ヴァレンタインにLOVESONGを…
ふじわらしのぶは嘘つき。だから嘘をついてもいい。
過しても消えるはずがない。
癒えるわけがない。
忘れるはずはない。
体と心が悲鳴を上げているから。
人間でありたいから、その傷が痛みが記憶がまともに鳴っちまう前に焼けた鉄串を押しつける。
その度に火傷と一緒に思い出してしまう。
あの若き日の、青臭くてどうしようもない過ちばかりの出来事を。
バレンタインの日に名前も知らないような女子二、三人に呼び出され「この子はお前に興味ないから」みたいなことを言われたことを。
忘れない。絶対に忘れられない。
俺が不細工だから一方的に嫌うのは良しとしよう。
だけど、流石の俺も名前も知らないような女子にストーカーあつかいされるのは傷つく。
しかも相手は下級生。
お前の親はお前にどういう教育をしているんだ、と言ってやりたかった。
それから半月後、臆病な俺は草食動物みたいに下級生のいる校舎には近付かなかった。
しかし、ある日突然先生に呼び出された。
「お前、小笠原(仮)につきまとっているんだって?」(※ラップっぽく)
待ってくれ、ティーチャー!!
小笠原(仮)って誰だ?俺は今初めて聞いた名前だ!
氷の仮面をかぶった教師は告げる。
「いや。うちのクラスの小笠原(仮)がお前がつき合えって強引に迫ってくるって」(※ラップっぽく)
ディストラクション!!
俺は先生と一緒に下級生の校舎に行って、クラスの友達とだべっている小笠原(仮)に会ってきたよ。
忘れたいよ、君の横顔。
例え何度生まれ変わってもきっと忘れて見せる、
君の横顔。君は大して美しくもない顔でせせら笑っていたっけ。
そして衝撃の真実が俺の心を引き裂く。
「誰っすか?」
ヘブン・アンド・ヘル。
先生と小笠原一味は笑って誤魔化したが、俺はもう何もかも嫌になって逃げだした。
神はどこへ行った!!
俺を助けてくれるんじゃなかったのか!?
もう救いなんていらない!!
俺はその後、俺の母校は燃えてしまうわけだが何があっても下級生の校舎にだけは行かなかった。
天使はいなかった。救いの女神もいない。闇に堕ちる俺の魂。
それから俺は小笠原(仮)の幻影から逃げ続けるように、平穏の仮面をかぶりながらすごした。
だけど、駄目だった。
小笠原(仮)は卒業式にまた俺の前に現れた。
「自分(小笠原(仮))には彼氏がいるから自分とつき合っているようなことは言わないでくれ」
お前の親を殴らせろ。俺は無言で立ち去った。
その後彼女とだけは会わないようにすごしてきたが二十歳の時に、親友から小笠原が詐欺で捕まったという話を聞かされた。
いや、小笠原(仮)の話はもういいから。
バレンタイン。
バレンタイン・フォーエバー。




