第16話:英雄を訪ねて
すみません、遅くなりました。少しでも見て頂けたら嬉しいです。
正義とは何なのか?
───それは永遠に出ることのない答えだと思う。今の私ですら、その答えを探しているわ。
まぁ、私が言える事は───正義を行使する事によって、誰かの考えや価値観を否定する事になる、って事かな。
・・・・・・じゃあ、どうしろって?
まぁ、今日はそれにまつわるお話。
アストラル ───いや、知尚くんと戦った私は、戦いの最中に彼を殺した。
あの時に聴いた"声"は今でも忘れられない。ネットでは、何も知らない人達が正義を振り翳して知尚くんを厳しく非難していた。
世間はヴィランを退治した私を讃えてはいるが、嬉しくなかった。
あの時の声、状況、流れが
何度も、何度も、何ども、なんども。
私が正気に戻ったのは、あの戦いから7日後───床や壁がクッションの子供部屋にいた。
腕の中には熊のぬいぐるみが抱かれており、服もコスチュームからボタン式の患者服に変わっていた。
お尻が変にふわふわしてるので、ズボンの中を覗くと・・・・・・オムツ。
この格好といい、今の状況といい、全て察しが付いた。
熊のぬいぐるみを再び強く抱きしめる。もうヒーローを務められる気がしない。
元より、自分で始めた事なんだから、辞めても良いよね───この時の私は、もうずっとこのまま引き篭もっていたいと思っていた。
私の様子が一変した事に気付いたのか、部屋に放送が入る。聴き覚えのある声が私の耳に入っていった。
『大丈夫か、未可矢?
大丈夫なら、テーブルの上にあるマイクの赤いボタンを押しながら話してくれ』
私は言われた通りにし、マイクに向かって声を出した。
「あ、あの」
この日まで誰とも話していなかったせいか、変にテンパる。苦手だったコミュニケーションが更に苦手になった気分だ。
『大丈夫だ、落ち着いて。
もし良ければ、部屋の外で話さないか?』
私は声の主の指示に従い、部屋から出て来た。
部屋から出ると、そこにいたのは藤堂さんや枢木さん、そして───
「久しぶりだな、未可矢」
「・・・・・・ア、アルヴァンさん?
どうして・・・・・・」
「衣莉奈や藤堂から話を聴いてな。
それでなんだが、俺と一緒に"アメリカ"へ行かないか?」
「アメリカですか・・・・・・?」
「ああ。息抜きも兼ねて、な・・・・・・どうだ?」
アルヴァンさんの提案に対して、私は葛藤してしまう。
───本当はこのままずっと、閉じこもっていたかった。
でも、アルヴァンさんがわざわざこちらへ来てくれたのに提案を断るというのは、私の中でも後悔しそうな気がした。
私は提案に乗って、次の日ぐらいにはアルヴァンさんと共にアメリカへ渡る。家族には枢木さん達が上手く誤魔化しながら説明するそうだった。
乗っている飛行機はI.S.M.A.の備品であるプライベートジェットで、操縦士2人と客室乗務員2人、そして私とアルヴァンさんの計6人だった。
CAから頂いたオレンジジュースを飲みながら窓の景色を眺める。スカイリーパーとの戦いが鮮明に蘇り、目眩がした。
この時の私にとって、レディブラストとしての出来事はいやな事柄になっていて、無意識の内に拒絶反応を起こしていた。
しかし、それでもコスチュームは持ってきている。何かあった時用ではあるものの、これは私が無理やり頼み込んで持ってきたものであり、アルヴァンさん並びに他の人も渋い表情をしていた。
他のみんなはトラウマとなっている私に気遣い、心配しているのだろうが・・・・・・それでも、私はこのスーツを手放す事が出来なかった。
飛行機は着陸し、私はアメリカの地へ足を踏み入れる。日本から出発し始めた時はまだ明るかったものの、アメリカに近付いていく内に夜へと変わっていた。
空港から出た私達は、タクシーに乗って予約が済ませてあるホテルへと泊まる。食事は飛行機の中で済ませておいたので、あとは風呂に入って寝るだけだった。
シャワーを済ませてベッドに寝た私は、ぐっすりと眠りについた・・・・・・筈だった。
レディブラストとしての戦いが悪夢で再生される。
周りに被害を及ぼし、目の前で守るべき人を死なせる私。
相手も背景がある筈なのに、それを全否定するように己の正義を行使する私。
メディアを通して様々な見方をされる私。
色々な考えをそれぞれ言う不特定多数の人達。
この苦しみは何処から来るの?
この痛みはどう癒せるの?
