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可愛い娘には死を与えよ  作者: 立花の花
2/2

2.逃げるが勝ち

臭い…。


ひどい腐敗臭が鼻を突き刺し私は目を覚ました。


「うわっ…」


目を開けてあたりを見回し、絶句した。それもそのはず、私のいた部屋は薄暗く、目を凝らさないと良く見えないのだが、それでも見えてしまった。


床中に死体が転がっていた。


それは見る限り男女半々くらいなのだがどの死体を見ても痩せ細っており、苦悶の表情を浮かべているか、それさえも見えないほどにぐちゃぐちゃになっているかだった。


「ここから出なきゃ…」


「でも、どうやって…」


何か言葉を発していないと気がおかしくなりそうだ。


でも、この時の私は気が動転していたおかげで気がつかずにいられたとも言える。


それが今後を考えると良いか悪いかはまだ分からないが、ここでそれを悩むよりも部屋の脱出を1番に考えるのは悪いことではないだろう。


まずは安全に脱出できるのが1番だ。


この時、舌を噛み切って自殺した事を思い出していれば、正気でいられなかったことは確かだ…。


私は部屋の脱出を試みて、まずは部屋の様子を確認することにした。


まず部屋の3面は土の壁で覆われてとても壊れそうにはない。残りの1面は鉄格子で、その一部が扉になっていた。もちろん鍵はかかっている。


次は部屋の中だが床は土、天井は木の板、恐らく建物の下を掘り進め無理やり地下空間を作ったのだろう。なのに柱も何もない。この様子じゃいつ倒壊してもおかしくなさそうだ。


脱出を急がなきゃ…。


それ以外には10体ほど人間の死体が転がっている以外は何もない。光源は牢屋の外に置かれているロウソクに灯った火のみだから細かいものは見えないけど。


力ずくで鉄格子を壊すことは厳しそうだし、どうしたものかとしばらく思案して一つ思いついた。


今私は長い髪を後ろに束ねている。


束ねるために使っている針金でピッキングは出来ないだろうか。


ピッキングなんてしたことないし、自信もない。けど、今やれることが他に思いつかないのならやるしかないと思い、いざ鍵穴に針金を差し込んで動かしてみた。


まったく意味がなかった。


どうしようもない…。


そんな事を思っていた時突如地面が大きく揺れた。


「えっ地震!?」


地震なんてここ50年は一度もおきてないと聞いている。前回おきた時でさえ揺れに気付かない人もいるほどの小規模なものだった。


しかし、今回は違う。この揺れに気がつかない人はいないだろう。なんせ、バランスを保って立っていられないほどだ。


老朽化したこの牢屋は壊れるかもしれない…。


そう思っていると鉄格子の扉部分が外れて倒れた。


ラッキー…だが油断はできない。


私は牢屋を出るとそこから見える位置にあった階段を駆け上がった。

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