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極限!! 高度3万フィートの死神

 新年あけましておめでとうございます、そして遅くなり申し訳ありません。

 少しでも見て頂けたら嬉しいです。

 新年を迎えて中旬頃、私はI.S.M.A.本部にて、ある試験をしていた。その試験というのは・・・飛行試験だ。


 "そら"を飛ぶ事のできる私だが、この試験で目指しているのは宙では無い、空だ。


 ・・・簡単に言うと、この試験で私がどこまで飛べるか検証している。雲の所まで飛べたのだが、ここで問題が発生した。


 ───雲の所まで飛び上がり、視界が徐々に暗くなっていき、まるで息苦しさを感じるように呼吸が荒くなる。耳に聞こえる通信も遠のきはじめ、私は落ちていった。



 それからどれぐらい経ったのだろうか・・・とは言えそれ程経っているわけでは無いが。

 

「目覚めたのね、良かったぁ・・・」


 左隣で安堵してるのは竜田さんで、その反対側には藤堂さんがいた。


「立花、大丈夫か?」


「はい・・・」


 高度が上がるにつれて酸素が薄くなっていったから、それが原因でパニックを起こして意識を失ったのだろうと竜田さんは診断した。


 というか、実際生身で空飛ぶなんてこれが初めてだったし、記録が1万フィートなだけでも頑張ったよ私・・・フィートってよく分かってないけど。



 そもそも何故こんな訓練をしているのかって? 

 それはある事件がきっかけだった。




 1月上旬・・・秋津市に向かう途中だった航空機が突如爆発を起こした。


 いたたまれない事故のように思われていたが実際は違う───航空機が爆発した時、何者かのシルエットがそこにはあった。


 そもそもこの映像はI.S.M.A.へと送られたもので、犯人からの挑発なのかすら判断が付かなかった。


 しかもそれから3日経った後───秋津市郊外にある航空自衛隊基地にて、2機の戦闘機がスクランブル発進後、その内の1機が撃墜された事件が発生した。


 何処かの国や異星人(エイリアン)などによる攻撃だと考えられているが、実際のところ判らない為、私が空を飛んで直接探す事になった。


 UAVを使えば・・・と思った人も居るだろうけど、実際試したからこそ私が向かう事になった。


 何というか、その・・・超人的な身体能力は勿論、飛行能力まで兼ね備えているのって言えば秋津市に私ぐらいしかいない。他にいるなら見せて欲しいよ。



 その時の状況に遭遇したパイロットに事情を訊く為、航空自衛隊の駐屯地へ私も一緒に向かう事になった。


 I.S.M.A.は防衛省の人間として基地に入る。私も戦闘機がある方の基地に入るのは初めてだ。


 アメリカに異星人(エイリアン)が侵略した事で、世界各国では防衛の為に軍備の拡張が進められた。


 それは日本も同じで、秋津市のある県には戦闘機が無かったものの、防衛力を上げる為に急遽配備された。


 とはいえ、戦闘機はほんの数機だけ───もしかしたらこれが当たり前なのかもね・・・戦闘機アレって1機だけでも数億かかるらしいし。



 私や藤堂さんが事情を聴取する相手は"米代(よねしろ)瑞貴(みずき)"二等空尉と言う人物で、うちの兄と変わらないかそれよりちょっと年上ぐらいだ。


 戦闘機のパイロットという事でエリート中のエリートなのだが・・・彼からはやさぐれているような雰囲気がひしひしと伝わってきた。


「・・・なんでここにヒーローまで連れて来たんですか?」


「彼女も事件解決に協力してもらうからな」


「・・・なら、自衛隊が居なくてもそのヒーローがこの国を守ってくれるって事ですか」


 嫌味っぽく言われイラッとするが、藤堂さんは動じずに事情を訊き、米代さんは当時の状況を話した。




 それは航空機事故が起きた後の話───自衛隊基地から2機の戦闘機が発進する。その内の一機に米代さんは乗っていた。


 日本を護る2機の鷲は上空へと飛び立ち、高度3万フィートまで上昇した時だった。



 上空にて、人型の物体を目撃するが、その物体は逃げる様に雲の中へと潜っていった。


 最初はレディブラストかに思えた2人だが、それなら上空で何をしているのか気になって追いかける事にした。



 雲の中───それぞれ手分けして捜索していたが、徐々に通信状況が悪くなっていった。


 無線機の故障か、基地との通信も取れなくなり飛行する事数分・・・ノイズの走るレーダーには僚機が映るが、それと同時に"正体不明機"が僚機に重なった。


『おい、何だコイツは・・・! こちらハウンド2、正体不明の人型物体に付かれた!! ───ハウンド1(米代)、今すぐコイツを───」


 その瞬間、ノイズ混じりの絶叫と共にハウンド2からの通信や信号が途絶え、米代さんの乗る戦闘機はすぐにその場へ向かった。



 雲の中を抜け、到着するがそこには───空中で部品を撒き散らして燃えながら墜落していくハウンド2の戦闘機だった。



 この出来事に米代さんの責任は無かったものの、大衆は唯一生き残った彼を批判する。特にネットでは酷く、人格否定の言葉どころか、『俺の方が上手く乗りこなせる』などといったどの口で言ってるのか書き込みもあった。


