僕の心は動かない
情感がどこかに行ってしまったのかな
秋に彩られもう時期に枯れゆく葉叢を見る
尾根に乗っかるクリームの様な雲を見る
空気が次第に澄み行き輝き始める夜空に
隠れては顔を出す月を眺めたりして見る
何も
何も僕の心は動かない
手を繋ぎ横断歩道を歩く親子
笑い声が紛れる食堂
黄昏時に自転車を押す学生2人
川のせせらぎに乗せる様に
どこからか聴こえるリコーダーの音
何も
何も僕の心は動かない
かつて泣いた風景はどんなものだったか
それといったい何が変わったのか
僕の情感がどこかに行ってしまったのかな
それとも琴線に触れる風景が消えたのかな
「綺麗な景色を見たのだから」
「感じ入るべき情景に出会ったのだから」
そうやって僕は自分に言い聞かせて
何も感じることはないというのに
感動したと告げるための言葉を探している