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サカナ部の暇潰し’nシーサイド  作者: カカカ
第二章
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第6話 料理するんだよ~捌く!その1~

 

「よっこいしょと」


業務用の広々とした調理台に、どすん!と鈍い音を響かせるチヌ。

空調の効いた室内はヒンヤリしてて、とってもいい感じ。


「最高ですなぁ」


だって外よりも魚が傷みにくい!

クーラー考えた奴には、全力の一皿を振舞ってあげたいっす。


あとは冷え冷えのクーラーボックスも用意してあるし。調理がすんなり出来るように、調味料とか調理道具の配置も済ませてる。


新鮮さを保つ環境は整ってますな!

さらに、チヌ自体も保存状態バッチリ。


だってこのチヌ、気絶状態なんだよね。


死んだように見えて、

なんと!

まだ死んでないんですね~。


「おまえはアヴドゥルか!」

「その思考は、やや不謹慎かと存じます」


花森さんにも心を読まれたんだよ!

なんなの!?十六夜家の関係者はみんな心読めちゃうの!?

当然のたしなみってやつですか?


「ん?」


……ってことは、わたしもトトッキーもサイコメトれるようになるね。

相手の食べたいものが、一瞬で分かっちゃう訳ですな。


「うーん……」


あんまり要らないかな?今でも割と分かるし。

むしろ、『調理道具の声が聞こえる能力』のほうが便利だね。


かなり話が脱線しちまったぜ。

本当に言いたかったのは、死んでないから死後硬直とかも始まってないよ!ってこと。


要するに、鮮度を落とさないための対策は万全!!


でも余裕かましてもいられない。

時間が経てば経つほど、鮮度が落ちるのは間違いないからね!



ここからは頭も身体も、料理人モードに切り替えてくよ!



「早速始めますか、相棒!」


右手に握り締めた包丁(もちろん洗浄済み)に語りかける。

もちろん返事はないので、さっさと相棒の背をチヌに押し付ける。


ーーージャギジャギジャギ!!!


包丁がチヌの上を滑る度に、キラキラと輝く鱗片が舞い踊る。

頭の片隅で「あとで掃除が大変だなぁ」と思いながらも、右手は迷いなくウロコを剥いでゆく。

活け締めで三枚に下ろす動作は、もう何千回もやってる。ほっとけば身体が勝手にやってくれるんだよ。反復練習って便利だね!


それで反対側の頭の片隅では、料理の完成図とそれが出来上がるまでの行程をイメージ。

今回作るのは前八寸と刺身と汁物。

晩御飯が食べられなくなっちゃうから、うちの部では白御飯は無し無しルール!


その代わり、よいしょっちが料理にバッチリ合う飲み物を、ビシッと選択してくれるから大丈夫なんだよ!

お酒とおつまみ的な構成だね。まぁ、お酒を飲んだことは無いんだけれ…


ーーーシャッ!


「うぉお!」


中骨までの切り込みが、一回で完璧に決まった!


大っきい魚を下ろす時には、背中と腹から包丁を入れて、中骨までザックリ切り込む。

今まさに、その工程をやってるんだよ。


簡単そうに見えるけど、きっちり切らないと上手く切り離せない!

そうなると無駄に時間はかかるし、ぬるーい手で身をペタペタ触る時間も増えるしで、もう最悪なんだよ。


だから普通は、失敗しないように何度も切るんだけど…。


ーーーシャッ!シャッ!シャッ!


残り3回分の切り込みも、全部が一撃で完了!!

手応えが全く違う!

今日の包丁捌きは絶好調だぜ!


瞬く間にサク取りも完了。あ、サクってのは「スライスしたら、もう刺身ですよー」って状態の大きい切り身ね。

で、魚体からサクを取り出すから『サク取り』。

修行先の店の板前さんが教えてくれたんだよ!

でも、なんでサクって言うのかな?

とは思うけど、味に関係無いから何でもいいね!


なんてことを考えてる頭は置き去りにして、わたしの身体は腹骨とかを処理しまくる。


「はい出来た!」


上身うわみ下身したみの背側と腹側、計4枚のサクが完成なんだよ。

さて、上身だけ・・を用意しておいたクーラーボックスに置いといて。


急いでチヌのアラ(頭とか骨とか)を処理しなくては!

頭を割るときは、ちょっとだけストップ。

反復練習はしてるけど、それでも難しいし危ないんだよ。

残ってる頭の片隅も使って集中力を高める。


「ふぅー……」


なけなしの体重を込めて、押し込む!!!


「……ふっ!」


ーーーザグッ、ズドン!


よし。

上手く真っ二つに出来た。


片方の頭は脇に避けといて、他のアラに塩をパラパラ~。

で、取り合えず放置。

こうすることで、水分と一緒に臭みもとれちゃうんだよ。


……って言ってる場合じゃないね。


「スピードアップ!」


ここからもモチロン、時間との勝負!!

刺身を完璧なタイミングで提供するには、1分どころか、1秒1刹那も無駄には出来ないんだよ!!!



 

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