誰かの叫びが、私の正義に潰されていく。
拳は血に染まっていく。
───自分が悪党だと認識した者の血で。
そんな夢を見て、目覚めた私は泣いていた。
怖い。
辛い。
どうしてこんな事をしているのだろう、能力なんて要らない。
「ヒーローになりたい」なんて考え、持たなきゃ良かった。
夜明けは近い。私にとってヒーローとは、正義とは、何だったのか───
朝になり、私は立花未可矢としてアルヴァンさんと共にアメリカを観光していた。
ニューヨークに聳え立つエンパイアステートビルを下から見上げる私・・・・・・秋津市にあるシェリオンなんて目じゃないぐらいに高かった。
しかし、アルヴァンさんはこの時の私があまり楽しそうではない事に気付いており、彼は途中の公園に着くと、私と共にベンチへ座った。
「なぁ、未可矢。
お前にとって、"気分転換に"なってるか?」
「えっ!?
それは勿論───」
「本当の事を言ってくれ、怒る気ではない」
冷徹そうな声色に対し、私は動揺して声を震わせた。
「あ、あの・・・・・・」
「・・・・・・すまない」
動揺させてしまったと申し訳なく謝るアルヴァンさんに対し、私は謝り返し、一度話してみようと思った。
「いえ、こちらもすみません・・・・・・実は───」
私は、自分が何故楽しめないのかを話す。
アストラルとの戦い、昨日見た夢、そして自分の正義について───アルヴァンさんはそれを聴き終えた後、思考の沈黙を経て答えた。
「・・・・・・そうか、お前がどんな思いで戦って来たかは解った。
・・・・・・今までよく頑張ったな」
「あ、ありがどうございます・・・・・・」
労いの言葉をかけられて啜り泣く私に、アルヴァンさんはハンカチを渡してくれた。
私はアルヴァンさんに頭を下げてハンカチで涙を拭く。そして落ち着いたのを見計らって彼はある事を言った。
「もし良ければで良いんだが・・・・・・"あの男"に会わないか?」
「"あの男"・・・・・・ですか?」
「ああ」
「その方は、何者なんですか?」
「───"キャプテン・サンダーボルト"。
"白雷の走者"と呼ばれているヒーローだ」
私はアルヴァンさんと共に"彼"がいるとされる場所へ向かう。観光していたマンハッタンから離れた農家にいると現地の支部から情報が入り、会いに行こうと言われた次の日の朝方には出発した。
大都会の喧騒から、長閑な田舎町へ向かうのは、まるで秋津市の駅前から天崎へ戻るのに似ていた。
農家に辿り着いた私達。キャプテン・サンダーボルトは私が好きなヒーローで、彼の生き方に憧れを抱く事もあった。
しかし、去年の10月ぐらいに戦ったカシリウスの言葉をふと思い出す。彼はキャプテン・サンダーボルトが民衆に殺された的な話をしていた事から、本当に"会うべき"なのか不安になっていた。
アルヴァンさんがインターホンを押す。それに応じて私達を出迎えたのは───
「・・・・・・お前・・・・・・なんで来たんだ?」
その男は無精髭を生やしており、腹も小太りに膨れているが、それでも顔に肉は付いておらず、少しでも身なりと顔を整えればすぐにカッコよくなりそうだった。
男はアルヴァンさんを知っているようで、予想外の来訪に驚きを示した後、彼はすぐに扉を閉めようとする。しかし、アルヴァンさんは扉を抑えた。
「───久々に会ってその反応はどうなんだ?」
扉を閉める寸前で抑えられ、男は妥協したように扉から離れた。
「何でここが判った?」
「超能力者だからだ」
「薄ら寒いジョークは無しにしろ・・・・・・それにそっちの娘は?」
「ああ、紹介するよ。この子は立花未可矢───又の名をレディブラスト」
「おいおい、マジかよ・・・・・・日本のヒーローが何の用だ?」
「え、えっと・・・・・・」
「その言い方はよせ、"アダム"。この子はお前を尊敬しているんだぞ?」
「あっ、えっと・・・・・・」
恥ずかしくなってあたふたしている私をよそに、アダムさんは無言で家の奥に行ってしまう。しかし、アルヴァンさんは普通に家の中へ入っていき、私もそれに付いて行った。
家の中に入り、居間に入る私達。そこには、ふかふかな革の椅子に座り、お酒を呑むアダムさんがいた。
彼は私達がいてもお構い無しにお酒を煽る。床には瓶やゴミが転がっており、だらしなく座って、でっぷりとしたお腹を掻いていた。
───正直言って信じたくなかった。
彼がキャプテン・サンダーボルトだと言う事実から目を背けたかった。
メディアは綺麗な所しか映してなくて、本当は逆張りものみたいに正義の欠片も無い人間だった人なのでは・・・・・・?
少なくともこの時の私にはそう見えてしまった。
「・・・・・・で?
その子にサイン書いてくれって話じゃないだろ?」
「お前・・・・・・何があった?」
「ハッ、ダンピールのエージェントとは違って優雅な暮らしができ無いもんでな」
お酒を呑もうとするアダムさんに対し、アルヴァンさんは寸前で手を掴んで止める。
「何だよ」
「ウェストン! 良い加減やめろ!!」
アルヴァンさんは彼の苗字を呼び、怒る。アダムさんは舌打ちをして不機嫌そうな表情をした。
「あ、アルヴァンさん、もういいですから・・・・・・帰りませんか?」
「その嬢ちゃんの言う通りだぜ。
大体、勝手に家へ押しかけて来んなよ・・・・・・」
「メアリーはどうした?
