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トランク一つで、異世界転移  作者: ユーリ・バリスキー
<第八章 王都にまつわるエトセトラ>
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#08-25 鳥、発見!




 第三エリアのボスはこれまでとちょっと方向性が違った。単体じゃなかったんだよね。一頭のでっかいオオカミに、取り巻きの普通サイズのオオカミが四頭っていう群れだった。


ボスオオカミは普通に立ってる時の頭までの高さが、二メートル弱ってところかな。ああ、取り巻きのオオカミも魔物としては普通サイズって意味だから、大型犬よりも二回りくらいは大きかった。


 取り巻きにウロチョロされると厄介そうだったから、そっちは私が瞬殺。ボスは秀たち四人が相手をして、危なげなく勝利した。一応、壁役が必要になったら出ようかと思ってトランク(シールド)を構えて待機してたんだけど、出番は無かった。


 毛皮とか魔法発動体とか良さそうだったから死体は全部回収しておいた。報酬アイテムは飴玉と腕輪。消耗品以外のアイテムは初だね。


 腕輪は魔力を通すと暑さや寒さ、それから強風とか臭いなんかも軽減してくれるっていう、日常的に使える便利なアイテムだった。ただあくまでも軽減だから、例えば毒性のあるガスなんかは完全には防げない。その辺の中途半端さは、このダンジョンの難易度相応ってことなんだろう。




 そうしてやって来ました、目的地である第四エリア。広い草原に狭い森の領域があちこちにあるのは一つ前と同じで、それプラス若干地形に起伏が出て来た。


 ちょっと死角が多いから、念の為にトランクエレベーターで高いところから見てみると、森の中に泉があることが分かった。泉のある森と無い森とがある。


 考えてみると、ダンジョンの中って生態系として成立してるのかな? っていうか、魔物は何か食べたり飲んだりするの? このエリアは泉があるけど、ここまでのエリアにはめぼしい水場は無かったよね。


 それに構築物型のダンジョンの場合、草食の魔物は食べる物が無い。いや、キッチンに行けば食材が……って、そんな話じゃあないよね。


 うーん、ミステリー。実に興味深いね。ま、ダンジョン自体が謎空間なんだから、あんまり考え過ぎてもしょうがないのかもだけどね。


 ともあれ、標的の鳥らしきものも上から見つけられた。泉の傍が生息地みたいだね。


 と、いう訳で一番近い泉のある森へしゅっぱ~つ!


 魔物の傾向は一つ前とほぼ変わらず、動物系と鳥系に爬虫類系がちょっと。ただ二~五体くらいの群れで連携して襲ってきたり、単体だけど数段大きい個体だったりと、単純な強さ以外の部分に変化がある。


 位置を把握した上で先制&速攻を掛ければ、まだ秀と久利栖の二人でギリ対処できるかな。ただ若干安定性に欠けるから、鈴音がちょこちょこと適宜フォローを入れるようになった。


 舞依は回復と補助役だから、まだこれと言った出番は無い。私は舞依とアンリちゃんたちの護衛。まあ見てるだけ――とも言うかな(汗)。





「アレが……、ターゲットの鳥やんな?(ヒソヒソ)」


「たぶんね。そのハズだけど……(ヒソヒソ)」


 私たちは森の茂みにそれぞれ身を隠して、ターゲットである鳥型魔物――ドードルの様子を窺っていた。ドードルは泉の傍に――いわゆる水鳥ではない――群れを作って棲息する習性があるみたい。


 もう大分接近してるから、一応小声で話してる――んだけど、


「ぜんっぜん! 全く! ピクリともせえへんで? 置物ちゃうか?」


 だね~。なにせ久利栖が結構大きな声出しちゃったけど微動だにしない。ノーリアクション。完全スルー。でも置物は一つもありません。


「ぶっぶー、不正解でーす。魔力の反応があるからちゃーんと生きてます」


「いや、そりゃ、俺にも分かるけども! ハシビロコウとストップモーション勝負できるレベルやで?」


「クリス、ハシビロコウ……ってなに?」


「ハシビロコウっちゅうんは、俺らの故郷におる、何があっても全然動かんで虚空を見つめ続ける伝説の珍鳥や。ヤツが羽ばたき飛び去る時は、その地に大いなる災厄が訪れる前兆と謂われ――」


「ちょっと……、子供に嘘を教えるのは止めなさいよ」


 うん。双子ちゃんがちょっと目を輝かせてたしね。下手をすると本当に信じてたかも。いや、向こうの鳥の話なんだから、仮に信じちゃっても大した問題は無い――のかな?


「ま、まあ後半はほんのジョークや。でも全然動かん鳥っちゅうのは本当やで?」


「そうだね。あと面構えが妙にふてぶてしいというか独特の雰囲気があって、好きな人には刺さるっていう感じで一部に人気がある鳥だね」


「「ふーん」」


 ハシビロコウ談義は置いとくとして、女神様から教わったドードルに関しての基礎情報ね。


 ドードルはほとんど(・・・・)飛べない鳥(の魔物)で、見た目はハシビロコウじゃなくてドードーによく似てる。っていうかそっくり。地球では絶滅しちゃった鳥ね。一時期、絶滅した生き物の象徴的な感じで取り上げられたりもしたから、割と有名だよね。某小説の挿絵にもあったし。


 大きさは立ってる時の頭の高さが八〇センチくらいだから、鳥としては結構大きい。でも卵の大きさはLサイズの鶏卵より一回り大きいくらいらしい。料理に使いやすいサイズで良かったね。一日おきに一個か二個、卵を産む。








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