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猫より役立つ!!ユニオンバース  作者: がおたん兄丸
112/163

第112話 引き続き迷宮を巡る・二日目(続々・迷宮ダンジョン内??層目での出来事)


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氏名:マーナガルフ・ブラスティア

性別:おとこのこ

年齢:28さい

ランク:Sらんく

クラス:おりあー ※戦士(ウォリアー)

おだちんをもらったおしごと:がおーってないて人を困らせたモンスターをメッってしました 大人の人たちのけんかにかってに(書式がめちゃくちゃなのでここからは他の職員による代筆)


携わった活動:活動に支障が出るとのことでマーナガルフ本人の申し出により非公開

現ランクでのクエスト達成率:84.3%(個人クエスト)

冒険者としての総合評価:個人としては間違いなく優秀なんだけど…喧嘩したがる悪癖を早よ治せ


 レッドウルフの二つ名を持つ冒険者。一年ほど前にクエスト実績を評価されてS級冒険者へ昇格している。その少し前に冒険者クラン赤獣傭兵団に入団し、そこから先代クランリーダーとの決闘に勝利して2代目クランリーダーに就任している。先代から奪う形で得たクランリーダーの席であるが、当クランが実力主義を掲げており一番強いものがクランリーダーという方針であるために異議を唱える者はおらず、団員たちからの評判も概ね良好で同じ戦闘狂であることも相まって仲も非常に良い。


 肩までかかるくすんだ赤色のボサボサな長い髪の毛と返り血で染まったかのように真っ赤なコートに身を包んだ姿が特徴的で、時折まるでオオカミの遠吠えのような叫び声を上げるので判別は容易。彼とコンタクトを取りたい者はそれを目印に探すこと。

 初見の人間は彼を狼や犬の獣人であると勘違いするが、彼自信はあくまで純粋な普人族である。そのことを知った者は誰もが驚くが、本人は間違えれらても特に不快には思っていない模様。実際にギルドで彼の先祖を可能な限り遡って調査したが、八代前まで調べてもれっきとした普人族でその他の種族はいなかった。ただし、それよりも前の先祖に獣人がいてマーナガルフは先祖返りで特徴が出現した可能性もあり。


 自他ともに認める戦闘狂いであり、普段はその衝動をモンスターや各国で罪を犯して逃亡している指名手配者へ向けているが、ひとたびどこかの土地で人間同士の争いごとが起これば自らが運営するクラン「赤獣傭兵団」の団員共々そこへ駆けつけ、敵味方お構いなしに全てを斬り刻んで楽しむ。冒険者ギルドは冒険者の戦争参加を禁じているが、彼らは雇用された傭兵団や地元の志願兵のふりをして潜り込み、場数も踏んでおり相手とぶつかりあうまで目立たないようにしているため、事前の発見は困難。戦中での活躍も目覚ましく優秀であるため雇った側も黙認しておりギルドに報告されないこともしばしば。


 本人は自分のことを野の獣同然の学の無い馬鹿だと自称しているが、どこからか身に着けてきた様々な学問の知識に明るく、並外れた五感や体力をもってそれを生かす。例として「夜に空を見て星の位置から自分の居場所を特定する…例え星一つ輝かない曇りの日であっても」、「狼煙(のろし)の色や広がり方からどこの国のどの部隊の何の信号なのかを当てる」、「何も見ないで白紙の用紙に指定した土地の詳細な地図が描ける」、「酒と火と水と湯と針と丈夫な糸があれば簡単な外科手術ができる」、「網も罠も使わず獣や魚を捕まえて食料にする」、「一度見た人間の顔を絶対に忘れず、たとえ相手が顔を整形したり変装していたりしても気づく」などができるらしい。これらはあくまで噂だが、それすらも本人が情報を齟齬させるために噂ということにしてあえて吹聴しているとも。本人曰く「戦いに使える物なら全部覚えるし忘れない」とのこと。


 三本の鍵爪が付いたグローブを両手に填めて戦うのが彼の戦闘スタイルで、素早い動きで敵を翻弄して死角から一気に斬り刻むのが得意。術技も近接技の斬撃系統のものを好む。鍵爪はドワーフの国ビルギーンの一流の職人が作り上げた最高峰の品質で鉄の鎧すらも紙切れの如く斬ることができるとか。