アルは?」
「・・・・・・離婚した」
「何でだ?」
「良いだろ別によ!!」
突然の大声に私はビクッとするが、アダムさんはその後に話を続けた。
アダム・ウェストン───又の名をキャプテン・サンダーボルト。
彼は若い頃、電気工事士の業務中に突然の落雷事故に遭遇する。しかし、彼はその事故で命を落とさず、能力を手に入れた。
神の手違いか、それとも祝福か、能力を手に入れたアダムさんは胸に大きな稲妻のマークを付けた白いコスチュームのヒーローとして活動した。
人を助け、ヴィランを倒し、街を救う───更には|Guardians Of Justiceというヒーローチームの一員として世界の危機をも救ってきた。
幼馴染の恋人とは結婚し、息子もでき、順風満帆・・・・・・の筈だった。
「ヒーローというのは、呪縛みたいなもんだ」
最初こそ、皆んなはヒーローが現れた事に歓喜し、活躍する毎に賞賛もする。だが、それは流行り廃りと同じようなもので、新たなヒーローが現れたり、警察や軍隊が未知のヴィランにも対抗しうる術を身に付けるようになってからはお払い箱となっていった。
更には粗を指摘し始めたり、彼をヴィランや怪物と同一視する者を筆頭とし、非難する者が増えていった。
更には、ヴィランの他に謎の組織に追われる身となってしまい、妻子とは別居する事となった。
I.S.M.A.や知り合いのヒーローにもこの事は伝えず、逃げ隠れる日々───そのせいか次第に彼はヒーローである事をやめた。
私はアダムさんの話を聴き、何とも言えない気持ちになる。ネットやメディアでは分からない、壮絶な人生───そして、カシリウスの言っていた"民衆に殺された"というのはこの事だったのかと。
「俺から言える事は一つ───ヒーローごっこなんて馬鹿げた事はよせ。
俺達は能力こそ持ったが、普通の人だ。
平凡に暮らして平凡に生きろ」
アダムさんはごもっともな事を言う。確かに、能力は自分から望んで得た訳では無いし、超人という括りではあるものの結局のところ同じ人だ。
しかし、本当にそれで良いのかと私の中では自問していた。
「アダム、お前・・・・・・」
「何とでも言えよ。
大体、ヒーローなんて自己満───」
その時、観ていた番組が急にニュース速報に変わった。
『番組の途中ですが、緊急速報です。
テラーゲート刑務所にて大規模な暴動が発生し、収監されていた何人かの受刑者が脱走しました。
受刑者は都市部に逃亡した恐れがあり、外にいる人は屋内への避難を、また家にいる人は外出しないようお願いします』
臨時ニュースを観たアルヴァンさんはすぐに北米支部へ連絡し、状況を確認した。
「・・・・・・テラーゲート刑務所に多くのヒーローが向かっているとの事だ。
しかし、問題は逃げ出した受刑者か・・・・・・」
「警察に任せとけよ、ニューヨークにはSWATが居ない代わりにESUがいるんだからよ」
「警察に大勢の犠牲者が出て良いと?」
「仕事を奪ってなんになるんだよ」
「お前・・・・・・!」
「───もういい」
私は、これ以上憧れの人が汚れていくのをみたくないせいか、2人の会話を遮った。
「私、向かいます」
「おいおい、待てって───」
「アダムさん。
私は貴方に偉そうな言葉を言える立場じゃありませんし、貴方の言う事には共感だって出来ます。
ただ───私の知ってる貴方は、今テレビの向こうで襲われているかもしれない人を見捨てる様な人間じゃない」
私はその場から立ち去る。あの話を聴いたのにも関わらず、勝手に期待を寄せている自分が気持ち悪くて、嫌だった。
私は車のトランクを開いて大きなアタッシュケースを出す。そしてそこからコスチュームを取り出して、着替えた。
自身の拒絶反応を無視して、マスクを被る。そして顎紐を付けた瞬間、胃から胃液の酸っぱい味が口内へ来そうになるが、何とか耐えて吐かずに済んだ。
空を飛んで行く私へ通信が入る。それはアルヴァンさんからで、逃げ出した受刑者達はマンハッタンで暴れているとの事だった。
「ありがとうございます、では私はそちらに───」
『ああ、そうだ。
アイツの事に関しては、すまない』
「いえ・・・・・・良いんです」
マンハッタンへ戻ってきた私は、都内で警察と戦っているヴィランを3人目撃する。それらはハイテク装備に身を包んでおり、警察側は不利だった。
