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思い付いた話

僕の仕事場

作者: 雨森しと

僕のことを少し話させてほしい。

僕は仕事をしている。年中昼夜問わずこの道で手をあげ続ける簡単なお仕事だ。

すごく人通りが少ない、夜は真っ暗になるいなか道。それが僕の仕事場。そんな道だからか、「なにか」が出る、とこの辺では有名な心霊スポットになっている。夜中に走る銅像とか。僕はまだ見たことがないけれど。

そういえば、この間ちょっと手が疲れちゃって、誰も見てないって思ってさぼっちゃったんだよね。ほら、夜は真っ暗になるからさ。手をおろして休んでたんだ。いつも働いてるんだからこれくらいは許される…よね?

そんな日に限って人が来る。まぁ、興味深い話を聞けたから悪いことではなかったかな。

その人は女の子だった。…20歳くらいかな。スマホを耳に当てて誰かと話していた。夜だし、心霊スポットを巡りに来たのかな。

「…ねぇ………………んなど…ぞう……いよ?…」

「……………だぁ…………て……………」

「暗……て……よく…………ない……なぁ…」

怖いのか小声になっててよく聞こえなかったけど、こんな感じのことを話してた。

そのうち話がついたらしく、女の子はもと来た道を戻っていった。

察するに待ち合わせだったのかな。一緒に巡る子と。で、待ち合わせ場所が見つからないと…

こんなに暗ければ当然だよね。うんうん。

さて、そろそろ仕事に戻ろうか。僕はまた腕をあげた。暗いからってさぼっちゃいけない。え?さっきと言ってることが違う?

なんて思っていたら、さっきの女の子が帰って来た。思った通り、一緒に巡る子がいたらしい。

「ほら、この辺だよ?」

「…うそぉ…さっきはなかったよぅ…」

「あ、あるじゃん。あったじゃん」

「ほんとだ…でもさっきはなかったぁ‼手あげてる銅像なんてなかったよぉぉっ‼」

「怖くて見逃しただけでしょ、かわいいなぁ」

「うそぉ…」

なんて話していた。僕にはこの辺に銅像なんて見たことないのにさ。

あの子たちは何を見ていたんだろう?

だからこの辺は心霊スポットって呼ばれるなかな。

そんなところで、僕は仕事をしている。出会ったことはないけれど。

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