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選択者
選ぶのも、選ばれるのも、二択。
そして、今日も仕事が始まる。
仕事内容は、人を見極めること。
現れる人が納得できるかどうか判断すること。
素人だけれど、逆にその感覚を持っている人がいないため、重宝されている。
席について、始まりのスイッチを押す。
一人目はメガネの男、いわゆる中間管理職。
まるですがるようにこちらへと言葉を紡ぐ。
でも、自分のことを自覚していない、失格。
二人目は綺麗でおとなしい女の人。
何も持たない人、自己主張のかけらもない。
この人もだめだ、強い何かを感じないから失格。
三人目は少年、何も言わない。
けど、つよい、つよい眼差しをこちらへ向ける。
そう、この子みたいなのを待っていたんだ。
やっと出た合格。
確か一週間ぶりだった気がする。
新しい世界への権利を、あなたは獲得されました。
その権利を使われますか?
はいを選べば選択者になる、いいえを選べば消えてしまう。
どっちを選ぶの?
No.1000120
読んでいただきありがとうございます。