オーナーの上原村正は刃物馬鹿。
地下3階には上原村正、ショップのオーナーが淡々と肉をバラしながら時折解体ナイフを見ながらニヤニヤしていた。
(そういえばダマスカスの青紙鋼2挟み込み頼んでいたな、完成してたんだなアレ。)
あの人は刃物馬鹿である。
刃物コレクションがおかしい位ある筈なのに、飾っているだけの刃物が一つもない。
常に身に着け、手入れをし、常時何かしら切っている。
物凄く良い笑顔で。
寝る時も鞘付きのナイフを抱きながら寝ていると聞いた時はまだ多少は理解しようとも思ったものだが、コレクションのナイフ全てに名前を付けていて、朝と夜にナイフ全てに愛を囁いていると聞いた時はかなり引いた。
研ぎきり、刃が無くなったナイフはグリップをバラし、残った金属部分に新しい材料を継ぎ足して鍛造し直してもらいまた使うと聞いた時は、この人絶対頭おかしいとすら思ったものだが、完全に使えなくなったナイフを号泣しながら供養と称して墓に納めている姿を見て、なんか心に響くものがあったのも束の間、霊園の一区画全てナイフの墓だと言われた時の私と他の従業員達の顔はチベットスナギツネの様だったと付け加えておこう。