 

 前述のとおりフィールドを素早く走り回って敵の側面や背後に回り込み、両手に嵌めたグローブに取り付けられた細長い鍵爪から繰り出す斬撃の技で敵を斬り裂くのが彼の得意とする戦闘スタイル。しかし代わりに突撃と打撃の物理技と魔術は苦手で、斬撃の効きづらい相手には不向き。ただし斬撃でだいたいの敵は斬ることができるので問題はあまりない。

 そして彼を象徴する技は彼自身が編み出した空高くへ斬撃を繰り出してそこから大岩を叩き落とす「狼星群」シリーズで、現在は「(カガヤキ)」、「(アマカケル)」、「(テントドロク)」、「(キメルゼマイソウル)」の四つが確認されている。後述のものほど威力、範囲、岩の数が多い。一度使うと敵味方ともに被害が甚大となるので滅多に使わないらしいが、本人が気分屋なので少しでも機嫌を損ねるとすぐに使用する。マーナガルフ本人によれば(キメルゼマイソウル)を受けて無傷でいられるかどうかが彼が尊敬するに値する強者の基準の最低ラインらしい。


 S級冒険者としてのプライドか同じS級冒険者にちょっかいを出すことがままあり、特に自分よりも大規模なクランを運営している賊王ヘルクレス・バーヴァリアンのことは何かと目の敵にしている。そのため彼の配下の団員や協力者と遭遇すると何かと絡んできているらしい。ただし自分よりも確実に強い人間には礼儀もあるらしく、終止符打ち、九重狐、滅竜鬼、武神、破界坊主あたりには喧嘩を売るような真似はせず純粋に尊敬している模様。


 冒険者でも飛び切りの暴れん坊であるために、S級に昇格してから担当となった職員は彼についていけぬと皆着任後二週間も経たずに次々と担当を辞めていった。しかし半年前に新たに決まった担当であるコストロッターの着任後、一度も変更されていない。当人同士の関係も極めて良好であり、その点で彼のロリコンを疑う声が上がっているが(ここから先は血の跡がついていて読めない)



かいたひと マーくんのたんとーしよくいん コストロッター

代理記載者:ラーズヘウン


~筆記されるギルド職員の皆様へのお願い~

冒険者個人詳細資料はギルド職員なら誰でも自由に作成・編集が可能なフリーの資料です。個人を誹謗・中傷するような内容や根拠の無い情報は書き込まないでください。この資料は皆様の善意によって成り立っております。ご理解・ご協力賜りますようよろしくお願い申し上げます。


※本資料は記載への抵抗を無くして資料を自由に編集していただくことを目的として、匿名での記載を推奨しておりますので、編集者の氏名は必要ありません。ただし書式はある程度他に合わせていただけるとありがたいです。…サインの部分は代筆者に頼らずきちんと自分で書いたのは偉いですよ。


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「なんで俺の名前を知ってやがる?確かに有名人であるという自覚は俺にもあるが…ん?…おうおうおう!!こりゃあこりゃあ偉大なるS級冒険者の大先輩の一人にして、かの終止符打ちにあらせられるクロノス・リューゼンさんじゃねえか‼そういや今はこんなになっていたんだっけか。こんなところで何やってるんだ?」


ダンジョンで出会った自分の名を知る謎の男をしばらく睨みつけていたマーナガルフだったが、遂にその男の正体がS級冒険者の先輩であるクロノスであることに気づき、ここで何をしているのかと問うてきた。


「それは俺の台詞だ。しかもこんなとは何だこんなとは。前よりもより一層いい男になっているだろう?…そんなことはどうでもいいか。君の方こそ、こんなところで何をやっている。」

「何をしているかと聞かれたら当然ダンジョン攻略に決まってんだろ?ダンジョンに来てそれ以外が目的の奴がいるのかよ。」

「そういうことじゃない。君は先日地上の大通りで喧嘩をして担当職員に捕らえられていたはずだ。そして壊された大通りの後片付けにこき使われて団員共々大工姿でいるのが今の君の正しい姿であろうに。なぜここでモンスターを屠っていたのか…それを知りたい。」