私は宙からサウンドブラストを放って警察を攻撃しているヴィランの1人を攻撃する。その1人は私の攻撃で仰け反り、他のヴィランが私の方に気付いた。
「おい、なんだアイツは!?」
「刑務所に向かってない奴がいたとは・・・・・・」
「相手は1人だ、やれ!!」
警察そっちのけでこちらを攻撃するヴィラン達。ヴィランの1人が伸ばす金属鞭の先端がこちらに向かって伸びるが、その鞭から距離を取った。
スーツに絶縁素材も追加されているので、ここで掴む事も可能だったが、掴んで能力無効化されると厄介だと思い、あえて距離を取った。
飛び道具を使って攻撃してくるヴィランに急降下の蹴りを入れようとしたが───先に攻撃したヴィランが腕からビームシールドを出して私の攻撃を防いだ。
「〔リーチの長い奴、飛び道具使い、盾役・・・・・・一応、パーティとしては成り立ってるって事ね・・・・・・!〕」
私は3人のヴィランと戦う。最初はリーチの長い敵から相手にし、玉砕覚悟で鞭を掴んだ後、近くの車へとぶつけた。
その次に飛び道具を使う敵と戦おうとするが、盾役のヴィランが邪魔で一方的に攻撃され放題───しかし、私の戦いを見てか、車の陰から顔を出した警官達も再び銃で応戦した。
盾役は銃弾を防ぐのに徹し始めるが、私がその隙を狙って死角からチャージした両足でドロップキックをかます。そして、地面に落ちた後、脚を広げるように回転させ、飛び道具使いにサウンドブラストを放った。
3人のヴィランを倒した矢先、立ち上がった私の頭は道路に叩き付けられた。
それは一瞬の出来事だった───頭を叩き付けられた後、私は頭を掴まれたまま持ち上げられた。
マスクにより、致命傷には至らなかったものの、それでも脳への衝撃は避けられず、視界がぼやけていた。
意識の消える寸前───私は多数の銃声と誰かの断末魔を聞いていた。
それから───目を覚ました頃には、私はカプセルの中に入っていた。
マスクは外されておらず、安心したのも束の間───カプセルの外に居たのは、"壮年の男性"とヴィランや私兵が男女問わず多数おり、その中には私が"秋津市で戦った"ヴィラン達もいた。
『なぁ、コイツ・・・・・・』
『この娘がお前達を刑務所送りにしたヒーローか・・・・・・もっと違う形で会いたかったものだよ』
カプセル越しから聴こえる低く渋い声を出す壮年の男性は、私との出会いを惜しむ様な事を言った。
私はその発言を否定したいが、もし私が今の選択をしなければ、彼等の仲間になる未来もあったのだろうか?
私はカプセルの壁を叩くが、力が出ない・・・・・・最初は先程の力で捩じ伏せられたのが原因だと思っていたが、私の力を奪うものの正体は徐々に見え始めた。
そう───カプセルにはガスが充満し始めており、そのガスが私の力を失わせていった。
『ああ、そうだ。
そのガスは私の生徒の1人、マダムヴァイパーが生成した毒の一種だ。
大気中に出てしまえば無効になるだろうが、そのカプセルを壊す力はもうあるまい』
男の傍らにいるマダムヴァイパーは私が足掻く姿を見ていられないのか、腕を組みながら表情を曇らせて目を背けていた。
足にすら力が入らなくなっていき、意識が途絶えるその瞬間───カプセルの外で大きな轟音が響き渡り、その場の電気が消えた。
それは、一瞬の出来事ともいうべきか。
轟音の後、私が死に絶えるのを見物していたヴィラン達は騒々しくなるが、1人ひとり、見えない"何か"に吹き飛ばされていった。
『クソっ、何も見えねぇ!!』
『非常用はまだなの!?』
『暗視ゴーグルで奴を───ぐおっ!?』
しかし、それは見えない何かなのでは無い───稲妻が地面に描かれるように、光速で敵の合間を縫う様に駆け抜ける"何か"がそこにはいた。
『ええい、何者だ!
姿を現せ!!』
1人のヴィランが叫ぶと、その何かは動きを止めたように辺りが大人しくなる。しかし、私の入ってるカプセルの隣にあるコンソールに電撃が命中し、カプセルの天井が開いた。
「なんだ、カプセルが───」
「久しぶりだな、"プロフェッサーJ"!!」
「まさか、その声は・・・・・・!?」
軽い落雷の後、再び照明が点くとそこにいたのは───
「ああ、そのまさかさ。
俺の名はキャプテン・サンダーボルト、そこに囚われてる嬢ちゃんの"リクエスト"で来たぜ」
キャプテン・サンダーボルトは、その場にいる全員を見ながら、プロフェッサーJらしき男を懐疑そうに見た。
「へぇ、当分見ない内に皺でも増えたんじゃないか?
