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トランク一つで、異世界転移  作者: ユーリ・バリスキー
<第八章 王都にまつわるエトセトラ>
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#08-17 順調に攻略中




 両手に花状態でテクテクホクホク歩いて行くと、エリアボスの姿が見えて来た。


 ダンジョンのシステム的に、ボスは特定のテリトリーの外には出て来ないから、視認できるからと言ってすぐに襲われる心配はない。ちなみに構築物型のダンジョンだと、いわゆるボス部屋になる。そっちもちょっと見てみたいね。


 最初のボスはカピバラっぽい巨大ネズミだった。立ち上がると平均的な大人の女性くらいの高さになる。ふむ、フカフカでセピア色の毛皮は結構あったかそうだね。


 テシテシテシッ! フンスフンス


「ハイハイ、そんなにアピールしなくても、キミの毛皮は最高だから」


「ふふっ、そうですねー」「極上の手触りよねー」


 舞依に抱き上げられて、鈴音にナデナデされてご満悦だね。それはいいけど、なーんか私以外にはミョ~に可愛い子ぶるというかあざとくない? ま、別にいいけどね。


 ああ、ボス? 秀と久利栖が二人で危なげなく対処してるよ。私たちが参加するまでも無いね。


 今回は毛皮が良さそうだからっていう理由で、あんまり傷つけないように斃そうとしてるみたい。急所に一撃(クリティカル)を狙ってるから、ちょっと時間がかかってるね。これまでと同じやり方なら、たぶん秒殺だった。


 結局、秒殺とはいかなかったけど三分とかからなかった。死体はトランクに回収して時間を止めておく。あ、討伐報酬は瓶入りの薬が五本だった。ある程度までの怪我や病気が治るらしい。うん、こういう時トランクの新機能は便利だね。


 出現した扉――というか、輪っか? 宙に浮かんだリング状の穴? まあ、そんな感じのものを通って次のエリアへ。


 景色はあんまり変わらないかな。いや、ちょっと木々が増えたかな? ただの草原だったところに灌木や木々が追加された感じだね。


 おっと、その遮蔽物を利用してこっちを半包囲しようとしてる魔物がいるね。この反応は――アレだ、たぶんサルとかヒヒとかその系だ。ドゥズールをスルーした先の森で追っかけられて鬱陶しかった記憶が蘇って来た。


「怜那、どうしたの? なにか不機嫌そうだけど?」


「ちょっとヤなことを思い出してね……。秀、久利栖、皆の護衛をお願い」


「うん? それは構わないけど?」「イチャイチャはもうええん?」


「それはまた後で。ちょっとストレス発散してくるよ」


 まあ似てる魔物ってだけで、ストレスの原因は全く別なんだけどね。誰ですか、八つ当たりなんて言う人は? その通りです。先生、花丸あげちゃいます。


 と言うわけで。


 刀を呼び出すと同時に、魔力を込めた踏み込みで飛び出し、一気に距離を詰めて茂みに隠れるヒヒの首を落とす。もちろん血が吹き出ないように、刀には火魔法を付与してある。


 こちらを半包囲しつつあったヒヒ軍団を、向かって左側から順に取りこぼしの無いように次々と首を落としていく。途中から私に向かって来たのはむしろ重畳。こっちの仲間を狙うような知能は無いらしいね。


 全てのヒヒの首を狩り、周囲に他の魔物の反応がないことを確認してから、刀をブンと降り、納刀するような仕草でスロットに戻す。――ちょっとカッコつけてみました。


「終わったよー」


 って、皆どうしたの? そんなに目をおっきく開いてたらドライアイになっちゃうよ(笑)。


 双子ちゃんはピョンピョン跳ねて興奮してるね。このままずっとイチャイチャしてるだけかと思ってたって? だからアレは出番が無かっただけだって言ったでしょ。そんなこと言うお子ちゃまはこうだっ。わしゃわしゃ~。


 で、皆はどうしたのさ。凄い速さでびっくりした? 他には? 目で追うのがやっとだった、刀がかっけー、どうして返り血をあびないのか、これが車とスピー〇ーの違いか?


 まあこれが一人旅の成果ってところかな。ところで最後のはナニ? ああ、もちろんスピー〇ーは知ってるよ? じゃなくって……え? 女神様が? へ~、そんな例え話を。なかなかユーモアのあるお方だね。


 刀とか返り血を浴びない方法とかの話は、歩きながらにしようか。


 では、第二エリア探索開始!




 最初のエリアと違って多少は木々もあるし、探索を始めた当初は一応色々調べてみたりしたんだけど、結局目ぼしいものは無かった。残念。という訳で、ボスの居る場所へ一直線に向かいます。


 ちなみに下級のダンジョンはだいたいこんなもので、ザコ魔物の魔法発動体とボスの素材、それから討伐報酬のアイテム以外は大したものは無いのが普通らしい。エイシャさん情報より。


 秀と久利栖が無双アクションをしつつ先へ。出現する魔物は、ヒヒとかイヌとかの群れで襲ってくるタイプと、ハチっぽい空を飛ぶ魔物が現れるようになったくらいで、全体的な傾向は前と変わらない感じだね。


 そうしてやってきましたボスエリア。


「なんや妙にマッシブなカマキリやなぁ~」


 うん、的確な表現だね。


 昆虫の蟷螂カマキリって、腕っていうか鎌は立派だけど、基本体の部分は細いでしょ? ところがこのボスは、全体的な形状はカマキリなんだけど、その上半身(?)部分がかなりごっつい体型になってて、鎧を着こんだ戦士みたいな感じになってる。ちなみに頭は普通に、あの特徴的な三角形ね。


 頭頂部までの高さは目測で二メートルちょっとってところ。腹部も入れると結構な大きさで、間近で対峙したら結構威圧感がありそう。ギザギザの巨大鎌とかね。








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