 マーナガルフは先日自身が運営しているクラン赤獣傭兵団を率いて、彼と同じS級冒険者の賊王ヘルクレスと彼の運営するクランのバンデッドカンパニーと迷宮都市の大通りの一つを破壊しつくす程の大喧嘩をしてやらかしている。

 彼はその件でギルドにしょっ引かれているはずで、なぜこのような場所にいるかがクロノスは腑に落ちなかった。


「それはだな…「ギャギャ‼」っと、まだ生き残りのゴブリンがいたか。」


 クロノスの質問にマーナガルフが答えようとすると、背後で逃げまどっていたはずのダークネスブラッドゴブリンがこちらへ向かってきたことに気づき、鍵爪のグローブを構えた。

 ゴブリンたちのその目に先ほどまでの逃げ惑っていた恐怖の色はなく、多くの仲間がマーナガルフに屠られたことで、恐怖より怒りの気持ちが勝ってしまったようだ。


「まずはそいつらを殲滅しねぇとか。悪いが話は後だ。ちょっち待ってくれや。」

「それなら仕方ないか。…そうだ。こいつらとの戦闘に参加してもいいかな?」

「どうぞどうぞ。好きなだけ食っていけや。魔貨も半分持ってけ。」

「ありがとう。いい武器もあることだし協力してやろう。二人なら効率二倍だな。」

「かの終止符打ちさんと肩を並べて戦えるなんて戦闘狂冥利に尽きるねぇ‼だけど冒険者が二人いても効率は二倍になんてならねぇぜ?」

「そうだな。二倍どころか三倍にも四倍にもなるだろう。」

「違げぇよ。好き勝手やって方向性がまるで違うから掛けようがねぇってこった‼」

「…くく、まったくその通り。違いない‼」


 軽口を叩いてから、二人はいつの間にか二十匹は戻ってきていたゴブリンの群れへと駆けていく。


「ギャギ‼」

「そんなの…効かねぇぜ‼狼飢斬‼」

「ギャ…!?」


 先頭にいたゴブリンの一匹が赤い結晶が混じった剣を振ってマーナガルフを斬りつけた。しかし剣はマーナガルフの頭に当たった途端にぽきりと折れて砕けてしまう。隙ができたゴブリンにマーナガルフはお気に入りの技で斬りつけ一撃で魔貨へ変えた。


「そら次‼てめぇと…てめぇだ‼」

「ギッ…‼」「グェッ⁉」


 一体を倒したマーナガルフは続けざまに空いていた方の手で横にいたゴブリンを斬りつけ、そこから素早くその後ろにいたゴブリンに背中に回り込んで切り刻んだ。二匹のゴブリンは自分たちが何をされたか気づかぬうちに先と同じように魔貨に変わって地面へ沈む。


「ギャッハー‼まだまだいくぜ‼狼嵐旋‼」

「ギャ…‼」

「逃がさねぇぜ?そら、捕まえた‼ギャハハハハ‼」

「ギャ…ガアァァァァ‼」


 マーナガルフがその場で足を止めぐるぐると回りだした。すると周囲に旋風が巻き起こり近くのゴブリンをその中へ引きずり込む。ゴブリンは逃げようともがくがどんどんとマーナガルフの元へ吸い込まれていき、中心の斬撃の餌食になった。


「ギャ…ア…‼」


 ゴブリンは斬り刻まれる苦痛に悶えるがそれも一瞬の話で、すぐに悲鳴をあげる口も苦しそうな顔も全て肉片となるまで斬り刻まれて、もはやそれがゴブリンであったかどうかなど誰にもわからなくなっていった。そのあとも次々とゴブリンが吸い込まれては斬撃の餌食となり死んでいき、マーナガルフの全身に血の泥を塗ってはすぐに消えていくのだった。


「さすがは戦場の赤い狼と呼ばれた男。密集地での乱戦はホームか。彼はきれい好き…ダンジョンのモンスターは死ねば死体はおろか血や肉片も残らないからな。ああいった地上では汚れるのをためらう残酷な技も使いたい放題だな。さてさて、俺も負けていられないな。」