 あと、基地へ入る時は見なかったものの、時折タチの悪いウィーチューバーも凸って来るから米代さんどころか自衛隊の方には良い迷惑だろう。




 事情を聴き終え、私は藤堂さんと共に車へと乗り込む。仕方ないとはいえ、終始私への皮肉みたいな言い方にイラッと来ていた私は車内で頬を膨らませていた。


「どうした?」


「・・・あそこまで私の事言う必要無くないですか?」


「まぁ、それには同情する・・・だが、彼があんな言い方なのも理解はできる。勿論、お前が悪い訳じゃないからな、立花」


 藤堂さんの言った通り、警察や自衛隊・軍隊が手に負えない事態になった時、ヒーローがその事件を解決するなんて事はザラにある。


 ───それがどんなに犠牲を払おうとも、最後にスポットライトを浴びるのはヒーロー・・・そう思うとかなり複雑だった。


 確かに褒められたり賞賛されたりするのは嬉しい───でも、本当にそれで良いのだろうか?



 私が物思いに耽っていると、着信音が鳴り、私はスマホを見る。どうやらオペレーターからのようで、電話に出ると、彼女は藤堂さんにも聞こえるようにスピーカーにするよう頼んだ。


 スピーカーにし、私達は要件を聞く。その内容はなんと・・・上空に奴が現れた話だった。



 一度本部へ戻り、新しいコスチュームを着る。義研班がより高く飛べるように制作したスーツだが、何処と無く戦闘機のパイロットスーツに似ていた。


 マスクはいつもと似ているが、バイザーは全体を見渡せるような作りで、H(ヘッド)M(マウント)D(ディスプレイ)には空中でも目標を見失わないようにロックオン機能やレーダー機能などが備わっており、酸素を供給するガスマスクまで付いてあった。



 新しいコスチュームを着た私は再び空へと飛んで行く。今日(この時)の天気は大荒れ・・・空に不慣れな私には不利な状況だ。



 高度3万フィートまで来た所で、未確認物体を示す信号(シグナル)がレーダーに表れる・・・しかも3つ。


 その方向に向かうと3体の何かが浮遊しており、それらが私に気付くと、散らばるように逃げていった。


「待て───!」


 私はその内の1体を追いかける事にする。幸いロックオン機能が上手くしており、いきなり見失うって事にはならずに済んだ。



 ───雲の中を抜け、身体に掛かるGを振り切るように加速する。もしこのスーツじゃなきゃどうなってたか・・・考えたくないね。


 私はサウンドブラストをロックオンした相手目がけて撃つが、加速中なのもあってか自分の方での照準が定まらず、光線を外した。



 追う最中、雲の中に入りロックオンマーカーが途中で消える。辺りを警戒しながら雲から抜け出すと───


 ───背後から何者かの気配を感じ、すぐに振り返った後に斬撃を避けた。


 敵を間近に捉える───そいつは両腕に鎌のような刃を逆向きに装着した奴で、身体には紫色の線が浮かび上がっていた。


 浮遊原理は不明だが、この異質な相手に私が声を掛けるが、言葉など不要と言うように私の首を取ろうとした。


 攻撃を避け、私も2、3発のサウンドブラストを放つがすんなりと避けられ、再び刃を振るわれた。


 ───その後は空中で取っ組み合いとなり、私はソイツの顔を殴り付ける。しかし、どうにもおかしい───まるで人の感覚では無かった。



 そして───私、いや私達は地面に激突して勝負は終わりを告げた。



 その後、I.S.M.A.の捜索隊が私とソイツを発見し、本部へと連れて行く。どうやら相手は本当にロボットだったようで、先程の激突により壊れてしまったようだ。




 それからというもの、技研班で分解と解析されて判明した事なのだが・・・どうやらこのロボット、プロフェッサーJが作ったもののようだった。


 通称"スカイリーパー"───反重力システムを搭載しており、約半径5kmぐらいの機器に対して軽度の妨害電波(ジャミング)を放つ事から"空の死神"と命名されたのだろう。


