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トランク一つで、異世界転移  作者: ユーリ・バリスキー
<第一章 無人島>
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#01-05 異世界でお昼ご飯(でも日本の物ばかりw)




 私が校外学習に持ち込んだ非常食は家に常備していたもので、常備している以上は当然賞味期限が切れる物が出てくる。そういった物は、もちろんちゃんと食べて消費している。


 ああ、そうそう。あの手の物って、何かのきっかけで思い立った時にまとめて準備しちゃうことがあると思うけど、そういうのってそれで安心してほったらかしっていうことが多いよね。でも、たまにはチェックしておいた方が良いよ? 賞味期限とか、道具の作動確認とかね。乾電池なんて、えらいことになってる時もあるから……


 ま、それはさておき。


 要するに。私は結構日常的に非常食を食べてたりする。買う時に味見することもあるしね。だから分かるんだけど、最近の非常食(保存食)のクオリティはバカにできない。長期保存出来て、すぐに食べられて、しかも結構美味しい。


 そりゃあ基本レトルトと缶詰だから、ちゃんと料理した出来立ての物には及ばないけど、それでも十分美味しく食べられる。まあ被災した時とかに、冷たくて味気なくて栄養だけを取れるような物ばかりじゃ、精神衛生的に良くなさそうだしね。どんな時でも美味しいは正義。


 ってことで。私厳選の簡単で美味しい保存食で、お昼ご飯にします。


 えー、まずはトランクからパックご飯とミネラルウォーターを一つずつ取り出します。パックを開いて水を注いだら、一旦トランクに戻します。


 で、スロットの機能を操作して、パックご飯の温度設定を六〇……七〇度くらいかな? 炊飯器の保温ってどのくらいなんだろう。ま、とりあえず七〇度で。それからレトルトのビーフシチューの方を八〇度に設定する。


 …………


 あっ、電子レンジじゃないから待つ必要は無いのか。


 取り出すと、どちらのパックもホカホカになっていた。うん、素晴らしい。トランクよ、ありが……じゃなかった。神様、ありがとうございます。


 シチューのパックも開いてっと。ちなみにこのレトルトパックは両方ともマチが付いてて自立する、お皿いらずの優れモノ。見栄えについては目を瞑ろう。


 では、いただきまーす。


 スプーンですくったビーフシチューを口の中へ。うん、非常食とは思えない中々のお味。ゴロっとしたお肉も柔らかくて美味しい。


 ご飯の方もスプーンで一口。こっちはただの白ご飯だけど、シチューと一緒に食べるようにすれば大丈夫。まあシチューにはパンの方が良いかもだけど、パンの缶詰ってちょっと嵩張るんだよね。あと、個人的にあんまり好きじゃないし。


 うーん、それにしても味気ない。やっぱりテントの中に一人ぼっちっていうシチュエーションがダメなんだと思う。


「あ、そうだ。音楽でもかけよう」


 こっちの世界じゃあスマホなんて無用の長物だと思ってたけど、そんなことは無かった。私はサブスク派じゃなくてちょっと時代遅れのCD派だから、音楽データはメモリーに入ってるから問題無し!


 スマホスマホっと。


 スマホで音楽を流し、ついでに異世界転移のしおりも取り出す。


 ご飯を食べながらしおりを読む。BGMつき。


 うん。ちょっとは気が紛れる感じかな。




 ご飯とビーフシチューを食べ終わり、ちょっと物足りなかったからブロック栄養食のフルーツ味の方をもぐもぐ。スポーツドリンクでのどを潤す。


 うーん、食後にはお茶かコーヒーが欲しい。こんなことになるならアウトドアで使えるミルとか持ってきたのにな~。それとティーバッグとかも。


 お昼ご飯はこんなもんでいいかな。ごちそうさまでした。


 ごみの類は元のスロットに戻しておく。たぶんこれで午前零時を過ぎれば元通りになる――はず。


 さて、しおりを読んで新たに分かったことが幾つか。


 地球に居た動物や植物は、大体こっちの世界にもあるらしい。動物なら牛、豚、鶏、羊、猪、兎とか。植物なら人参、玉葱、ピーマン、茄子、南瓜、大根、トウモロコシ、小麦などなど。


 あ、食べられるものに偏ってるのは食事中だったからね。決して私が食いしん坊だからじゃあない。――たぶん。


 東西南北はこっちでも同じで、太陽は東から昇って西に沈む。方位磁石も使えるらしい。ちなみにこの星が惑星なのかどうかは不明。同じく世界地図も分からなかった。


 つまり一般人にそれらの知識は無いってことになる。文明のレベルが、地球で言うところの大航海時代よりも前ってこと? 魔法があるのに? それとも千年前にあったっていう大規模な暴走で、知識の断絶が起きた?


 うーん……、分からないことが多い。


 ただまあ恐らくこの星は惑星で、自転と公転をしてるんだろう。ついでに言えば地軸の傾きもあって四季もあるはず。


 根拠と言えるほど確かなものじゃないけど、動物や植物のことから考えると、ここは神様が地球をモデルに創造した星なんじゃないかと思うんだよね。異世界に来たっていうのに、景色というか空気感というか――そういう自然に違和感が無い。


 元の世界はこちらの世界よりもかなり上位って話だったから、ある種の成功例である地球を手本に創造したっていうのは、十分あり得る話なんじゃないかと思う。


 とはいえ、思い込みは禁物だよね。こっちの世界には魔力があるし、普通に見える動物も地球とは異なる進化をしている可能性もある。なにしろ人間以外の人類がいるわけだし。


 ま、食休みを兼ねた考察はこんなもんで、と。


 準備体操を兼ねたストレッチで体をほぐしてからテントの外へ。


 さーて、小一時間ほどのんびりしてたけど、森は静かになったかな?








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