「「「ギャギャ‼」」」


 マーナガルフの一方的な蹂躙を見たクロノスは、レッドウルフをそう評価してから小部屋の中でも特にゴブリンが密集していた地帯に自ら飛び込んだ。当然怒り満身のゴブリンたちはクロノスに殺到する。彼に向って手に持った棍棒やナイフを振って襲い掛かってきた。


「「「ギャガ‼」」」

「モンスターにモテても嬉しくはない。男ならやはりうら若き乙女に集られたいね。」

「「「ギャギャ…!?」」」


 十数匹が一斉にクロノスに向けて攻撃を繰り出す。しかしそれがクロノスの体に当たる直前で、ゴブリンたちの動きがぴたりと止まってしまう。そしてゴブリン達の体がぷるぷると震えだす。


「もたもたしていると我らの雇い主様が煩いんでね。残念だけどもう遊んでやれないんだ。…さっき君たちの仲間と戦ったときに影縫いは通用していないみたいだったからな。()()()でやらせてもらう。」

「「「ギャ…ギャ…」」」

「…あーあ、せっかくゲットしたのに壊れちまった。高く売れそうだったのにな…仕方ないか。必要経費というやつだ。」


 クロノスはゴブリンの密集地帯に踏み込んだ時点で、そこにいた彼らにすでに攻撃を仕掛けていた。手に持つ先ほど手に入れた魔鉱石のナイフが砕けて破片となり霧散する。それと同時にゴブリン達の震えが体も声もより一層強くなっていた。最後に彼らは震えをぴたりと止めて動かなくなる。


「人も獣もモンスターも…全ては塵芥に同じさ。流星剣術塵風吹(チリフブキ)。」

「「「…‼」」」


 クロノスが決め台詞を捨て放ち刃を失ったナイフを固まったゴブリンたちに投げた。そしてそれが一匹に当たると、彼らの肉体が崩れさらさらと砂に変わり飛散して形を失っていった。そして彼らのいた場所に何枚もの魔貨が残されていた。


「ああ、どうして真面目にやるとこうも一瞬で終わってしまうんだろうか。これではまるで手ごたえがないな。…お、これは黒曜石かな?次はこれを使わせてもらうか。」


 壊れて失った魔鉱石のナイフの代わりだと消えたゴブリンの落とした黒曜石のナイフを拾い上げ振って試して新たに武器にすることに決めた。


「新たな得物は見つけたが、新たな獲物は全然いないな。おいオオカミ君。俺にもちぃっと分けてくれよ。」

「ギャッハー‼ギャハハハハ‼」


 周囲のゴブリンを殲滅したクロノスは、マーナガルフに獲物を分けてもらうために話も聞かずゴブリンを刻み続ける彼の方へ向かっていった。





「リリファ姉ちゃんお願い‼」

「任せろ…双牙刃‼」

「ギャ…」

「ぜぇ…ぜぇ…」

「やっと…倒しましたの…」


 一方でこちらは小部屋の端にいたイゾルデ達。彼女たちの前には一匹のゴブリンが倒れていた。正確にはたった今リリファのナイフの連続斬りで力尽きて魔貨を落として消えてしまったので、そこに死体は残っていないのだが。

 小部屋の端でクロノスとマーナガルフから離れたところから戦いを見守っていた彼女たちだったが、彼らが戦いに夢中になっている間に横にそれた一匹がこちらまで来たのだ。仕方ないので五人で迎撃したのだがとにかく丈夫で何人かで足止めをして残りが離れたところから攻撃を当て、それから疲れたら役割を交代するという戦法を選び、ゴブリンの体力を少しづつ削っていきようやく倒せたのだった。

 しかも今倒した個体はクロノスとマーナガルフが倒している他よりもいくらか小さかったので、おそらく子供の個体だったのだろう。それでも彼女たちには一匹をようやく倒すのが限界で、もしももっと相手しろと言われたら不可能だっただろう。


