表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トランク一つで、異世界転移  作者: ユーリ・バリスキー
<第七章 再会はトラブルとセットで>
99/399

#07-03 王都って案外物騒?




 水遊びか~。夏まで王都に(・・・・・・)居たら(・・・)、皆と遊びに来るのもいいかも。あ、でもこっちに水着ってあるのかな? 季節的に校外学習で水遊びの予定は無かったから、水着は持って来てないんだよね。


 そう言えば前に皆でプールに遊びに行った時、舞依ってば恥ずかしがってほとんどずっと上にラッシュガードを羽織ってたんだよね~。もちろんジッパーも上げて(笑)。


 あの時は大きい施設で人も大勢いたからね。舞依がそうなっちゃうのも仕方がない。どうせなら可愛い水着姿の舞依と遊びたかったんだけどね~。あ、でも不埒な男どもの視線には晒したくない。じゃあ、むしろ良かった? う~ん、実に悩ましい。


 ま、私はちゃんと見たけどね! 一緒に買いに行った時の試着でとか、部屋でお互いに(ファッション)見せ合った(ショーした)時とか、更衣室で着替えた時とか。


 ――誰ですか? あんた自身が不埒だろう、なんて言う人は。制裁デコピンショットをあげますから、ちょっと手を挙げなさい。


「チチッ!」


 ん? 制裁が欲しいの――って、うわっ!


 ズザザザーーッ


 カーバンクルが急ブレーキをかけたから、私の方でも魔力を切る。


 完全に停車したところで一息。危ない危ない。反応がちょっと遅かったら、トランクから放り出されてカーバンクルの背中に突っ込むところだったよ。ま、仮にそうなってもフカフカだから怪我はしないだろうけど。


「びっくりしたぁ。どうしたのいきなり?」


「キュウ~……」


 鼻を抑えて、首を横に振る? 嫌な臭いがするってこと?


 スンスン


 私は何も感じないよ? 魔力を集中すれば嗅覚もかなり上がるから、それで全然感じないってことはないと思うけど。うん? 私が……じゃなくて? ああ、人間か。人間には感じられないけど、魔物には影響があると。


 それでどういう効果があるの?


 オォォーーッ! シュッ、シュシュッ!


 気合を入れて、からのシャドーボクシング? 戦いたくなるってことか。つまり魔物限定で好戦的にさせる“何か”が撒かれてるってことね。


 …………


 え? それってかなりヤバイよね。もはやテロでしょ。ココって外れとは言え王都だよ。どうなってんの。っていうか、キミは大丈夫なの?


 ……なるほど。効果を発揮するには薄いんだ。撒かれてから時間が経ってるんだろうね。それから? ふむふむ。今のキミなら元の濃度でも多分大丈夫なんだ。ただ気持ちは悪いと。


 ちょっと気になるから回収しておくか。どうやって? それはもちろんトランクで。


 カーバンクルに臭いの濃い方を教えてもらって、そっちの方へハンマーモードのトランクを伸ばす。で、その場の空気(・・)を一気に回収。おー、風が吹くー。


 そろそろいいかな。臭いは消えた?


 グッ! キュピーン☆


 りょーかい。後は錬金釜で空気とそれ以外の成分とに分離すればいいかな。


 なんだかキナ臭いからちょっと調べてみたところ。


 どうやらごく最近、ここで戦闘があったらしい。地面が荒れてるし、結構大きな魔法が使われた痕跡もある。あと遺体を焼いたと思しき跡も。放置されてる装備品の壊れ具合や足跡なんかも合わせると、人間同士で戦ってたっぽいね。これは……もとは馬車だったのかな? 燃えた木材もある。


 あれ? でも、魔物を引き寄せるものが撒かれてたんだよね。……どういう状況なんだろう?


 薬物で好戦的になった魔物を倒した後で仲間割れをした――っていうのはなんか変だよね。薬物を使った魔物を標的にぶつけて、疲弊したところを襲って止めを刺したってところかな。


 うん? 違う? って、突然暴れ出してどうしたの? 魔物の残骸が……、薬物を与えた魔物がってことね。ああ、つまり敵味方の区別なしに暴れまくると。


 だとすると、襲撃側が返り討ちにされて、自爆気味に薬物を使って魔物を呼び寄せたって考える方が辻褄は合うか。


 …………


「ここ最近、襲撃、自爆。どこかで聞いたようなキーワードが揃ってるような気がしない?」


「キュウ、キュウ」


 腕を組んで深く頷く――のは良いけど、本当に分かってる? どこまで理解できてるんだかねぇ。ま、そこが面白くもあるんだけど。分かってる()なところもまた、カーバンクルクオリティ(笑)。


 さて、そろそろ……かな?


「君、ここで一体何をしているんだね?」


 騎獣(馬型)に乗り騎士然とした装備に身を包んだ男が二名、北の方から――つまり外周市とは逆側――近づいて来て、私に声をかけた。


「いいえ、特に何も。ただの通りすがりですよ」


「この状況は?」


「さあ? 割と激しい戦闘が最近あったみたいですね」


「君が関わっているのではないのか?」


「私が? まさか」


 しまった、思わず「まさか」に失笑が混じってしまった。案の定、騎士()の二人は少々気を悪くしたみたい。


 でもねぇ……。怪しいのは私じゃなくてそっちの方でしょ?


「挟まれてるよ、気を付けて(ヒソヒソ)」「チッ(ヒソヒソ)」


 私の視界に入る方から騎獣に乗った二人が近づいて注意を引きつつ、背後から身を潜めて接近してくる者が三人いる。魔力量的にはまあまあってとこ。一般的な商会の護衛よりは強いかなってくらい。


 騎獣に乗った二人は騎士()の装備ではあるけど、その装備品に所属を示す紋章がどこにも見当たらない。プライベートならともかく、任務中ならば身に付けておくのは義務だ。ちなみに騎獣の方にも紋章付きの装備を普通は付ける。こっちは必須ではないけど。


 以上、エミリーちゃんとのお勉強で知った情報でした。会頭さんから貰った腕輪にも紋章が入ってるから、それと似たようなものかな。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