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トランク一つで、異世界転移  作者: ユーリ・バリスキー
<第一章 無人島>
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#01-04 初めての魔法。からの……失敗!




 まずは体内の魔力を感じ取って動かす。――できた。


 徐々に早く滑らかに、体の隅々を淀みなく巡るように。――これもOK。


 体内を巡る魔力を体の外へ少しずつ放出する。そして全身を薄い膜で覆うように包み込む。――うん、バッチリ。


 放出する魔力量を増やし、より分厚い魔力で全身を覆う。――クリア


 …………


 じゃ、じゃあお次はトランクからタクティカルナイフを取り出してっと。


 このナイフは護身用じゃなくて、あくまでもアウトドアツールの一つ。ナイフ一本あるだけで、出来ることの幅がかなり広がるからね。別に普段から持ち歩いてるわけではありません、念の為。ちなみにペンチ型のマルチツール――柄の部分に色々仕込んでるアレ――も持ち込んでいる。


 全身を覆う魔力を拡張、右手に握るナイフにも纏わせる。――問題無し。


 この状態を維持しつつ、鈴音の家の道場で修めた武術の型をゆっくりと行う。その際、攻撃や防御のポイントに魔力をより厚く強固に配置。――パーフェクト。


 …………


 まずは魔力操作の練習をと、手始めに久利栖に借りたマンガで見たやり方――アレは魔力じゃなかったけどね――を真似てみたら、アッサリできてしまった。


 ありがとう、ジャパンオタカルチャー!


「って、そうじゃない!」


 思わず右手でツッコミアクションをしたら、ナイフが鋭く風を切る音を立てた。うん、もう無意識に魔力の集中ができるようになってる。


 いやいや、できちゃったよ!? それも結構簡単に!


 なんとなくだけど効果もマンガと同じように表れてるように思う。ちなみに魔力にそういう性質がそもそもあるのか、私のイメージでそういう魔法になっているのかは今のところ不明。


 疲労については特に問題無さそう。最初ってことで集中したから神経は使ったけど、慣れれば常時発動もたぶんできると思う。


 まあ……、良し。できるんだし。


 自分に上乗せされたスペックがどれ程のものなのかについては、今は考えない。検証しようのないことに思い悩むのは時間の無駄ってことで。


 では、次のステップ。放出する系の魔法。ええと、魔法の矢とかファイヤーボールとか、そういう類ね。


 その前に一旦ナイフはトランクへっと。


 ま、これも問題なさそうなんだけどね。魔力の操作に関しては慣れた。これを適当な大きさに固めて、速さを付けて外へ――撃ち出す!


 ヒュンッ


 海の方へ放った魔法の弾はかなりの速さで飛んで行き、あっと言う間に視界から消えた。


 うん、できた。もう驚かない――ことにしておく。


 はいはい。サクサク行きましょう。次は属性魔法にチャレンジ!




 結論。属性魔法についてもアッサリ出来ました。


 いわゆるファンタジー的基本属性である火・水・風・地の四属性と、作品によっては応用とか特殊とか言われる氷・雷・光・闇の四属性、全てを使えた。これまたアッサリとね。


 どの属性でもイメージがしっかりできていれば難易度に差は無いように思える。ただ水・氷・地は、物質を生み出すよりも近くから呼び寄せるイメージの方が少ない魔力量で済む。もちろん近くに水や土がある場合に限る方法だから、ケースバイケースで使い分けた方が良いだろう。


 肝心の水も、ちゃんと飲めることを確認済み。味も素っ気もないただの真水で、たぶん純水に近いんじゃないかな?


 ちなみに海のすぐ傍で、水を呼び寄せるイメージで魔法を使っても真水になった。これで長時間の航海でも水の心配は無くなったね。ひとまずは安心。


 他にもいろいろ検証してみて、付与魔法っていうのかな? ナイフに属性魔法を纏わせるっていう使い方もできるようになった。


 あと使えるようになっておきたいのは……アレかな? 探知(探索)魔法。


 積極的に狩りをしたいわけじゃないけど、換金できそうなものはゲットしておきたいから避けては通れないと思うし、植物を採取するにしても、その際の安全確保のためにも探知魔法は習得しておきたい。


 変な話、見える範囲にいる敵に関してはトランクに避難できるから、ラスボス級であっても全く怖くは無いんだよね。気を付けたいのは不意打ちの方。


 ――そういえば、例のマンガにも探知魔法的なものがあったような? 確か身に纏ってる魔力を球状に拡大して、範囲内の全ての物を把握する高度な応用技だとかなんとか。


 自分を薄く覆う魔力にさらに魔力を流し込んで、内側から風船を膨らませるようなイメージで魔力を一気に放出する。


 こう……、かな?


 グワッ!!


「あ、やばっ」


 気合を入れ過ぎて魔力の加減を間違った!


 大量の魔力が周囲に大きく広がっていくのを、何とか制御下に置いて球状に留めることに成功する。半径五〇メートルくらいはあるかな?


 まあ、一応成功はしたんだけど……


 ザワ、ザワ……、ザワザワ……


 ギャァ、ギャァッ¬……、クェェーー


 ブモオォォォーーーー!!


 森の中に居る動物や魔物を大層刺激してしまったらしい。


 あ、魔力の大きさと性質から動物と魔物の違いが分かるね。それに興奮や恐慌、敵意なんかも魔力の気配で大凡だけどつかめそう。まあ怪我の功名って感じだね。


 うーん、森の外縁部をちょっと探索してからお昼にしようかと思ってたんだけど、この状態の森に入るのは危ないよね、やっぱり。


 ……うん。ひとまず休憩にしよう。


 君子、危うきに近寄らず。ボッチは安全第一で。


 それじゃあさっさとテントに入りましょ。








主人公が参考にしたマンガに関しては、もはや言うまでも無いでしょう(たぶん)。ちなみにゲームの島編までしか読んでいない設定です。

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