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トランク一つで、異世界転移  作者: ユーリ・バリスキー
<第一章 無人島>
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#01-01 ただ今ボッチで漂流中




 拝啓、トランク一つで異世界を漂流中の怜那です。クラスメイトの皆様はいかがお過ごしでしょうか?


 ――なんて、暢気に挨拶をしている場合じゃあない。


 さて、神様が用意してくれた茶目っ気たっぷりの“異世界転移のしおり”のお陰で、大体の状況は把握できた。


 っていうか紙のページを開いたら、ユー〇ューブっぽいムービー再生ウィンドウがあって驚いたよ。タップしたらしっかり音声付きで再生されるし。


 皆の無事が確認できたのは良かった。文章よりも映像を見た方がより安心できるし、その辺は神様が配慮してくれたってことなのかもしれない。


 ちょっと心配だった舞依も冷静そうに見えた。鈴音や秀、久利栖も居るし向こうは多分大丈夫だろう。秀と久利栖はこういうファンタジー的、マンガ的な世界に馴染みがあるから、上手にリードしてくれるだろうしね。逆に舞依と鈴音はお約束を知らない分、先入観の無いツッコミができると思うから、組み合わせとしては最高ベストだ。


 むしろ自分の心配をしろっていう話だよね。なんだかんだで仲間が居るっていうのは心強い。一人だと怪我をしたり体調を崩したりしたら、あっさり詰む可能性だってある。話し相手もいないしね。独り言が多くなりそう。


 それにしても……


 この召喚はきっと私が引き寄せちゃったんだろうなぁ~。


 急な大雨による川の増水に流されて皆とはぐれる――みたいなのは予想の範疇だったけど、異世界に召喚されて別の地点に落ちるっていうのは想像すらして無かった。


 でも起きてしまったことは仕方がないよね? うん。不可抗力だし。


 巻き込んでしまったクラスメイトには申し訳ないと思うけど、少なくとも生き埋めになって死ぬよりはましな方だと思う。「異世界キター」とか言いたそうなのも一部に居たし。むしろ喜んでるかも? あんまりテンション上がり過ぎっていうのも心配だけど。


 ムービーはグループごとに別々の場所へ全員が移動したところで終わっていた。できれば舞依たちのグループが異世界でどう生活していくのか、その方針の一端でも知りたかった。合流地点のヒントになったかもって思うんだけど、それは贅沢ってものか。


 で、お次は私自身について。ここからは文章で説明が書いてあった。しかも現地の大陸共通語とやらで。見知らぬ言語がちゃんと読めるようになってて、結構ビックリした。


 ざっと読んでみて分かったことは、どうやら私はこの世界では、かなり特別な――特異な、の方が正確かな?――存在になってしまったらしいってこと。


 私に内包していた力の大半は愛用のトランクに様々な機能を詰め込むことで消費し、私自身への能力の上乗せはかなり減らしたらしい。


 ただ、その減らした状態であっても、クラスメイト(異世界強化状態)が束になってかかって来ても負けない――ってことだけど、本当かな? 神様が嘘を書く意味は無いか。まあ過信はしない方向で行こう。


 ちなみに私に断りなく決めたことに関して謝罪もあったけど……、その点については問題ない。むしろ気付いたら神の一柱になってた、なんて方が困るしね。


 ――それにしてもいい天気だなぁ。日差しがかなり眩しい。日の高さと空気の感じからすると、たぶんお昼前くらい。季節は少なくとも冬じゃなさそうだし、これは結構暑くなりそう。


 このままじゃあ熱中症はともかく日焼けは確実だ。キャップと日焼け止めは持ってきてたから……って、これどうやって取り出せばいいの? っていうか、どうせなら屋根をプリーズ!


 と思った瞬間、トランクの取っ手部分がにょきにょきと一メートル半くらいの高さまで伸びると、四方に膜状に広がって屋根を形作った。角型のテントのように、四隅に向かって傾斜が付いている。


「……ぅわ」


 筏が流されるテントにバージョンアップした!


 …………


 うん、まあ深く考えない。便利な分にはいいから。


 それよりトランクに触れながら意識すると使い方が分かるみたいだね。屋根も出来てちょっと落ち着いたから、性能をチェックしてみよっか。




 いやー、スゴイスゴイ。このトランク、超優れモノになってる。


 もともと良いモノではあったんだよ。鞄としては結構お高いし。でもこれはそういう次元の話じゃあない。流石は神様の仕事だね。


 まず破壊不能、使用者固定、譲渡不可。壊すことができず、私にしか使えないってことは、トランクにしまっておけば誰からも盗られる心配は無いってことだ。もしトランクごと盗まれたとしても、譲渡不可っていうのに帰還機能も込みで、私が念じれば手元に戻ってくる。


 今は筏になってるけど、元の形、長柄のハンマー、盾にも変形する。ちなみに筏だけど、魔力を供給すればちゃんと自走するらしい。……って魔力? まあそれはちょっと後回し。


 それから収納量が重量・容量共に無制限。さらにトランクに接触させるだけでしまうことができて、取り出す時は念じるだけで良い。生物も収納可。ただし生物は、特に一定以上の知能がある動物は「外に出たい」と思えばすぐに出られる。


 収納した物はゲームっぽいスロット(四角いマス)に入るんだけど、このスロットごとに時間制御や温度制御などが可能。ちなみにスロットは頭の中にイメージすることも、トランクの表面に画面表示させることもできる。


 で、かなり重要なのがコレ。スロットは無限に増えるわけだけど、一〇〇個のスロットは特殊で、そこに登録した物は私の操作で回収と復元もできるらしい。ちなみに復元にかかる時間は、物の価値や稀少性なんかで変わる。


 ただ私が校外学習に持ち込んだ物は全て――身に着けている物も含めて――このスロットに登録済みで、それらは午前零時を過ぎた時点で復元される。つまり毎日元の状態に戻るってことだ。


 特殊スロットだけの機能は他にもあるけど、取り敢えず今は割愛。


 …………


 いや。深く考えないつもりだったよ? でもこの性能はちょっとおかしくない?


 しかも今の時点で既にかなりぶっ壊れてるけど、後から追加される機能も有るらしい。これは想像だけど、最初から全ての機能を開放した状態だと魔力バランス的にヤバイことになるから、時間をかけて世界に馴染ませていこうってことなんだと思う。


 変な話、食料をある程度特殊スロットに登録しておけば、生きていくだけならトランクの中にずっと入っていればいい。なにしろ破壊不能だから絶対に安全。――まあヒマで死ねそうだけど。


 トランクに引き籠りは冗談にしても、例えばドラゴンに――居るかどうかは知らない――襲われようが、ナイアガラ級の滝に投げ出されようが、落ち着いて中に入れば死ぬことは無いってこと。


 う~ん、スゴイね。もはや神器といっても過言では――そう言えば神様が手を加えたんだっけ。やっぱり神器だった。


 神器トランク……。ちょっと様にならない。


サム〇ナイト? カッコいいけど著作権的にアレな感じだし、そもそもこれは違うメーカーだ。


 う~ん……


 おっと。ネーミングに悩んでる場合じゃなかった。舞依たちと再会するにも、生き残るにも、行動しないとね。


 ともかく海の上に漂流は落ち着かない。先ずは目先の目的地として、あの島へ向かおう。


 …………


 敬具(一応ね)








今さらですが、今作からペンネームを換えました。

作者の趣味をペンネームにしてしまおうかと思いまして。ユリ、バリ、スキ(笑)

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