白雪ちゃん、反省!
「はあ…はい、土下座して下さい」
島浦は呆れ顔で白雪ちゃんに言った。
「なぜですの!」
そう言いながら、白雪ちゃんは土下座する寸前の態勢になる。
「シンデレラ計画がどうとか知らないですけど、こんなやり方をされたら私が困ります」
つり目がちの目で白雪ちゃんを見ながら、島浦は言った。
「まあ!私のシンデレラ計画を知っているの!?」
白雪ちゃんは長い黒髪をなびかせ、びっくりした。
「とりあえず反省して下さい。もう14歳なんですから、そんな計画立てないで下さい」
「お母様と同じようなことを言うのね。14歳がなによ!せっかくの夏休みなのに、ひまでひまでつまらないのよ私は!」
立ち上がって演説のように白雪ちゃんは語る。
「だいたい!お父様が、お休みをとるの忘れたーてへっ☆なんて言うからいけませんのよ!娘のことも考えろ!」
「だったら、宿題のことも考えたらどうですか?去年もギリギリになって私に押し付けたではないですか」
負けじと反論する島浦。
「な、なんのことかしらね!とにかく!私のシンデレラ計画は諦めませんわ!」
話をがんばってそらす白雪ちゃん。
まっすぐな目で真剣さをアピール。
「はあ〜…仕方ねえな…」
島浦は白雪ちゃんから目をそらし、考える。
そして、考えがまとまったらしい島浦は、白雪ちゃんに告げた。
「じゃあ、私がそのシンデレラ計画、お手伝いしましょう」
ここは、見覚えのあるお部屋。
くまのぬいぐるみが転がっていたり、いろんなものがあちこちに広がっている。
「ちょっと、島浦?これはどういうことですの?」
不機嫌そうな白雪ちゃんは尋ねる。
「ご自分のお部屋をお掃除するんです。見ればわかるでしょう。やりがいがありますよ」
表情を何一つ変えず、島浦は答えた。
「なんで私の部屋なの!?もうここは飽きたのよ!」
「そんなこと言われましても、ここが1番手っ取りばやいかと」
「やだやだやだ〜!島浦のバカー!」
白雪ちゃんは寝っころがり、ジタバタした。
「そうですよね。ここにはいろんなものがあって、お掃除は大変ですもんね。まあ、シンデレラはちょちょいのちょいですけどねー」
すこし笑顔で言う島浦の目は笑っていなかった。
「な、なによ島浦」
「魔法使いが現れるまでのシンデレラになるんじゃないのですか?私は楽しみですよ。白雪様ががんばってお掃除する姿が」
やはり目は笑っていない。
「島浦、その罠には引っかからないわよ!」
「お掃除し終わったら、白雪様の大好きなバームクーヘンが待っているのですが」
「さ、やりましょ!島浦!」
颯爽と立ち上がって、白雪ちゃんは言った。
島浦の計画は大成功であった。
バームクーヘン…!