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サカナ部の暇潰し’nシーサイド  作者: カカカ
第二章
22/51

第5話 料理するんだよ~まだ料理しないんだよ~



 大きな魚を抱えて、桜そぼろみたいに微笑むトトキっち。


「チヌ、獲った」


 ほろほろと綺麗だけど、それだけじゃない。

 すっごく薫り高い桃色が、挑戦的に突き刺ささってくる。

 ……って、なんかショウビーみたいな言い方になっちった。でも本当にそんな感じ。

 ポワッポワの達成感とキレッキレの期待感が籠ってる。

 負けたく無いな、この笑顔には。


 それに……このチヌには、トトキっちの強い想いがギッチリ詰まってる。

 だったら最高の味にして食べなくっちゃね!


「にひひ」


 完成品を食べてもらった瞬間を想像したら、ワクワクが止まんなくない!

 てかそんな想像してる場合でもない。美味いもん作りたいなら、スピードが超大事なんだよ!

 さあ善は急げって事で、マイ包丁をフルスイングだ!!


「こめかみにどーん!!」


 クリティカルヒットォォゥ!!

 50cmオーバーのチヌを、一撃で失神させてやったぜ。


「さあさあさあ、急ぎまくるぜ!」


 暴れなくなったからマシにはなったけど、それでも照りつける太陽とか、地上で上手く呼吸できないとか、いろんな事が刻一刻とダメージを与えちゃうんだよっ!

 それは不味い!二つの意味でっ!!


「魚の鮮度を損なう状況に対する『不味い』と、味が落ちたことそのものを指した『不味い』のダブルミーイングですわね」


 わたしの脳内音声にフォローを入れつつ、ショウビっちが謎の方角を向いてウィンクしてる。

 そこにカメラでもあるんですかい?


 なんて考えながらも身体はフル稼働。

 スムーズにチヌを受け取り、海辺のハイスペックキッチンへと猛ダッシュ!!


美味美味ウッマウマにしてやるぜー!」


 熱々の鉄板みたいな岩肌をサンダルで踏みしめ、メチャクチャ重たい魚を担いでスタコラとひた走る。

 ……あれあれ?


「って、走れる訳あるかい!」


 50cmの魚なんて、ほいほい運べるか!

 全長がわたしの腕とそんな変わらんやないかい!

 ……でも何故か軽快に走れとる。なにこれ怖い!


 まさか、わたしにもスタンド能力が目覚めた!?

 そ、そういえば、さっきから背後に何かの気配を感じるんだよ!


 期待に胸を膨らませて背後を振り向くと、


「どうかされましたか?」


 花森さんやないかーい!

 チヌの胴体を思いっきり支えてくれとる!!

 くそう、わたしのスタンドじゃなかった。

 いやまあ、ある意味スタンドより凄い存在って気もするけど。

 でも60代の執事とか、ちょっと渋すぎるわ。


 そうして助けてもらいながら、縦横3メートルはありそうな扉を開けて、スイスイっとチヌの搬送を完了。

 厨房の奥にはさっき釣った、さばあじが数匹入れられた水槽も運び込まれてる。

 冷蔵庫にはネギも味噌も入ってるし、各種調味料は調理台に配置済み。

 あとチヌが釣れるのを待ってる間に、出汁取りとか時間かかるやつも終わらせた。


 よし、全部揃ったんだよ。

 あとは……


「捌くのみ!!」


 トトキっちも、ショウビーも、花森さんも。

 みんなまとめて笑顔にしてくれるわ!

 

 

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