 しかし、プロフェッサーJはこの商品を手放したようで、実際のところ、私が倒した1体含めての3体しか製造されなかったようだ。


 多分コストの高さや接近戦特化型だから・・・なんて考察したけど、一番重要なのは"何故地元上空に現れたのか"だった。


 私を挑発しての事なのか、それとも別の要因があるのか・・・とにかく、残りの2体を野放しにしていると犠牲者が増える一方だ。



 それからまた少し経った後、残り2体が地元上空に姿を表す。私は再び空中専用のスーツを着て空へと飛んで行った。


 絶対に撃ち落とす───私は心に強く誓いながら残り2体のいる地点に向かった。


 残り2体のスカイリーパーは、私に目もくれず何処かへ向かっているようだった。


 不思議そうに追う私にI.S.M.A.本部から通信が入る。どうやら奴等の目的は航空機だった。


 私は加速して奴等に近付く。この時の天気は雨で視界が悪かったが、それでも奴等の凶行を許す訳にはいかなかった。



 私の射程範囲内に入ったスカイリーパーにサウンドブラストを放つ。しかし、死神共は二手に分かれた後、曲線を描く様に飛び、こちらの方へと近付いてきた。


 私も避けようとするが、1体の方に集中してしまったせいか、もう1体が背後に近付いている事に気付かず、背後から組み付かれてしまった。


 羽交い締めをされてしまった私は、もう1体の死神に刃を向けられる。もがいても拘束は解けず、悔しそうに歯を食いしばっているその時だった。



 レーダーにこちらに近付いてくる飛行物体が表示され、それが私達の斜め下から飛んで来た。


 そう、それはF-15戦闘機───それには私どころか死神達も釘付けとなり、私に刃を向けていた方はその戦闘機を追いかけて行った。


 これを隙と見て、私は背後にいる死神を後ろ足で蹴り付けて拘束を解いてもらった後、戦闘機を追いかける死神を追った。


 チャンネルをオープン回線にし、F-15戦闘機のパイロットに話しかけた。


「───こちらレディブラスト、助けて頂きありがとうございます。ここからは自分が奴等を仕留めるので───」


『・・・これが仕事だからな』


「その声はまさか・・・米代さん?」


『───ヒーローに守ってもらう程、自衛隊も落ちぶれていないんでな。俺は片方をやる。そっちはもう1体の奴を頼む」


「───はい。ただ、米代さん。絶対に───」


『───死んでたまるか』


 私と米代さんは2体の死神をそれぞれ追いかける事にした。


 私と戦闘機がすれ違い様、コクピットから米代さんの姿が見え、彼と一瞬だけ目を合わせる。何故彼は再びこの空に身を投じたかは分からないが、何故だか嬉しかった。



 高度3万フィートまで飛び、雲の上で激しい空中戦が始まる。途中で戦闘機の放つミサイルがもう1体のスカイリーパーを狙って爆発していた。


 私はチャージで死神を殴り付け、蹴り飛ばしたあとにサウンドブラストを放つが、すぐに避けられ、再び追いかけっこが始まる。私のすぐ下では戦闘機がバルカン砲を撃ちながら死神を追いかけていた。



 再び雲の中に入り、雨を掻き分けながら死神を追い続けた。


 一方で再び米代さんの乗る戦闘機とすれ違うが、彼の方では決着を付けたようだった。


 ───ミサイルが発射され、死神には着弾しなかったものの、その爆風に気を取られていた死神はバルカン砲は餌食となり、そのボディはすぐさま蜂の巣へと変わった。


 1体撃破された所を目撃し、私は歓喜の声を上げたが、横からタックルするように残り1体の死神が私にぶつかってきた。


 ───空中で取っ組み合いとなり、死神達が狙う筈だった航空機、そして護衛している戦闘機の中を超高速で通り過ぎた。



 ───雲の下へと出て、下には辺り一面には海が広がっていた。


 ここからは自由落下で海へと落ち続けるだけだが、スカイリーパーは私との取っ組み合いを止め、空へと飛んでいく。


 ここで逃してたまるか───落ちていく中、私は両腕を構え、サウンドブラストを死神に放つ。光線が命中したスカイリーパーは空中で爆発し、私はそれを見届けながら落ちていった。



 その後、海へと落ちた私は海上保安庁に救助されて秋津市へと戻っていく。ニュースでは米代さん含めた航空自衛隊のパイロット達がレディブラストと共に航空機を救ったと報道されており、安心した。




 それから数日後───私は橙子と共に学校へ向かっていた。


「へ、へくしゅん」


「ミカ、風邪でも引いたの?」


「そ、そうかも・・・」


「もぅ、無理しないでね」


「えへへ───」


 例え空の死神(ヴィラン)を倒しても、平和が訪れる訳ではない。いつかは再び危機が訪れるだろう。それでも私は戦い続ける───レディブラストというヒーローの1人として、立花未可矢という1人の人間として。




 ───空には、国を守る鉄の鷲が航跡雲を描きながら飛んでいた。

 レディブラストは残り5話で完結する予定です。

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