だいぶ苦戦してるようだな」
「お前も腹が出たな、今回はダイエットか?」
「へっ、前と変わってなさそうだが───」
キャプテン・サンダーボルトはプロフェッサーJらしき男に落雷を喰らわせ、感電させた。
「教授!?」
しかし、倒れて体を震わせるプロフェッサーの姿は無機質な人型ロボットに変化していった。
「これは・・・・・・デコイボットか?」
まるで知らなかったような反応を見せるヴィランや私兵達は驚きを示すが、彼等はすぐにキャプテンの方を向き、攻撃を始めた。
最初に飛び道具使いやリーチの長い攻撃が出来る奴がキャプテンのいた場所に一斉攻撃をするが、既にその場から居なくなっており、それと同時に私も戦える状態になっていた。
カプセルの上から出てきた私の横にはキャプテンが現れ、目の前に広がる敵を前にそれぞれ戦闘態勢を改めて取った。
「もう大丈夫か?」
「はい、何とか・・・・・・助けて頂き、ありがとうございます」
「助けるのが、ヒーローの務めだろ?」
「ふふっ、それでこそ私の知ってるキャプテンです」
「それは良かった───まぁ、話はコイツら倒してからだ。
準備は?」
「いつでも───!」
そして数刻置いた後───私達は敵を全滅させた。
戦っている中、私はブランクがあるとは思えない彼を目撃する。光速で動き、地に稲妻を描くその姿は白いコスチュームと相まって白雷の走者という通り名に相応しかった。
私達は先を急ぐが、その道中、キャプテンに「危ない!」と言われながら押された。
私が後ろを見ると、彼は大きな檻の中に閉じ込められてしまった。
「すみません、私のせいで!!」
「いや、お前が悪いんじゃねぇ。ただ───」
檻の中に猛獣が放たれるように、人型のロボットが現れた。
「あのロボット・・・・・・まさか」
そう、その人型ロボットは私を捕まえた奴で、キャプテンにとっても知ってる相手のようだった。
「おいおい、また会えるとは」
『───ここで再会できるとは、白雷の走者。光速で走っても脂肪は燃えなそうですね』
「おいおい・・・・・・ちゃんと喋れるようになった上、体型イジリとは。今が多様性の時代だって事分からんのか?」
『多様性ならロボットにも人権があるべきだと思いますが。
・・・・・・まぁ、ここであなたをterminateすれば、masterが人権をくれるでしょう』
「上等だブリキ野郎、今度は喋れなくなるぐらい感電させてやる」
『同じ手が通用するとは思わないでくださいよ』
キャプテンが戦う直前、彼は私の方に横顔を見せて言った。
「レディブラスト、お前は先に行け」
「えっ、でも・・・・・・」
「予想だが、ここにプロフェッサーはいる筈だ。
今逃せば、アイツを捕まえられなくなるかもしれん」
私はそう言われ、謝りながら先を急いだ。
その次に着いた部屋は遺跡の様な所で、どう見ても映画の撮影スタジオに迷い込んだみたいだった。
「何・・・・・・ここ?」
「おや、ここに侵入者が迷い込むとは」
「誰・・・・・・!?」
後ろを振り向くが誰も居らず、私が辺りを落ち着きなく見渡していると───
「ご主人を追ってきたのだろうが、妾を倒さぬ限り、彼には会えぬぞ」
その言葉の後に、私のところが急に暗くなる。そしてシュルシュルという"蛇特有の音"が背後で聴こえ、振り返ってみると───
それは大蛇だった。それも映画に出てくる長さの。
黒、緑、黄といった三色の模様に、宝石の様なに美しく、そして妖しい琥珀色の瞳───全長はどのぐらいあるかは分からないが、10メートル近くの長さである事は明確だった。
「先に自己紹介をしよう、妾は"姫夜叉"。
ご主人の盟友だ」
私は、蛇に睨まれた蛙のようにその場から動けなくなってしまう。喋る蛇自体は、今までの戦いを通してそこまで驚きはしないが、背筋が凍りつき、石になったように身動きが取れなくなっていた。
「しかし、今度の獲物は小娘か。
私に食べられて恐怖と快楽に溺れながら栄養となるが良い」
私は死の危険を察知し、何とかその場から脱する。しかし、姫夜叉はその巨軀に似合わず、素早い動きで追い詰めてきた。
サウンドブラストを放とうにも、狙いが定まらず、遂には尾で床に叩き付けられた。
床に拳を付いて立ちあがろうとした瞬間、周りに蛇の体が私を囲んでおり、そのまま巻き付かれた。
締め付けられる私は痛みに叫び、姫夜叉は笑った。
「女子供は痛め付けずに食べるものだが、まぁ良い。抵抗をしたお主が悪いのだからな」
私は身体にエネルギーを溜めてこの窮地から脱しようとするが、力が入らなくなっていた。
「足掻いても無駄だぞ、妾の身体に触れた異能力者は能力を失うのだからな」
そう言われても信じられず、そのまま頑張っていたが、私の近くには彼女の口内が広がっていた。
牙は無く、甘い匂いが私の身体を包み込む。そして、頭から一瞬で食べられ、大蛇が自身の頭を上へ向けると、私はそのまま奥へと呑み込まれてしまった。
蛇の体内は狭く、身動きなど取れない。甘い匂いが私の意識を失くそうとするが、閉所への恐怖が私を追い詰め始め、パニックを起こし始めた。
腕を動かす事もままならない。
徐々に狭くなっていく肉壁は、私の体全体を圧迫し始めていた。
パニックになり、泣き出す私は徐々に酸素を無くしていき、逆に苦しむ状況を作ってしまった。
───もうどうする事もできない。
私が虚ろな気持ちで消化されるのを待っていると、今まで包み込む様に迫っていた肉壁が急に引っ込み始めた。
その後、私は後ろへと滑り落ちていき、そのまま体内から吐き出された。
ネバネバした粘液まみれになりながらも光へ引き戻された私の近くには、キャプテンが跪いていた。
どうやら彼も戦っている途中だったようで、恐らくあのロボットは倒したようだった。
「こ、このおっ・・・・・・!!
