に行きましょう」
「は、はい」
そして俺は二人の後を付いていった。
食堂では普段と違い豪勢なものがいくつも並んでいた、美味しそうなご馳走を目の前にしてたまらず飛びつきたくなる。
「おっ美味しい!!なんだよこの肉!!」
「そうじゃろう?なんせ、このわしが直々に買い付けをさせたドラゴン肉のステーキだからな」
「うん、確かに美味しいけど……流石にこれは食べ過ぎじゃない?」
「何を言っとるんじゃ!これからは修行に出るからいい物はいつ食えるか解らんぞ」
確かにそうだ明日からギルドで受けた依頼をやらないといけなくなるかもしれないからな。
「それにしても、エドワード殿は本当によく食べるんですねぇ」
「ええ、昔からそうなんであまり気にしないでください」
「いやいや、とても凄い事だと思いますよ?私なんていつも残してしまうので」
ははは、そう言えばミトゥースさんって歳いくつなんです?」
「ん?ああ、そういえば詳しい自己紹介がまだでしたね。私は今年で16歳になります」
「へぇー!俺の一つ上かぁ」
「ふむ、それじゃあエドワード殿は15歳なんですね?」
「そうですね、やっと成人しました!」
「そっか、私の方が一つ上なのか」
俺は、ミトゥースさんと自己紹介を兼ねた談笑で、時間を忘れるほど会話を楽しんでいた。
「おい、二人とももう食い終わったんなら早く行くぞ」
そう言って父さんは先に部屋を出て行った。
「あはは、それではまた明日来ますので」
ミトゥースはそう言い転移魔法で屋敷を後にする。
「あ、待ってよ父さん!」
そうして俺は、自分の部屋に戻って行った。
「ふぅー、やっと寝れるな」
そう思いベッドに横になった瞬間、部屋の扉がノックされた。
(誰だろう?)
俺は起き上がってドアノブに手をかけた。
「はい、誰ですか?」
するとゆっくりと扉が開かれていった。
「あら、やっぱり起きていたのね」
「母さん!?」
扉の向こうには母さんがいた。
「どうしたの母さんこんな時間に」
そう聞くと母さんは少しだけ恥ずかしそうに言った。
「実はね、あなたに伝えないといけないことがあるの」
「伝えないと行けない事?」
「ええ、それはね.....、修業は和国から出て、中大で行うようにしてね。」
その言葉を聞いた時俺は自分の耳を疑った。
「俺が、和国を出て外の国に?」
「ええ、お父さんと話し合って決めたことなの」
正直なところ不安しかないが、俺だって男だしこういう展開に憧れが無かったわけでもない。
「でも、どうして急に?」
すると母さんは真剣な顔で話し始めた。
「実はね、最近この辺りの森で魔物が増えているらしいのよ」
「それで、父さん達が討伐に行くことになったの?」
「ええ、そう言うことなるわ。それともう一つあるのだけど」
「何?」
「実は、この前ギルドに行った時に聞いたんだけど、なんでもあのオルバの悲劇の再来が近いの、此処も無事ではなくなるって噂があるのよ」
「へぇー、そうだったんだ」
「だからもし、何かあった時にはすぐに逃げるようにして欲しいの」
「うん、わかった。その時はすぐに帰ってくるよ」
「ありがとう。それと最後にお願いなんだけど…….」
「ん?なに?」
「あなたも、気を付けてね」
「わかっているって。じゃあお休み」
そして俺は眠りについた。
翌朝、俺達は朝食を食べて早速ギルドに向かって歩いていた。
「なぁ父さん、昨日母さんから聞いたんだけどさ」
「エドワード、なんだ?」
「オルバの悲劇の再来が近いのていうあれ、本当だと思う?」
「さぁな、ただのデマかもしれんし、真実だったとしても今の俺たちがどうにか出来る相手じゃないからな」
「確かにそうだよね」
そうこうしているうちにギルドにたどり着いた。中に入ると相変わらず人がたくさんいて賑やかだ。
「さて、まずはどんな依頼主にちゃんと会うんだぞ、ワシはギルドマスター達との用事があるから、ミトゥース殿と頑張れよ」そう言って父さんはカウンターの方に歩いて行った。
(まぁ、別に良いけど……)
「じゃあ、エドワード君。行きましょうか」
突然ミトゥースさんに後ろから声を掛けられ、ビックリしてしまい、
「おどかさないで下さいよ、分かりましたから!」
そして俺は受付の所に向かった。依頼主はケビン・ストーク博士で、依頼内容は博士が遺跡のある洞窟に行くのを護衛するということだ。
「こんにちは、今日はよろしくおねがいします」
「はい、こちらこそよろしくお願い致します」
「ところでその、依頼書にも書いてありますがその、なんで俺達に護衛の依頼なんかを?」
「ああ、それですか。実を言うと私の知り合いで考古学に詳しい人がいるのですが、その人から遺跡について色々と聞きまして、一度行ってみようかと思ったんです」
「な、なるほど」
正直そこまで興味は無いが、とりあえずそう答えておくことにした。
(それにしても、この人も研究者なのか?にしては白衣着てるけど……)