「硬いしあっちからの攻撃を受けないようにしないとだから全然ダメージ与えらんないし…DPS出せるセーヌさんがいなかったら絶対倒せなかったよ…」

「でぃーぴーえす…確か単位時間でのダメージ効率のことでございましたね。ありがとうございます。しかし私も一人では倒すことはできなかったでしょう…」

「このゴブリンがこのマップの雑魚敵ならおいらちょっと無理だよ…」

「そうですわね…しかしクロノスさんとマーナガルフ様は元気ですのね。あれだけの数のブラッドネスダークゴブリンを二人で…」

「おいら達なんて五人がかりで一匹が限界だったのに…ホントどんな体力してんのさ。」




「ギッ‼」「ギャヒッ…‼」

「さぁ次は…なんだよもう終わりか。せっかく体が温まってきたのに。」


 二匹のゴブリンの喉元に彼らが持っていたナイフを突き刺して倒しようやく重い調子が上がってきたところで、最後の一匹をマーナガルフが鍵爪の先で刺し貫いていたのが見えた。小部屋には何十枚ものブラッドネスダークゴブリンの黒い魔貨が落ちていた。残るゴブリンの姿はどこにもなく、全員倒したか生き残りは今度こそ通路の向こうへ逃げていったのだろう。


「ご苦労さん。二人でやったから早かったな。」

「ギャハ。お片付けお終いだぜ。しかしその腕前を見ればやっぱりあんたが終止符打ちさんであるとようくわかるね。」

「まだ疑っていたのかよ。確かに昔より若干おしゃべりになった自覚はあるが、今も昔も俺は俺だ。」

「知ってっか?ゼロは何回掛けてもゼロなんだぜ‼ギャハハ…」

「あ~しんどい。疲れた。」


 そんなことを言い合いながら二人は互いの労を労った。そこにナナミ達も集まってくる。


「君たちもお疲れ。そっちの方に物は試しで一匹見過ごして送ってみたがどうだった?」

「げ、やっぱり確信犯だったの…」

「今のおいら達にはまだ早い相手だったよ。五人がかりでなんとか倒せたね。」

「それでも倒せたか。子供ならなんとかと思ったが…連携はいい感じだな。」

「それは同じクランの団員であるからだな。即席のパーティーなら瞬く間に全滅だった。しかし…一匹戦っただけでこの疲れはすさまじいな。」

「子供の個体ならいちパーティーでも倒せるか。これは情報として極めて有意義だな。後で戦いの詳細を教えてくれ。レポートにしてギルドに提出しよう。ヴェラが。」

「最後はヴェラさん頼りなんだ。」

「俺は物書きは苦手だ。しかし大人を避けて子供をピンポイントで倒す方法が難しいかな。君はどう思うマーナガルフ。」

「おいおいおい…」


 わざとあちらに一匹送ったことを暴露したクロノスは仲間たちにブラッドネスダークゴブリンとの戦いの感想を一人一人尋ねた。そしてやはり相手が強すぎたが、それでも攻略点はあるかもしれないとまとめてマーナガルフに話を振ったところでナナミ達を見ていた彼が話しかけてきた。


「あんた一人ならともかく、雑魚を何人も引き連れてこんなとこまで何しに来たんだ?ここは泣く子も屍と化す迷宮ダンジョンの二十八層目だぜ?そもそもどうやってこまできたんだオォン!?」

「にじゅうはち…やはりだいぶ下まで飛ばされたようだな。」

「ええ~?そんなに下に来てたの…」

「これは一度地上に戻った方がよさそうだな。」

「それなら俺様がこのマップのスタートに案内してやるぜ。悪いがゴールはまだ見つけてないんでな。」

「それは助かる。だが君は…」

「おっと、話については後にしてくんねぇか?スタート地点で子分どもが待ってるんだ。それと礼なら案内代としてダンジョンポーションよこせや。それを探して一人行動してたんだ。」

「ダンジョンポーション…けが人がいるのか?なら早く地上に…」

「それも含めて戻ってから話してやる。今は地上に戻る前にちぃっとそいつが必要なんだ。ギャハ。」


 ゴブリンの血と肉片が持ち主が魔貨に変わったことで消え、すっかりきれいになった顔でマーナガルフがへたくそに笑っていた。




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