わ、妾を狩りを邪魔しおってぇ・・・・・・!!」
激昂する姫夜叉は、私を再び食べようとするが、私は左腕にチャージする。そして、お返しと言わんばかりに大蛇の顎下へ向かい、拳を顎に突き上げた。
アッパーで宙へ突き上げられた姫夜叉は、天井へとぶつかり、その反動で床へと戻る。しかし、私は追い討ちを掛けるように頭上へ踵を振り下ろし、彼女は強い衝撃で落ちていった。
姫夜叉は地面でピクピクと体を痙攣させた後、口から泡を出してそのまま動かなくなった。
私は立ち上がったキャプテンの元へ駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
「ああ・・・・・・連戦はこの歳なるときっついな」
「あの、"2度"も助けて頂きありがとうございます」
「2度? 2度目は何だ?」
「えっ、アダムさ───違った。
キャプテンが私をあの蛇から吐き出させたんじゃないんですか?」
「いや・・・・・・あの蛇は途中で苦しみ始めてな。"誰か"の気配を感じてる様な物言いだったが・・・・・・」
「誰かの・・・・・・?」
そんな話をしていると、室内に放送が入る。その声は2人の知る忌まわしき渋い声だった。
『───よくぞ我が盟友を倒したな。流石は正義の味方と言ったところか』
「プロフェッサー、貴方の"犯罪支援"もここまでよ」
『何故、支援を止める必要がある?
止めたらお前達が代わりを務めるのか?』
「それは・・・・・・」
『務められないだろ?
だから君達の言う"必要悪"として我々が存在するのだよ』
「必要悪だと?」
『それに、君達は犯罪を悪だと決めつけているが、もし君達が同じ立場にいたら同じ事をしないと断言できるか?』
「そ、それは・・・・・・」
「レディブラスト、アイツの言う事も一理あるかもしれないが、それに共感してしまえばアイツの思う壺だ」
『いやはや、まだあの救いようの無い民衆を助けようとする心意気には呆れる程感心するよ』
「そりゃあどうも、俺はまだヴィランにはなれないのでな。
・・・・・・で、お前は"何を待ってる"んだ?」
キャプテンに指摘されたプロフェッサーは、高笑いしながら答えた。
『・・・・・・何って?
そりゃあ勿論、"ヒーローの全滅"だ!!』
「この野郎・・・・・・!」
プロフェッサーは途中途中疑問符のついたような声を出した後、高笑いしながら放送を止め、私達は急いで外に出る事になった。
外へ出るとそこは基地の外で、辺りには森林が広がっていた。
「よくこんな基地隠せるね・・・・・・」
「まぁ、アイツは一国規模の金持ってるらしいからな・・・・・・」
「そんな事なら悪さしなければ良いのに・・・・・・」
私達が話していると、あの忌まわしき笑い声が聴こえてきた。
『ハッハッハ!! よくぞ来たな、我が因縁の宿敵───と、最近教え子が世話になった小娘』
「小娘ぇ!?
私ちゃんとレディブラストって名前あるのよ!!」
『新参の名前なんてすぐ覚えられるか!! それよりも・・・・・・よくもお前達邪魔してくれたな!!』
「はぁ? 何の話だ?」
『とぼけても無駄だ、キャプテン・サンダーボルト!! テラーゲート刑務所へ発射する筈のミサイルが止まっているではないか!!』
「あっそ・・・・・・お前んとこのハッカーに再起動頼めば?」
『そうしたかったが、今重傷だ。
これもお前達の仕業だろ!!』
「・・・・・・ちょっと待って、私はさっき捕まってたから無理だけど、キャプテンも真っ直ぐ助けに来ましたよね?
