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サカナ部の暇潰し’nシーサイド  作者: カカカ
第二章
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第1話 陽毬わーるど

 空には、わたしたちを潰してくる青色がどん!

 海には、全てを飲み込みそうな青色がぬま~っ。

 って感じで広がってる。

 日差しは体感では中火くらい、でも空気は秋のパサパサをちょっちはらんでる感じ。

 ふむふむ、なるほど。お天気の観察完了!


「じー……」


 今度はトトッチとショウビー、あと花森さんをじっくりねっとりルッキング。


 トトッチはチヌを釣るためにあの手この手を尽くしまくってるみたい。


「くぅー!!」


 そんなフルパワーな姿を見せられたら、身体の芯から何かが込み上げてブルブルしちゃうぜ!

 っと、じゃなくて。


 ……ふむふむ。

 トトキンはちょっち内側が熱々かな?それと軽くパサついてる感じ。

 ショウビーも同じくその兆候が見えるんだよ。

 で、花森さんは……


「ぬぬぬぬぬぅ」


 ……わからん!

 ショウショウもその辺の一般ピーポーよりは分かりづらいけど、花森さんなんてもはや一切分からん!


 これが十六夜家の執事。まさにプロなんだよ!


 なんにせよ今の私では、花森さんをピーピングしてもアナライズ出来ないのは確定。

 どーしようもないから、ひとまず棚上げしよう。


 この天候で二人の様子がその感じなら…。

 うん、きゅぴーんと閃いた!本日のメニューは全て定まったんだよ!


 ……えっ、決定した理由?なにそれ美味しいの?二人に喜んでもらえる料理が閃いたんだから、それで全てがOK!理屈なんて後から付いてくるものだよ?後付けサクサクなのだ!


 でもショウビー見てて最近気付いたけど、理屈がちゃんとあると料理がさらに美味しくなる、というか美味しく感じるみたいだね。

 ちょっと変則的な調味料って感じかな?要するに脳ミソ版のミラクルフルーツなんだよ!


 だから最近は美味しくなる理屈についても、イザビーん家の書庫でざっくり勉強中なんだけど。

 でも正直、飽きる。睡魔が強すぎて勝てる気しねぇぇぇ!!!


 まぁ、それはそれとして。

 今はトキトキがチヌを釣りあげた瞬間、すぐに調理へ入れる様に万全の準備をしなければ!


さばくぜー、ちょうさばくぜー!」


 わたしの作った食事が、周りの人達を笑顔する。

 初めて料理をしたあの日。

 見事に咲いた家族の笑顔を見たあの瞬間、わたしの背筋からブルブルが広がって、気が付けばその快感がわたしの全てになってた。


 料理こそが全ての中心!料理万能説がここに爆誕!!

 とりあえず美味いもの食べさせとけば、なんとかなる。なんとでもなる!

 肉を切らせて、胃袋を鷲掴みっ☆


 特に大好きな人たちが笑顔になると思うと、もう考えるだけでお腹いっぱいです。


「って、んなわけあるかー!」


 なんか食えよ!

 すぐお腹減るに決まってるんだよっ!


 セルフ突っ込みを盛大にリフトオフしながら、テンションマックスで背中の大容量リュックを地面に降ろしてガサゴソ。

 美味しい料理のためには、まず調理場の準備から。

 すんなりするする~な調理って大事だよね!


 空腹は最高のスパイス、だけどお腹空いてるのに調理が手間取ってもたもたしてたら……。

 どうですか!イライラしませんか!?

 そうなってしまったら、せっかくの美味しい料理もただの鎮静剤になってしまうんだよ?


 何度だって言います。

 わたしはショウビーとトトッチの笑顔が見たい。

 もちろん花森さんの笑顔も見たい。でも今のわたしでは力不足なんだよねー。

 満足そうにはしてくれるけど、満面の笑みは一度も見たことない。


 でも、しょうがないかな?

 だってショウビーのお爺ちゃんで、そして世界一の美食家、十六夜いざよいあかしまの専属執事として一緒に世界を回っていたらしいし。

 美味いもん食べまくりじゃん!毎日が五つ星で間違い無し!!

 だから、舌が肥えまくってるに違いない。

 

 ていうか、わたしも行きたかった!!

 まぁ、まだ生まれてなかったから無理だけど。


 とにかく、そんな『百戦錬磨The花森さん』は、わたしにとってのラスボスなんだよ!

 だから今はとにかくサカナ部の二人を喜ばせるのが先決。

 ラスボス花森はいずれ、じっくりどっしりと準備して、最高の舞台で打倒してやるぜ!


 そんな感じでわたしはサカナ部のみんなの笑顔を思い浮かべつつ。

 でも今はまだ、その幸せいっぱいの光景は手に入ってなくて。


「くぅぅぅ」 


 幸せへの空腹感でぺこぺこになりながら、もちもちと料理の準備を進めるのでした、まる。



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