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トランク一つで、異世界転移  作者: ユーリ・バリスキー
<第四章 ノウアイラ>
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#04-05 追加特典配布(なんかゲームっぽい?)




『さて、すぐに呑んじゃったら勿体ないし、味見はこれくらいにして本題に入ろうか。実は君たち今回転移してきた者が神々を訪ねて来たら、渡そうと思っていたものがあるんだ。先ずはこれね』


 神様が大きな杖をこちらに翳すと、私の目の前に一枚の瑞々しい緑色の葉っぱが現れた。


『それは精霊樹の葉だよ。普通は薬の材料にしたり錬金術の触媒に使ったりするんだけど、それは僕らが手を加えた特別製』


 この葉っぱを眠るときに枕の下に敷いておくと、一度だけ元の世界にいる人と夢の中で話が出来るらしい。特に血縁関係にある者ならば、一度に複数と話せるから神様としては家族と話すことをお勧めするとのこと。


 正直言って有難い。私の家系は特殊だから、行方不明になっても家族はきっと「どこかで生きてはいるだろう」って考えるだろうけど、一度はちゃんと連絡したかったからね。家族全員と話せるなら、都合の良い夢だと勘違いする心配も無いし。


 ちなみにこの葉っぱは神様謹製の特別仕様だから、トランクの特殊スロットには登録出来ないようになっているとのこと。そりゃそうだよね。


「ありがとうございます。一度でも連絡できるのは嬉しいです」


 とはいえ、私が連絡するのは皆と合流後になるかな。


 たぶん舞依か秀のどっちか――いや、両方かな? が最初に連絡を入れると思うんだよね。そこから横に話が伝わるはず。だから残りの葉っぱは、何かしらの節目に近況報告をするのに使った方が良いだろう。


『それでもう一つ。これは物じゃなくて、条件を満たした者にだけしてあげるんだけど、君は元の世界で複数の言語を習得していたよね?』


「ええ、日本語と英語は話せました」


 私自身は日本生まれの日本育ちで、外国在住の経験は無い。あ、旅行ならあるよ。母さんが帰省する時とかね。ただ物心つく前から、家では父さんとは日本語、母さんとは英語で喋ってたから自然と二か国語が話せるようになった。


 あ、もちろん両親とも日本語と英語の両方を話せる。教育方針ってとこかな。お陰で私たち兄妹は父さんの英語よりも、また母さんの日本語よりも、それぞれネイティブな発音で喋れるようになってしまった。


『だよね。で、折角向こうの世界で努力したんだから、その分はこっちの世界に還元しないとってことになったんだ』


 自然科学や料理などの知識、それからスポーツとかで身に着けた身体能力なんかはそのままこっちの世界でも通用するけど、言語は違うからね。


 じゃあ歴史については? と訊ねると、こっちの世界の庶民は詳しい歴史なんて知らないから、下手に知っていると逆に不自然になってしまうとのこと。


『ただそれじゃあ不公平だし、歴史の勉強を頑張ってた子は、こっちの世界で歴史を学ぶとすぐに覚えられるっていう特典が付いているんだ。……って、これは隠し要素だった。ココだけの話にしといて』


「はあ、それは構いませんけど……」


 なんというか、うっかりな神様だなあ。というか、ルールがどうのという割に、結構口が軽い。厳格なルールっていうよりも、自主的に決めた努力目標程度のものなのかもね。


『コホン。というわけで、好きな言語を一つ習得させてあげるよ。何が良い?』


 それはとても有難い話だね。でも――


「何が良い……と言われても、そもそもどんな言語があるか分かりません。この世界では、国ごとに違う言語なんでしょうか? それとも種族ごとに?」


『あ、そうか、そこからか』


 この世界には四つの大陸があり、メルヴィンチ王国は最も大きい大陸にある。で、私たちが習得している大陸共通語はというと、この大陸のほぼすべての国で公用語となっている言語の事を指す。


 ちなみに大陸共通語が公用語となっていない国であっても、カタコト程度なら大抵の人が話せるのだとか。要するに、世界で最も使っている人が多い言語ってことだね。


 それ以外の言葉は種族名が付けられていて、エルフ語、ドワーフ語、ハーフリング語、獣人語、ムルニー語、巨人語、ゴブリン語、オーク語、フェアリー語などなど、数多くある。


 あれ? 私がプレイしたことのあるゲームだと、ゴブリンとかオークってモンスター扱いだったけど、この世界では人類扱いなんだ。勘違いしていきなり斬りかかるクラスメイトなんて――いないよね?


 公用語を“国の名前”語と名付けている国の場合、その国を構成する最も多い種族の言語をそう呼んでいるってことなんだとか。方言や訛りの違いくらいの差異はあるけど、種族の言語でほぼほぼ通じるらしい。


『ちなみに人間……というかヒト族は特定の言語をもってない。ヒト族は他の種族みたいに尖った部分が無くてどこにでもある程度順応できるものだから、特定の故郷ルーツがないからね。まあ、そのお陰で一番数が多い。ある意味で大陸共通語がヒト族語といってもいいかもしれないね』


「なるほど。それぞれの種族の数はどのくらいなんですか?」


『詳しい数は言えないけど……っていうか、ぶっちゃけ分かんないんだけど、人間が特に多くて、次に多いドワーフと獣人とハーフリングが大体横並び。それぞれ人間の半分くらいかな? 人間と合わせて四大種族って呼ばれてるね。この四大種族以外は少数種族。強いて言えばエルフとムルニーが若干多めかな』


「あの、エルフやドワーフはだいたいイメージはあるんですが、ムルニーというのはどういった種族なんですか?」


『そっか、ムルニーは君たちの世界の物語には出てこないんだ。でもそれは敢えて教えないでおくよ。その方が面白いでしょ』


「あ~……、確かにそうですね。楽しみにしておきます」


 折角の異世界。ネタバレはほどほどにしておいた方が良いよね。


 さておき何を選ぶのが良いかな?








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