他のヒーローがここに来たとは思えないけど」
私がそう言うと、プロフェッサーは急に黙り、すぐに口を開いた。
『そんな事後でいい!! 今はお前達2人を捻り潰す新兵器を見せてやろう』
そうして背後から上昇してきたのは、上半身だけの丸っこいロボットで、両肩の9連装ミサイルポッドや両腕のガトリング砲、そして頭部の目に該当しそうな所はレーザーの発射口など───とにかく武器てんこ盛りのロボットだった。
ホバーによる移動のようだが、スカイリーパーと同じような反重力システムを使っていた。
『紹介しよう───コイツは"ハインドディアボロス"。
お前達の悪魔として地獄に送ってやろう』
「フン、エセ悪魔なんざ数秒で片付けるぜ。
───用意は?」
「いつでも行けます」
そうして私達の戦いは始まった───が、ここで私達はある事に気付いた。
サウンドブラストやサンダーストライクを喰らっても、ロボットはピンピンしていた。
『無駄だ。コイツは小娘が倒した"ハインドスパイダー"の戦闘ログから研究を重ねて作り上げているのだからな』
「くっ・・・・・・!」
攻撃を無効化され、私達は殴り掛かろうとするが、ロボットから衝撃波が放たれ、私達は吹き飛ばされる。そして次にミサイルがこちらに一斉発射された。
18発のミサイルは全て追尾式で、私達は下の森まで逃げていく。光速で走るキャプテンなら逃げ切れると思ったが───ミサイルは普通のと違って賢く作られていた。
進行方向を予測して先回りするのは、どう見てもスピードが売りなキャプテンには不利であり、彼は急ブレーキを掛けながら転がった。
私は助けに行こうとするが、上下も含めた四方八方から迫ってくるミサイルで窮地に陥ってしまった。
私は上下からの被弾覚悟で回るようにサウンドブラストを出して全滅させ、上下から来るミサイルを回避した。
私の方のミサイルが片付き、キャプテンの方へ行こうとするが、ロボットがこちらの背後を取っており、頭上に振り下ろされた両手により私は地上へ叩き下ろされた。
地上へ落ち、私が立ち上ろうとすると、鼻から出た血と同時にマスクの破片が落ちてきた。
マスクは素顔が完全に露出したわけではないものの、左目側が見える状況になっていた。
鼻血を拭い、私は立ち上がるが、向こう側で爆音が聴こえ、不安になるが、キャプテンがこちらに走ってきたおかげで安心できた。
その後、ロボットはロケットパンチはガトリング掃射をして私達を追い詰めていく。そんな中、目からのレーザーをキャプテンの代わりに喰らっていた。
「レディブラスト!!」
庇った理由としては、私がこういったエネルギーを吸収できるからというのがあるものの、何故か吸収されず、寧ろ逆に力を吸収されているようだった。
私は完全に疲弊した状態となり、サウンドブラストどころか戦いもままならない状態になってしまった。
キャプテンが私を抱えて森の中を逃げるが、鉄の悪魔はどこまでも追い詰めてくる───キャプテンの疲労がピークに達し始めていた隙を狙い、分離させた手を私達に振り下ろした。
土埃を舞わせながら、振り下ろされた拳はキャプテンを、抱えていた私をも吹き飛ばした。
遠のきそうになる意識を必死に繋ぎ止めながら、私は周りの状況を確認する。
木にぶつかり、気絶しているキャプテン。そして目の前には降りてくるディアボロスがいた。
勝ち目のない状態になりながらも、立ちあがろうとする私だが、戦える程の活力は残っていなかった。
視界が揺らぐ───戦わないといけないのに、立ち上がる事が出来ない。
ロボットが再びビームを出そうとしたその瞬間、信じられない現象が起こった。
ロボットはビームの発射を中断し、プロフェッサーが声を出した。
『何だその能力は・・・・・・!?』
私は何を言われているのかさっぱり分からなかったが、偶然見た地面から全てを察した。
自分の座り込んでいる所に生えていた雑草や花は色を失っていき、その代わりに私の活力は戻っていった。
『まさかここまでの力を持つとは・・・・・・だが、何度やっても同じだ!!』
両腕のガトリング砲で私を撃つが、初速が放たれたと同時に私は大きく飛び跳ねて回避し、チャージした右足で蹴りつけた。
倒れ込むロボットに追い討ちを掛けるが、相手も只者では無く、分離させた両手で私を掴んで拘束した。
しかし、これでも危機に陥った訳では無く、私は体に軽く溜めた衝撃波を出して拘束から解放された。
指を失った両手は、空へと飛ぶ私に弾幕を張りながら追ってくるが、この時の私には全く命中せず、威力を高めたサウンドブラストでどちらも破壊した。
手を失った悪魔は、目のビームを発射する為にチャージを始めるが、私の方が一足早く、目の部分に拳をめり込ませた。
首をもぎ、私はダルマ状態となったロボットを見る。もう動く事が無いと察知した私はどっと疲れが出た様にその場に跪いた。
「・・・・・・これで、勝ったの?」
