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トランク一つで、異世界転移  作者: ユーリ・バリスキー
<第七章 再会はトラブルとセットで>
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#07-07 チェーンクエストは既に始まっていた




 神代言語の実験は上々だけど、尋問の内容に関しては残念ながら微妙かな。まあ汚れ仕事っぽいし、雇い主は失敗すれば切り捨てるつもりだったみたいだから、大した情報は期待するだけ無駄か。


 だったら別に尋問は必要無かったんじゃないかって? いやいや、必要だったのですよ。


 まあ神代言語による強制を実験したかったっていうのもあるんだけど、どうにもこの件がこれっきりで、今後何も関わることが無いとはおもえないんだよね~。


 あーもう! 本当に頭を抱えたくなることに。


「コレってブラック書房の件と関連してるっぽいよねぇ……」


 腕を組んで、思わず声に出してボヤいてしまう。


「(コクコク)ッポヒ!」


「ぶはっ! え? 今『っぽい』って相槌うったの? ホントにキミの学習能力は、私の予想を超えて来るねー」


 はぁー、おもしろかった。なんかイイ感じで深刻さが抜けたよ。ありがと、撫でてあげよう(ナデナデ)。


 さてと。実際問題、王都って言ってもめちゃくちゃ広いし、全く別の事件が同時に進行してるっていう可能性も十分にある。二つを結びつけるのは短絡的だっていうのも分かってはいる。


 ただショタ神様のところで聞いた話が気になるんだよね。因果律を引き寄せる台風の目になってるっていうアレ。


 実は元の世界(あっち)に居た頃にも時々あったんだ。こんな偶然ある? みたいな出会いが。人とのだけじゃなく、出来事ともね。で、そういう事が起きた時は、必ずと言っていいほど芋づる式に繋がっていく。これはもう、経験上断言してもいい。


 久利栖なんかは「まるでチェーンクエストやな」なんて笑ってたけど、言い得て妙というか、正にそのものというか。


 ああ、チェーンクエストっていうのは主にRPGで、あるクエストをクリアすると次が発生してっていう感じに連鎖的に繋がっていく、大きな一連のクエストの事ね(久利栖談)。


 RPGは大作を一つ二つやった程度だから詳しくは無いんだけど、なんとな~くそういうのがあったような、無かったような? メインのストーリーはクリアしたんだけど、あんまりやり込んでないんだよね。


 どうも今回の一件は、その類のような気が――いや、自分を誤魔化しても意味が無いね。私はもう確信している。


 っていうか思い返してみればみれば、この世界でヒッチハイクしてる人に出くわすっていう時点でかなりレアなんだよ~。あの時点でこの件に片足を突っ込んでしまったと見るべきだろう。


 ま、合流して落ち着いたら、一度ブラック書房――アレ? 本当の名称って何だっけ?


 ブランク……じゃない、ブラント? 違うな。頭がブじゃなくて、バ……バン……、バン、ラント? そうバンラント書房だ。危ない危ない、肝心の訪ねる先が分からなくなるところだったよ(笑……えない)。


 ……コホン。話を戻して。


 バンラント書房は東地区って言ってたからちょっと遠いけど、一度訪ねて男を引き渡すかな。それまで放置になっちゃうのは仕方がない。私が何よりも優先するべきは舞依成分の補充(←欲望)――じゃなくて、皆との合流(←理性)だからね!


 その後は成り行き次第かな。厄介事に巻き込まれそうだし、みんなとも相談しないと。基本、グループで行動する時の意思決定はリーダーの秀に任せているからね。


 丸投げ? 責任の押し付け? ナンノコトカナー。それで上手くいってるんだから問題は無いのです。


 …………


 いや、そうじゃないよ。


 私が身内と認識している舞依たち四人は、ショタ神様の比喩で言えば台風の目の()に居るようなものだ。つまり私が引き寄せてしまった因果律の影響を受ける立ち位置になる。


 そうだよ、なんで忘れてたんだ。向こうの世界に居た頃にも(何度も)あったじゃない。私と舞依が遭遇した出来事に、別の方面から鈴音が巻き込まれたことが。その後で結局、秀と久利栖も関わって来て、メンバー勢揃いになったんだよね。


 なお、全てが片付いた後で、なぜか皆が私を見て溜息をついてた。ナンデダロウナー(棒読み)。


 ともあれ、私がこの事件に巻き込まれたってことは、舞依たちの方でも何かが起きてる可能性はゼロじゃあない――と、思う。


 え? もっと確率は高いだろうって? いやー、あんまり深刻に考え過ぎると、本当にそうなりそうだからね。引き寄せる因果を無意識的に取捨選択してるってショタ神様が言ってたし、なるべく軽く考えておいた方がいいかなってね。


 まあ、なんにしても。


「ちょっと急ぐよ。さっさと例の屋台街に行って、舞依たちを探さないと」


「キュッ!」


 








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