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トランク一つで、異世界転移  作者: ユーリ・バリスキー
<第七章 再会はトラブルとセットで>
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#07-24 新メンバー加入?




 皆と一緒に馬車(ハイ〇ース)モードの中に入って、私が使ってた調理台やら鍋やら食器やらを並べて見せる。


 ま、だいたいこんな感じなんじゃないかな?


 おっと、早くも秀が「こっちで調理して、あそこで盛り付けて……」ってブツブツ言いながらシミュレーションを始めてる。凄く楽しそうだね。こういうところ、男子は子供っぽいというか少年っぽさがなくならないよね。


 って、まあ私たちはまだギリ少年少女って言える歳だけどね。ただ秀と鈴音と舞依は――中でも特に秀は――普段から落ち着いてて大人っぽいから、こういう時ギャップを強く感じる。


「調理道具とか調理台とか必要なものは揃えるとして、これでいけるんじゃない? 何なら広さは調整できるし。いくらでもね」


「いくらでもとは……、恐れ入るね。確かに道具類はいいとしても、問題は販売の方かな。これは売り子さんが出たり入ったりしなきゃいけないのかな?」


「ああ、それなら――」


 壁の一部を窓にして、馬車モードの利用許可がある者の出入りを可能に設定する。こうすると窓から物の出し入れができるようになる。ちなみに普段は使わないけど、外からでも窓が見える設定にもできる。


 これで外に配膳用のカウンターでも設置すれば、販売についても問題無い。まあ売り子さんは必要だし、車内から直接お客さんとやり取りをする一般的なキッチンカースタイルじゃあなくなるけどね。


 秀はそこに拘りはあるのかな?


「うーん、そういうのもやってみたくはあるけど、僕らは最初からクランで活動するつもりだったからね。そこに拘りは無いよ」


「それは良かった。これでキッチンカーの本体(・・)に関しては問題無いね。ああ、ちなみに馬車モードは私が外から魔力を流せば自走するから」


「キュッ、キューッ!(ピョンピョン)」


「はいはい、キミにもちゃ~んと引っ張って貰うから。出番はあるよ」


 胸をトンと叩いて、フンスとドヤ顔。任せておきなって? うん、まあ頼りにしてるよ。


「ねえ、怜那。気になってたんだけど、その子って……」


「魔物やんな。額に宝石っちゅうことは、カーバンクルか!」


「ファンタジー的小動物ではポピュラーだよね」


「ってか、怜那の騎獣……ってことでいいのよね?」


 騎獣……、騎獣ねぇ……。うーん……。


 パチクリ コテン?


 まあ、そうだよね。あんまりそういう意識は無かったからね。何しろ最初は襲ってきたわけだし(笑)。


 いわゆる主従関係の騎獣やペットって感覚は、あんまりないんだよね。たぶんカーバンクルの方にも。


 普段は旅の仲間。魔法や戦闘技術に関しては師弟。友達という程には対等じゃなくて明確に上下はあるけど、忠誠や利害関係というよりは、なんとなく一緒に居て楽しいからそうしている。


 もしかすると部活の(仲の良い)先輩後輩の関係に似てるのかも。部活に正式に入ったことは無いから、あくまでもイメージだけどね。


 要するに一言で言えば――


「まあ、クランの新入りメンバーってとこかな。一応、形式的には私の騎獣ってことで」


「キュッ!(キュピーン☆)」


 横ピースにウィンクって、最初の挨拶でそれはちょっとお調子者過ぎるんじゃない? 一番下っ端のメンバーになるわけなんだから。


「ん? なんや、えらいお調子モンやないか。おもろいな」


「お調子者って……」「久利栖が言うなって話だね」


「プー、クヒュヒュヒュ」


「おーん? 新入り、もしかしてケンカ売っとるんか? ああん? そう見えるのは俺のココロが狭いから? ほっほ~、言うやんけ? こら、しっかり先輩後輩の上下関係を叩きこんでおかんとなぁ~」


 久利栖が手をワキワキさせながらカーバンクルににじり寄る。


「キュ……、キュウ~?(キュルン☆)」


「今更かわい子ぶっても遅いっちゅうねん! はっはっはー、覚悟するんやな~」


 久利栖のマフラーがシュルリと伸びて、カーバンクルの身体をぐるぐる巻きに拘束する。へー、アレが女神さまから貰った久利栖のアイテムか。意外と便利そうだね。――便利そうではあるけど、夏場でも巻いてるつもりかな?


「ナマイキな後輩メンバーはー、こうやっ! モフモフの刑やーっ!」


「フキュッ!? プヒュヒュヒュ……!」


「なんやコラ、モッフォモッフォや~」


 うーん、流石はケモナー久利栖。モフモフには目が無かったか。ま、カーバンクルの毛皮モフモフは日々ちゃ~んとお風呂に入って綺麗に整えてるからね。


「ねえ怜那? あれって本当に会話ができてるの?」


「たぶんね。確認のしようがないから本当のところは分からないけど、知能はかなり高いと思うよ」


 カトラリーを使って食事をするとか、果物の収穫を任せられるところとかね。魔法や武器なんかの戦闘技術にしても、教えればちゃんと吸収するから。


「えっ!? 怜那さん、武器の使い方まで教えてるのかい? それは……、大丈夫なのかな?」


 秀の懸念は理解できるけどね。家族のように思ってるペットにだって噛みつかれるはあるし、ましてやカーバンクルは小動物っぽくてもれっきとした魔物だから。


 私だって一応、その辺はちゃんと分ってるよ。武器は必要な時に貸してるだけですぐに回収するし、寝る時はスロットに入って同じ場所で寝ることはなかった。


 もっとも本当に一応、惰性でそうしてたってだけなんだけどね。まあ暫く一緒に生活すれば分かると思うよ。基本、アホっぽいけど悪い子じゃないし、なにより食い意地が張ってるからね。


「まあ、事後承諾になっちゃったけどよろしくね。ああ、失礼な態度をとったら容赦なく指導していいから。実力で、肉体言語的に」


「それはちょっと……、かわいそうじゃない?」


「いやいや鈴音、あれは中々イイ性格をしてそうな気配がするよ。怜那さんがそう言うからには、そういう事なんだろう」


 そうそう。皆、あざと可愛さに騙されちゃダメだからね。








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