私が独り言を言っていると、腹部が開いてその中から球体状のポッドが現れる。中にはパイロットがおり、その男はデコイボットが演じていた男と同じ容姿と格好をしていた。
私は再び攻撃しようとするが、先程の無理が祟ったのか力が出なかった。
『やるな、新参のヒーローにしては』
「・・・・・・お褒めの言葉どうも」
『だが、此処で私を捕まえる事は出来ないだろう。
捕まえたとして、その後はどうする?』
「その後はいつも通り、ヒーロー活動を───」
『果たしてそのごっこ遊びもいつまで続くかな?』
「どういう事・・・・・・?」
『私は先の戦いで、お前がその場の"植物からエネルギーを吸収し、死滅させる所"を見たぞ』
その言葉を聴き、私は驚愕する。植物からエネルギーを奪って自分のものとする───だから自分を中心に草花が枯れていったのだと。
「そんな・・・・・・」
『恐らく、お前の能力を見た者は皆、恐怖するか利用しようとするだろう。
私ならお前の"能力"を活かす事が出来る』
「私を殺しかけたのに?」
『あの毒は嘘だ』
「完全に殺す気だったじゃん・・・・・・」
『ええい!! このままでは埒が明かない!! では小娘、さらばだ』
「ま、待て───!」
私の言葉も届かず、プロフェッサーJが乗った球体状のポッドモービルは空へと上昇し始めた。
遠のいていくポッドモービルを多々眺める事しかできないままでいると───
いきなり落ちた雷により、ポッドモービルが下降していった。
その光景に唖然としていると───
「危ねぇ・・・・・・間に合って良かった」
声が聴こえ、後ろを振り向くとそこにはアダムさんがいて、彼が間一髪で落雷を命中させたようだった。
「アダムさん・・・・・・?」
「よう。
これで終わったな」
「はい、これで・・・・・・」
その後、ハインドシンジケートの拠点にはI.S.M.A.や米軍、警察が押し入り、内部にいた者達は連行され、喋る大蛇の姫夜叉は、危険な動物を収容する施設の方へと連れて行かれた。
プロフェッサーJの正体は大手企業ドレイクスコープの現社長"ユリウス・ヴァン・ドレイク"だったようで、アダムさんは正体こそ知っていたものの、プロフェッサーや社長として築いてきた人脈や巧みな隠蔽工作のせいで捕まえてもすぐに冤罪釈放される事の方が多かったようだ。
今回は政府やI.S.M.A.に話を持ちかけた"情報提供者"により、決定的な証拠を掴まれたユリウスは当分脱走はできない・・・・・・出来たとしても社長の座には戻れないし、口座も凍結するとの事だった。
その後、私はアルヴァンさんと共に帰国する為に飛行場へ来た。
飛行場にはアダムさんが待っており、彼は見送りに来たようだった。
「よっ、レディブラスト。
それにダークスレイヤーさんよ」
「あっ、アダムさん。どうしたんですか?」
「お前達を見送りに来てな」
「その後、メアリーやアルとはどうだ?」
「ああ。俺の方から復縁したよ。メアリーは歓迎してくれたが、アルの方はな・・・・・・」
「俺も手伝おうか?」
「いや、これは父親としての務めだからな。家族の問題は、家族内で片付ける」
「そうか・・・・・・頑張れよ」
「お前もな、ヴァンパイアハンター。次はヨーロッパに向かうんだろ?」
「ああ、別件でな。未可矢と別れてからヨーロッパへ向かう」
「そっちも頑張れよ。あと、未可矢」
「は、はい」
「お前に一つ、先輩ヒーローからのアドバイスを伝えておく」
アダムさんは私にアドバイスする。それは善悪など関係なく、意思の弱い自分にとって心打たれる言葉だった。
「これからヒーローを続けていく事に対して、自分の正義に疑問を持つ事も多くなるだろう。ヒーローとヴィランはコインの裏表みたいなもので、対になってても結局は同じ存在だ。
だからこそなんだが───自分の選択を後悔するな。
お前の考える正義がどんなものかは分からないが、今まで戦ってきた奴等を通して揺らいでるのだけは分かった」
「・・・・・・分かりました」
「まぁ、これが俺から言えるアドバイスだ。
新進気鋭のヒーローとして、無理しない程度に頑張れよ!!」
「はい!!」
私は激励を受けてアメリカから離れていく。日本に帰った後は家族に心配されたが、何とか事情を話してお土産を渡すと、何とか普段通りの会話に戻してくれた。
春休みが終わり、始業式───自分の進路を決めなくちゃいけない時期となってしまうが、個人的には大学へ進もうと考えていた。
まぁ、働く自信が無いってのが大きいんだけど・・・・・・
実はこの日、あまりにも信じ難い事が起きる。
───そう、転校生だ。
3年生になった今時期に転校生が現れた事にも驚きはさらに驚くべきは、その人物についてだった。
「───新しく転校してきた"十条現彦"さんです」
そう───その転校生は、外見こそ変わっているものの、私と同じく事故に巻き込まれた彼であった。
レディブラストもあと2話で終了です。




