プロローグ~騒がしい朝~
ど、どうも二ヶ月ぶりぐらい、ですかね?
「こら!! さっさと起きなさい!!」
いつものように、エルシーが起こしてくれるのだと思っていたアルヴィオ。
しかし、違った。
いつも通りならば、もうちょっと眠れるはずだったのだが。
「後一時間……」
「なに言ってるのよ。皆はもう、あーミザリィはまだだけど。とっくに普通だったら起きてる時間よ! ほら、さっさと布団の中から出てきなさい!!」
朝から、元気な声が響き渡っている。
新たに仲間となったルチル。
彼女が仲間になってからというもの、彼女がよくアルヴィオやミザリィといった、朝に弱い者達を起こしている。
ルチルは、やはりしっかり者で、普段はエルシーがほとんど一人でやっている家事を手伝っている。エルシーも大分助かっていると喜んでいる。
アルヴィオも、兄としては妹の負担が減るから喜んでいるが。
「やーめーろー」
「まったくもう。エルシーは、すごく甘かったようだけど。あたしは、そこまで甘くはない、よ!!」
「おぶっ!?」
布団が剥がされそうになっているのを、止めていたアルヴィオだったが。
寝起きのアルヴィオでは、抵抗しきれず布団を剥がされ、その勢いでくるくると回転し、再びベッドに落ちる。
「ほら、もう朝食ができるわ。顔を洗ってすっきりしてきなさい。あたしは、ミザリィを起こしてくるから」
「……うぇーい」
ルチルを受け入れたのは、自分達だ。
こうなっても文句は言えない。
そもそも、ハウスに住むからには、互いに助け合うもの。
ルチルもルチルでよくやってくれている。
「いやあああ!! 今日は、寒いから出たくないぃー!!」
「何言ってるの! お日様の下に出れば、温かいわよ!! ほら! さっさと出てきなさい!!」
廊下に出ると、ミザリィの出たくないという叫びと出てきなさいというルチルの叫びが木霊した。
それを耳にしながら、階段を下りると丁度朝食の一品である汁物の味見をしていたエルシーを見つける。
ティカは、朝の準備体操をしていた。
「あ、おはよーアルヴィオ」
「うん、はよー」
「まだ眠そうだねー」
「まあなぁ……だけど、起きなくちゃルチルがうるさいから」
大変だね、と苦笑いするティカ。
「兄さん。顔を洗ったら、朝食を食べようね。今日は、ルチルさんも手伝ってくれて、今まで以上の出来だよ」
「おー、それは楽しみだな」
顔を洗い、すっきりしたところで洗面所から出ると。
髪の毛がぼさぼさで、服も全然着こなせていないミザリィと、それを歩きながらひとつずつ直しているルチルが下りてきていた。
「やっと起きたわ。あなた、アルヴィオよりも厄介ね」
「そんなことないわよー。私は、普段はしっかり者なのよー。ただ、体力がないからしっかりと休んでおかないといけないのよ」
「はいはい。ほら、ここも。女子なんだから、胸元をこんなに開けないの」
これで、全員揃った。
アルヴィオ、ミザリィ、ティカが席に着いたところで、エルシーとルチルが本日の朝食をテーブルへと並べていく。
そして、二人も席に着いたところで、仲良く朝食を食べる。
これが、今の日常。
ハウスに住む冒険者達は、互いに助け合い仲良く暮らす。
パーティーを組むということは、信頼や絆が大事となる。
それを、強固なものとするべく作られたのがハウスだとギルドからは説明された。
「そうだ! 今日は、どんなクエストに行く?」
朝食も、半分食べ終わったところでティカがそんなことを言い出す。どんなクエスト。そう言われても、自分達はどんなクエストでもするつもりだ。
畑仕事から、壁の修理、逃げ出した猫確保。魔物討伐に素材採取も。
「たまには、探索クエストっていうのもやってみたいですね」
「探索ねぇ。私は、疲れるからいやよー」
「クエストは、全部疲れるものよ。好き嫌い言っていないで、少しは体力をつけなさい」
「やぁん。鬼教官がいじめるわー。助けて、アルヴィオくぅん!」
「誰が鬼教官よ! 優しいほうでしょ!!」
まあまあっと、ミザリィを護りながら声を上げるルチルを落ち着かせるアルヴィオ。しかし、探索クエストというのはいいかもしれない。
探索クエストとは、その名の通り指定された場所を探索し、何があったか。こんな感じだったと報告などをするクエスト。
大まかに言えば、自由に動いていもいいよーということ。魔物を倒してもよし、採取をしてもよし。探索の途中で、何があっても冒険者達の自由。
ただし、報酬はそこまででもない。
かなり危険なところだと、報酬は高いが大体は、猫探しと同じか。それ以下かもしれない。ただ、探索の途中で手に入れた素材を換金すれば、それだけで金が入る。
「探索クエストかぁ。いいかもね!」
「そうね。いつもいつも魔物討伐ばかりだと、疲労が溜まるばかりだろうし。気分転換ってことなら、いいかもしれないわね」
「じゃあ、私はのんびりしているから。ルチルちゃんを加えたパーティーでいってらっしゃーい」
「絶対行かないつもりね、あなた……」
「たまにはいいじゃない」
「それで、兄さん。どうする?」
そうだなぁっと、しばらく考えたアルヴィオは、何かを決めたようで頷く。
やっと投稿したと思ったらこの短さよ! 次回は、もうちょっと長くするようにします……。




